金曜日までの東京出張があり、もう一泊して、土曜日を山行に当てることとする。晴れれば、谷川岳にと思い、土合から土樽への縦走をと時刻表等研究していたが、やはり梅雨のせいか、予報は曇とのことなので、危険でない無難な大菩薩嶺とすることとした。展望の山で、展望がないのは残念だが、つつじの見頃とのことや、中央線塩山〜韮崎間開業百周年イベントで大菩薩の湯が半額になるクーポンをたまたま手に入れ、大菩薩 へ行けとの思し召しかと思い、決定した。天気予報は、曇とのことだが、山沿いはどうであろうか。
4時半前に起きたが、さすがに少々寝不足である。5:18発の中央線は、徹夜明けかたくさんの若者が並んでいて驚い た。座れたので、うつらうつらしながら向かう。高尾では、前のホームから出発したので、乗り換えは楽であった。青空も見えるが、大菩薩側はガスにかかっていた。登山姿の人も結構乗っていたが、塩山で下りたのは、数人で、登山口行きのバスに乗ったのは、若い女性2人と男性1人だけだった。同時刻に登山口行きのバスがあり、出発して一瞬驚いたが、運転手さんに聞くと、我々が乗った方が少し早く着くということであった。バスの料金は、ガイドブックでは、510円となっていたが、何と100円であった。どこかのHPに書いていた気も するが、真実であった。運転手さんに理由を聞いても教えてくれなかった。何か幸せ気分になるのがおかしい。
バスを降りて帰りの時刻を確認していると、前のバスの運転手さんが、早く登らないと雨になるよと言うので、追い立てられるように出発する。軽装の登山姿ではない若者は、非常に早足で進んでいく。しばらくは、上日川峠まで続く舗装道路を行く。トイレも2箇所にあった。左に深田久弥氏も取り上げられている雲峰寺があったが、見送る。早くも上日川峠まで登山者を送り届けたと思われるタクシーが下りてきて思わず手をあげそうになる。ショートカットの登山道に入ると、左手に栗林があり、柵で囲まれている。右に川を見ながら、はるせみの鳴き声の中、ふかふかした道を気分よく歩く。
再度舗装道に入ると、すぐに地蔵茶屋で、右手の 千石茶屋の方に入る。千石茶屋登山道を経て大菩薩峠へという標識もあった。千石茶屋の前に行ったが、そこからどちらに行くか不明であったが、後から来た若い女性2名が茶屋の前を通り、下の舗装道を上がるのが正しいと教えてくれた。5分弱で左の登山道に入れという大きな看板があった。最初は急登であったが、ほどなく歩きやすい傾斜となる。ぶなを中心とした自然林で、気持ちのいい道だ。8:53、左側が切開かれ、下に川。対岸の上部に道路が見える。上の方はガスがかかっている。それから10分ほどで、つつじが出だし、そこからは、下山まで種々のつつじを見る。やまつつじ、みつばつつじ、レンゲツツジが主である。
9:17やまなしの森100選大菩薩のぶな林という標識がかかる箇所に着く。確かに見事なぶなも多い。また栗の巨木も多かった。左上に道があり、ガードレールが見えたのが興ざめだが、見事な樹林帯である。咲き誇るつつじの大木もあったが、少し遠く邪魔をする木があり、写真にはおさめられなかった。栗の大木にコハウチワカエデが寄生していた。
ほどなく着いた上日川峠は、標高1530m。ロッジ長兵衛があり、生ビール600円、小300円には惹かれた。何せ大変な汗をかいていた。20台も止められる駐車場があり、ひっきりなしにタクシーが着て、さらに先の福ちゃん荘まで乗り込むタクシー(マイクロバスまでも)が多い。登山口から標高差700m弱を稼ぐわけだが、負け惜しみでなく、道も良いこのすばらしい森を歩かないの は心から勿体無いと思う。トイレも立派で新しかったが、清掃不足であったのが残念だ。
