荒島岳 1523m |
【データ】
|
日本百名山も70座まで来たが、残りはじっくりという感じになってきた。西日本で残る荒島岳と石鎚山は、コストパフォーマンスを考えて、初めてツアー登山を使うことにした。 荒島岳は名鉄観光で日帰りで格安(7500円)というのもあったが、渋滞やツアー登山のペースからは、登頂不可能というおそれもあるので、無難に関西ツーリストの夜行日帰りのものとした。これは、ホワイトベアファミリーとの提携ツアーで私は後者のハッピーホリデー倶楽部の会員なので、500円割引となり、13300円であった。 寮で準備を済ませ、集合場所に早めに着いたが、ほとんどの人が集まっていた。何と42名で満席だという。私の隣席にも 添乗リーダーは4人で年輩の男性一人に、女性二人、若い男性が一人であった。42名中、私より若い人は祖母の付き添いと思われる学生二人と、カップルが二名の4名であった。男女比は半々である。 バスはトイレもない普通の観光バスで、運転手は二人ついていた。福井までの距離はわずかなので、大津でトイレ休憩をとっても、鯖江には1時半前についた。ここで4時半までの仮眠が告げられたが、4時10分に午後の天気が悪くなりそうとのことで、5時出発に変更され、それまでに朝食と準備を終えるように言われた。 梅田出発後は、リーダーの中田さんからは、晴天が期待されるとの話とネット情報によるとショウジョウバカマやイワウ 福井インターチェンジで降りた後、ローソンで昼食を積み込む。途中の田の畦に芝桜がたくさん植えられ、満開で美しかった。ふるさとを愛する気持ちが伝わる。 登山口に少し迷い、地元の人に確認するというハプニングはあったが、無事、中休の登山口に着いた。本日のコースは勝原スキー場からのピストンではないことを気に入っている。 登山口からは右奥に積雪の多い山が見えたが、経ケ岳とのことであった。入念な体操が始まる。ツアー登山ならではの良さだ。ただ、弁当は、コンビ二おにぎり3個とお茶のペットボトル1本というのは残念であった。もう数百円奮発しておかずつきの幕の内にしてほしかったが、ローソンといえども早朝に準備は難しいのであろうか。 10人ずつの班に分けられるが、班間に時間を空けないので、狭い登山道で出会う登山者からはブーイングをうけそうだ。 舗装道をしばらく歩くと中出のバス停でチューリップがたくさん咲いていた。ここは、バスの便がけっこうあった。しばらく進むと植林帯だがたくさんのかたくりが咲いていたが、皆花の色が薄かった。こぶしの大木も満開で見事であった。まむしが一匹道路で死んでいた。一人の人が頭を踏み潰した。こういう人いるんだよなぁ。 地図にパーキングの位置表示のある小広場(みずごう)で小休止となる。左手の林道をさらに進むとようやく登山道となる。早くも残雪だ。ここからはショウジョウバカマやネコノメが咲いていた。ここのショウジョウバカマは花が大きくて色が濃 林道終点手前では、豊富な残雪をまとう赤兎山が見えた。この辺りもはショウジョウバカマやイワウチワがたくさん咲いていた。林道終点には、新しい「中出登山口2.5km、荒島岳3.3km」標識があった。ぶな林の雪も豊富になり、小荒島岳への急登がはじまる。 少し先で雨が強くなってきたので、レインウェアを着るはめになってしまった。 小荒島岳からは眼前に荒島岳の勇姿が間一髪で見え、しばらくするとガスで被われた。シャクナゲ平を前にすばらしい姿であったが、遠く高く見えた。この先はすべてガスの中であったのでラッキーであった。 シャクナゲ平への道でリーダーが道を見失う。確かにテープが少なく、残雪期は注意が必要だ。そんなわけで小荒島からシャクナゲ平間もコースタイムの倍近くかかった。時間はたっぷりあるので、その分楽と思うようにすると、いらいら感はなかった。 シャクナゲ平で、下山したい人が数人いたので、残る者のみが登頂する。リーダーの宮本さんも下山したいと手を上げられた、場が和んだが、こんな天気の中、本音だろうなと思った。 シャクナゲ平から山頂に向かう道は、一旦少し下る。すぐに右手に佐開コースだ。小荒島岳から見えた林道につながる。ここから山頂までの道は厳しいと懸念されたが、残雪は豊富だが、登山道は、ほとんどが雪がなく助かった。雪も数箇所のみで、一箇所のみ神経を使う箇所があった。雨も時折強く、気温は零度近いと思われたが、ショウジョウバカマはここかしこで咲いていた。ガスの中の急登で、途中、休憩なしにブーイングもでたが、私から見れば、ペースは早くないし、1時間ほどの上がりなので不満はなく、ツアーのリーダーは大変だなと感じた。 ずっとガスの中、ゆるやかな残雪になると、先頭のリーダーが、頂上についた無線が入る。三角点も雪の中だが、荒島大権現の祠は雪をかぶっていない。山頂は展望がないだけでなく、風も強いので写真とおにぎりを一つほおばるだけで下山となる。この時点で幕の内弁当をもらっても仕方なかったなと感じる。それにしても白山を見ることができなかったのはかえすがえすも残念である。 危険箇所でアイゼンをつけることになったので、時間がかかり、上りとさほど違わなかった。シャクナゲ平からは遅い人を前に歩かしたことや粘土層の道にスリップしないように慎重に下ったので、時間がかかったが、ぶな林や満開のこぶし、そして何より、今まで見たこともないイワウチワの大群落が満開で感動する。 しんがりを歩く関西ツーリストの社員の辻さんは、年齢の割りに落ち着かれた好青年で、イワウチワの大群落の写真を撮っても展望のなかった分、せめて花だけでも楽しんでくださいと言ってくれる上、ツアーにまつわるいろいろな話を聞かせ ようやくたどりついたリフト上からはガレキの道で、皆疲れているのかリーダーから注意喚起があったが、浮石等で尻餅を着く人続出であった。 スキー場のトイレ前の水で泥をおとし、温泉に向うが、40分もかかるとのこと。待ちきれず、頂上で飲めなかったビールを口にする。温泉は広くて、ぬるぬるするいい湯で時間もたっぷりとってくれたので楽しむ。 帰りのバスも渋滞もなく、隣席の山田さんと楽しく話し、時間が短く感じられた。最後の中田リーダーの登山の振り返りの話も味があり、いいしめくくりであった。また、ツアー客の人間模様も見え、それもおもしろかった。 ツアー登山を総括すると、思ったほど団体行動の制約を感じず、ペースも睡眠不足の体力では、いらいら感もなく、バスの運転手も含めてスタッフもいい方で、好感が持てた。また、歩行中はぺらぺらしゃべらなく、適度に距離感もあり、単独行ほどではないが、山の空気も感じられた。
|