二ツ森、赤水渓谷 |
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2020年10月16日(金)曇り 赤水渓谷の存在をNHKの山番組で知り、特に田中陽喜さんが、おう穴で泳ぐ姿を見て、いつかはと願っていた。ネット情報によると、秋は格段に紅葉がきれいだとのことだ。沢を歩くものの、基本、深さ10pほどだという。信じられないが、間違いないようだ。 臨時休業日を使い、飛行機とレンタカーであれば、あこがれの白神山地も可能なので、金曜日の朝一番の飛行機で羽田から秋田に飛び、レンタカーを使えば、可能だ。どこに泊まり、どう回れば良いか思案する。 レンタカーと単独行ならコロナのリスクはミニマムだろう。 宿は、赤水渓谷は、森吉山荘以外考えられないが、白神山地は悩む。人気の不老不死温泉は、一人では予約がとれなかったので、深浦観光ホテルとした。 白神山地は核心部に入るのは難しいので、二百名山の「白神岳」が一般的だが、標高差の割には、コースタイムが長く、下山後の移動を考えると、悩ましい。 当初は、森吉山荘→深浦観光ホテルの順にし、赤水渓谷のチャンスを二日作ろうと計画した。 しかし、何と近づいてから、朝一番のANAが欠航となり、一日目の山行は不可能となった。そうすると、赤水渓谷のチャンスを複数にするには、深浦→森吉の順にするしかない。何とか宿の変更が可能でほっとした。 しかし、コロナとはいえ、状況がみえた今、欠航時期決定が遅すぎる。宿が変更できなかったら、大損だ。 結果、一日目は、観光とし、目的地は、不老不死温泉の露天風呂に入ることにした。家内はうらやましがっている。秋田空港から深浦までは、145qもある。大館能代空港の方が近いが、秋田空港だと航空運賃が、スーパーバリューセールで、5290円と破格だ。レンタカーもじゃらんのクーポン2000円で、オリックスレンタカーのFITが、8250円となった。 宿代は、深浦観光ホテルがGO TOトラベル後、12870円(割引前20900円)、地域共通クーポンが3000円。森吉山荘は、9295円(割引前13200円)、地域共通クーポンが 2000円つく。以上のように、意外と安く、北アルプスの山小屋泊まりの山行より安いぐらいだ。 結局、金曜日は秋田空港に着くのは、11時過ぎなので、観光とし、土曜日は、十二湖散策と二ッ森登山、日曜日に満を持して、赤水渓谷を本命の計画とし、日曜日が天気が悪く、土曜日が良い場合は、土曜日に赤水渓谷とした。 天気予報は土曜日が曇りで、金曜日と日曜日は晴れ間も出ることとなった。 木曜日の夕刻の会も無難に終わり、金曜日は、荷物が沢の用意やらで非常に多くて重いので、地下鉄の混み具合を勘案して、朝一番に寮で朝食をとり、7時10分発の都営三田線に乗ったが、結構混んでいて、かばんをたてて乗っていた。途中から何とか座れてほっとする。 荷物を預けて、カードラウンジでくつろぐ。手荷物検査後も時間があったので、再度、ラウンジで時間をつぶした。 飛行機(737-800)は、予約していた朝一番の便が欠航しただけに混んでいた。席は8Kで、最初にゲートブリッジとスカイツリーと筑波山が見えて、那須連山や山形市、新庄市などが確認できた。 蔵王は見えていたのだろうが確認できず、岩手山と思われる山は見えた。あっという間に秋田空港に着いた。オリックスレンタカーまでは送迎があり、三番目に手続きした。車はホンダのFITで小傷はあったが、古くはない。 今日の観光は、メインを「不老不死温泉」とした。最初、能城南まで高速道路だが、片側一車線でスピードは出ない。しかし、一般道に出ても信号が少なく、スピードは出た。ドライブしていても情緒あふれる景色が続いた。 ![]() ![]() 不老不死温泉には、三つの風呂がある。新館の風呂は、13時30分までに受付の必要があるが、間に合わないので、「お殿水」でゆっくりした。水は甘く、ペットボトルに詰めた。 不老不死温泉は、建物は思ったより大きく意外だった。また、名物の海浜の露天風呂は、囲われていた。入口で、山口県出身で青森に勤務しているという方に写真を撮ってもらった。入浴料は600円だ。 受付で先ずは内湯で身体を洗ってから、露天風呂に入るように言われた。内湯の湯も鉄分たっぷりで茶色の湯だけでなく、匂いもきつかった。 もう一度服を着て海岸の露天風呂に向かう。着替えだけは男女別だが、混浴だ。湯あみを着た夫婦が二組入っていた。 白浜の「崎の湯」並みに海が間近だ。崎の湯より大きい。打ち寄せる波も高く、記憶に残った。受付で、お土産に、湯飲み、タオル、絵葉書を買い、昼食をとっていないことを思い出し、クレープアイスを買って食べた。 五能線と並行して走る国道は、廃墟も多く、さいはての旅情をかきたてる。道は非常に走りやすかった。