福ちゃん荘までは、車道ではなく、平行する左の山道を歩く。低い笹にからまつの林だ。ここも美しい森だ。時折車の音が聞こえなかったら最高だが。福ちゃん荘は、2002年9月に皇太子様と雅子様が来られたということで休憩所という看板が掲げられていた。ここでおにぎりを食べていると、ひっきりなしにタクシーが着く。広い林道を進むと右手に富士見山荘、富士見平の富士という看板とともに展望台があったが、今日は用をなさない。ここから富士見新道が稜線につき上がっている。福ちゃん荘から10分足らずで林道が終わった。 しかし広い道で歩きやすい。樹齢200年を越えるコメツガ、トウヒの針葉樹林が広がる。晴れ間も見え、見事なミツバツツジの大木に感激する。
介山荘までの道は傾斜も大したことなく楽勝であった。建て替えたのか新しい。日の出・日の入・夜景展望の宿介山荘という看板がかかっていた。ここからの大菩薩嶺への展望はよかった。しかし 本当であれば、南に富士、南西に南アルプス、北西に乗鞍、八ツ、金峰が見えるはずなのである(新しい展望盤で確認できる)。今日は眼下の上日川ダム(右上の写真)と街並みだけ(塩山?)である。峠で記念写真を撮り、たらみゼリーで元気をつける。
左手の美しい笹原と新緑を見ながら、がれた道を一上りするとさいの河原で、大菩薩嶺への美しい稜線が見えた。点在するツツジが彩りを副える。ここにある小屋も美しく十分泊まれる。風がここちよい。足下には黄色と白の小さな花がたくさん咲いていた。白はチングルマを小さくしたような花だ。
街並みがよく見えるので、妻に電話するとつながった。うぐいすの鳴き声を間近に聞きながら登ると、富士見新道や唐松尾根の神部岩、雷岩で展 望もいいので、たくさんの人が食事をしていた。雷岩から樹林帯に入ると、濡れた箇所が多く、歩きにくい。着いた山頂は一組の人だけであった。理由はたくさんの小バエで、食事どころか休憩さえもままならない。三角点に触れ、写真を撮り、早々に引き上げる(右上の写真)。丸川峠への道は、歩く人は少ないようだ。今日だけでも大菩薩嶺には、何百人の人が登山していると思われるが、登山口からの人は5%もなく、周回する人は、1%というところか。
丸川峠への道も最初は、じぐざぐに下り、ほどなく、巻くような道となる。10分弱で、やまなしの森100選大菩薩稜線コメツガの森という標識があった。確かにすばらしいコメツガの樹林である。丸川峠の周りのレンゲツツジ(左の写真)は、小屋の後ろが満開(右下の写真。小屋の後ろの赤色がつつじ)、斜面は蕾が中心であった。レンゲツツジは、色が濃く大きい。小屋の周りにはキンポウゲもたくさん咲いていた。静かな別天地の感がある場所だ。 しかし、小便の弊害・外来種の増加等環境悪化の警告の看板もあった。
下り始めると、満開のやまつつじに目を奪われる(左下の写真)。ここかしこに咲いていて、10分強ほどの気を使う急な下りも苦にならない。しかし暑さで喉がかわくので、ペットボトルを片手に下る。徐々に道はゆるやかになり、水音が両方から聞こえると、ほどなく林道に下り立った。5分ほどの小沢で顔を洗い、進むと、小雨となる。ぎりぎりセーフである。
昭文社のコースタイムでは、6時間45分となっていたが、5時間10分ほどで回れた。ちょうど良い時間に下りたので、大菩薩の湯に立ち寄る。入 り口のしゃくやく畑が満開であった。次のバスまで十分に時間がある。クーポン券を使うと、半額になり、バス代とともにラッキーである。大きないい施設で、アルカリが強いので、すべすべする。
入浴後バスまで時間があったので、食べられなかった昼食用の冷やし中華を休憩所で食べるが、大変な人だ。帰りのバスも席が埋まるくらいの人であった。駅では時間があったので、ベンチでビールを飲み時間をつぶす。飾っていた花しょうぶが満開で美しかった。
予定より2時間も早く終えたので、弟に会いに赤羽に向かう。途中本格的な雨となる。いろいろな駅で、登山者が乗り込んでくる。中央線沿線はやはり登山対象の山は多いようだ。これで日本百名山は45座となった。
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