山旅だが、この五能線沿線のドライブは生涯強く記憶に残るものとなろう。平日なのを思い出し、深浦郵便局から、絵入り消印のハガキを自宅に送った。若い女性の職員が慎重に押してくれていた。 千畳敷までは、20qほどあるが、道は良い。何とも言えない旅愁があった。千畳敷は、白浜や宮崎の鬼の洗濯岩のようではなく、平坦だった。特徴のある岩がたくさんあり、命名されていた。釣り客が多かった。また、海岸まで車の乗り入れが可能となっていた。 ![]() ちょうど、リゾートしらかみ号が千畳敷駅に止まっていた。 少し先に日本一のいちょうの木があるのと、JR東日本のポスターにもなった驫木駅を見損なったのを翌日、悔やむ。マップル等には載っていなかった。 ホテルへ戻る途中、リゾートしらかみが追いつき、写真を撮れた。道沿いにイオンのマックスバリューとファミリーマートがあったのは、寂れた風情の中でも、特異だった。 ホテルは昭和感たっぷりだったが、築30年ほどとのことで、平成だった。海側和室で、部屋に「T様」の張り紙が貼ってあった。 窓からの景色に旅情を感じ、時々、五能線の列車音が聞こえて、昭和感たっぷりの和室には、寅さんの映画を思い出すものがあった。 ![]() ![]() 温泉に早速、入る。特色はないが、塩味だった。露天風呂で、高崎出身の親子と親しく話す。新潟に出ての北上で時間がかかったようだ。 夕食は、地元食材重視で、深浦産のマグロさしみやマグロステーキ、深浦牛のしゃぶしゃぶ、ぬるぬるわかめなどだった。マグロのカツが特に美味しかった。手はかけていないが、それなりに美味しかった。お酒は、弘前市の「じょっぱり」としたが、地元の「白神の詩」の方が良かったかもしれない。再度、温泉に入り、早めに眠る。 2020年10月17日(土)晴れ時々曇り 夜は、雷がなった。朝は、秋田行きの一番列車の音で起きた。 朝風呂に入り、温泉を楽しむ。 朝食も、鮭のちゃんちゃん焼など、ほどほど良かった。 今日は、白神岳はあきらめ、十二湖散策と二ツ森登山を予定している。途中、ウエスパ椿山を見学するが、10月31日で全館閉鎖とのことだ。25年続いたようだが大変残念だ。 西の街道と書かれた展望台からは、海の向こうに白神山地が見えた。白神山地は海に近い(左下の写真)。 ![]() ![]() 十二湖は、ビジターセンターに車を止め、ここから森に入る。ここから入る人はごくわずかで、ブナ林が美しかった(右の写真)。最初の沸壺の池(左下の写真)も青池に負けずに、綺麗な藍色をしていた。池近くまで行くことができ、展望台もある。ここからブナ林(右下の写真)を歩き、青池には階段を下る。 期待通り、濃い藍色が美しい。二人連れの女性に写真を撮ってもらった。進んだところにある「鶏頭場の池」も少し色づいていた。 ![]() ![]() 森の物産館キョロロで、地元の方の手縫いの刺繍アップリケの袋とかばんが目につき、買う。GO TOの地域クーポン2000円に現金5000円を加えて、購入した。クーポンの趣旨にあおう。 ビジターセンターから、車で王池に立ち寄る。青空が広がり、色づき始めた木々が美しい。 日暮橋からの日本キャニオンの姿も現認できた。キャニオンは崖崩れだ。 二ツ森に向かう。二ツ森は自然保護問題で開設工事が挫折した青秋林道の秋田側既設部分の終点に登山口があり、狭い山頂からは、対岸の白神岳より延々と続く広大な白神の山々が望まれ、日本海や男鹿半島も望まれる。眼下はブナの樹海が広がり、かなたに岩木山や八甲田山も見えるという。分岐までの海岸線の景色も美しかった。 ![]() ![]() 深浦方面からは、左折することになる。国道から登山口まで18q。林道はだけでも10q以上となる。「ぶなっこランド」(白神ふれあい館)を右に見ながら進行することになるが、真瀬渓谷沿いは二車線で道は広い。 やがて渓谷が二股に分れていて、更に、右折して細い道の青秋林道を進む。こちらは単車線の山岳道路で、屈曲、勾配も激しくなり、対向車がこないでくれと祈らずにいられない程の道である。何と前から小型バスが。マナー違反だ。バックで脱輪したが、小型バスの登山客が総出で支援してくれ、ことなきを得た。 林道は紅葉で美しい。楽しみながら、長々と走ると、やがて、青秋の県境に達し、車道は行止まる。二ツ森公衆トイレが右側、左側に駐車場がある。何と誰もいず、霧がかかり不気味で熊が出そうだ。 二つ森山へ向かって登っていくと県境の標識あり、そこに世界遺産の入山者を計測する装置がある。尾根の途中に、景観を望める展望所ある。 ![]() ![]() ブナやダケカンバの林はガスで幻想的だ。足元は登山道だ。山頂近く、ナナカマドが多くなると三等三角点のある二ッ森山頂だ。1086.2m、45分でついた。山頂からは青森県側の白神山地全山の大パノラマが楽しめるとあるが、真っ白だった。 ![]() ![]() ![]() ![]() 下山途中、ガスが切れて日が差し、白神山地の神々しい景色が広がった(右上の写真)。展望台に立ち寄るが、ガスがなくても木が大きすぎて展望はない(左下の写真)。 ![]() ![]() 駐車場に戻ると、BMW(1200cc)が止まっていた。岐阜からの人だった。10年たっていて、中古で130万円で買ったという。新車だと230万円とのことだ。 そこに能代観光のジャンボタクシーもやつてきた。6泊7日の4人を乗せているという。赤水渓谷に行くと言うと、よく知っているなぁと驚かれた。紅葉を楽しみつつ、下る。 下りはさすがに出会わず、国道に出てから、鹿の浦展望所に立ち寄る。絶景だ。風力発電が並ぶ。地元の女の子三人があずまやで景色を見ながらいたので、こんな良い景色をいつも見れて良いねえと声をかけた(下の写真)。ふるさとを離れることがあっても、火野正平さんのサイクリングの「こころの風景」として手紙に書かれるだろうなとふと思う。 ![]() ![]() 途中、コンビニで明日のおにぎりを仕入れ、ガソリンも入れて、森吉山荘を目指す。途中の森吉山ダムは石積みで、森吉山が美しく見えた。 信号もほとんどなく、快適に走るが、森吉山荘はぽつりと一軒家という感じだった。ツインのシングルユースで予約したのにシングルであったり、Wifiが部屋ではつながらないとか不満もあるが、露天風呂付きの温泉はなかなかで、フロントの人が山岳会の方で、赤水渓谷のことを詳しく聞けて良かった。 夕食は飲み放題で料理も、酒の肴になる料理という感じだ。きりたんぽもあった。高清水等秋田の日本酒3種もあった。胃がんで昔ほど飲めないのが非常に残念だ。多人数のグループはコロナ禍でも盛り上がっていた。 明日の沢の準備をして、早々に眠った。 2020年10月18日(日) 晴れ 霧が出ていたが、晴れてくるようだ。 天気予報は、秋田のみ曇り、受付の方が山岳会員で7時に宿を出て、8時スタート、15時リターンになると教えてくれた。 朝風呂に入り、弁当を受け取る。朝食は比内地鶏の弁当、牛乳、バナナ、ヨーグルトだった。GO TO トラベル事務局から推奨されたという。今時、弁当は見かけないと教えてあげる。 ![]() ![]() 鳥獣センターまでは、10q余り。ナビは出ない。すすきや紅葉の美しい道を走る。天気予報は外れて晴天となった。鳥獣センターは立派な施設だった(国の施設とのこと)。早20台ぐらい駐車していた。 歩き始めると朝日が差し込むブナ林に感激する。大木も多く、白神山地に負けていない(右上の写真)。途中、池塘のような水たまりにブナの大木が美しかった。赤水渓谷は文字通り言葉にならないほど美しく素晴らしいが、このブナ林も自慢できる。 ![]() 桃洞の滝分岐までも十分楽しめた。分岐で腹ごしらえと足元の支度をする。一旦、入渓し、再度、沢沿いの道を10分ほど歩く。 赤水渓谷は文字通り「天国の散歩道」。よくもまあ、こんななめが延々と続き、美しい紅葉があるものだとただただ感激だ。カエデの赤と黄色の混在が素晴らしい。 二か所ほど、おう穴の脇を慎重に通る。岩手と仙台からの4人組と親しくなり、写真を撮ってもらう。 私の最終到達点の兎滝も紅葉があでやかだった。水は少し少なく、桃洞の滝の方が勝ると岩手の方が教えてくれた。兎滝では、いっしょに昼食をと誘われ、岩手のリンゴ、柿、小岩井牧場のチーズをいただいた。 帰路は老人のカメラマンの方をおう穴で手を取ってあげた。分岐に戻り、桃洞の滝を目指す。滝の手前から入渓すると見事な紅葉が広がった。赤水渓谷に負けていない。滝は女性の陰部のような形だ。 帰路も雨を多少気にしながらブナ林を楽しみ鳥獣センター見学した。女性の係りの人から施設は国立であること、道は一方通行なので安心であることを教えてもらいほっとした。 森吉山荘で再度温泉につかり(前泊者は無料)、降り出した雨の中を空港に向かう。早めにレンタカーを返却する。走行距離は509qとなった。 手荷物は18sとなり、20kgぎりぎりだった。 空港の「あきた茶房」で地域共通クーポンを使い、秋田牛ステーキと高清水の純米大吟醸を堪能した。 帰りの飛行機も、ほぼ満席。酒を飲んでトイレを考えて、通路側の16Cとした。京急は特別快速に乗れて春日までは早かった。ただ、荷物は重く、寮までの坂は苦難だった。 翌朝は洗濯を4回もした。赤水渓谷は、私の登山人生で、BEST3かもしれない。ちなみに、残りは、雲の平と赤木沢。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 以下、兎滝。沢の師匠のO夫妻がいてくださったら、遡行して周回も可能 ![]() ![]()
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