大源太山 |
【データ】
【メンバー】 |
折角、東京に住んでいるので、この季節、残雪と高山植物に出会わない手はないと考え、思案し、浅草山と平標山が候補となったが、浅草岳は、昨年の水害で登山口までの道路が通れないということで、平標山とした。浅草岳は、大好きな「ヒメサユリ」が見れるので、来年は、復旧してほしいものだ。 弟の車を借りて、前夜出発の日帰りも目論んだが、金曜日に中国でお世話になったO君が帰国し、飲み会が入ったので、夜行バスとするか悩んだが、睡眠不足の山行は楽しくないだろうと考え、一泊とした。問題は、天候だ。 それがラッキーなことに、台風の影響か、梅雨時には珍しく、予報は良い。その分、早朝の高速バスは満席となり、行きは、再び新幹線とした。それでも、単独なら、高速代とガソリン代に比べれば、同じぐらいだ。 寮の土曜日の朝食は、豪華で、栄養をつけてから、コンビニに寄り、行徳駅から日本橋経由で、上野駅に向かう。予定していた「MAXとき」より一本早い「MAXたにがわ」に乗る。自由席も多く、二階建てなので、ゆっくり座れたが、この二階列車は、リクライニングもなく、三列三列でどうかと思う。ぼんやり景色を眺め、また、中上健次の小説を読むうちに越後湯沢に定刻に着いた。 高崎辺りでは晴れていたが、トンネルを越えると、山は濃くガスがかかっていた。がっくりである。物寂しい駅前と、梅雨独特の雰囲気に、八甲田山等、これまでのこの季節の山行を思う。公私共に親しくしていただいた方達が60過ぎで逝き、人の一生を思うことも多い。こんなことを考えるのも単独行ならではだ。 ![]() ![]() バス待ちは、山ガール二人連れが二組加わった。途中、湯沢IC近くの小原バス停から、若い単独行の男性が乗車した。バスは国道17号を快適に走り、貝掛温泉等を通り、定刻に平標山登山口バス停に着いた。厳密に言えば、運転手さんが親切で便利な少し手前で、降ろしてくれた。中上健次の「岬」を忘れそうになったが、若い男性が気づいてくれ、助かった。 150台止められるという駐車場(500円)は満車だ。トイレ横から登山道を進むと、わずかの歩行で、舗装の林道に出て、ここで、周回コースが分岐した。私は、平標山の家に向かう。林道歩きかと思っていたら、川沿いに登山道が整備されていて(右上の写真)、水音と木々の美しさに重い荷物も気にならない。 途中からは林道歩きとなったが、カラマツや広葉樹の林相は豊かで、苦にはならなかった。単独行者が続々と下りて来る。中には蚊取り線香をたきながらの人もいた。ネットデータにより、虫除けネット共に、団扇を持ってきたのが正解だった。車止めゲートの少し先で、もぐらが死んでいた。 登山口は、ダケカンバの林が美しく、虫が気になるが、ここで少し腹ごしらえする。定番の稲荷ずしはなかったので、今日はオムライスおにぎりだ。なかなかいけた。管理人のものと思われる車が2台止まっていた。 ここは「満天の星降るごとし 登山小屋」の石碑があり、白樺の生える休憩最適地だ。 ![]() ![]() 20m上に水場かあり、冷たい水が湧き出ていて、美味かった。ここからは、階段がずっと続くが、段差は小さく歩きやすかった。団扇であおぎ、虫をよけながらの上りだ。ぶなやダケカンバの大木が多く、標高に比べての関西の山との違いを感じる。それでも荷物の重さに負けて、休みがちになり、1.5倍の時間がかかった。ただ、まばゆいばかりの緑には癒された。 ![]() ![]() 小屋まで少しのところまで来ると、苗場山の大展望が広がった。盛んに写真を撮る。独特の平らな山容も.残雪を抱くと素晴らしい。 ![]() オオナルコユリ保護の看板を見ると、小屋はすぐだった。「平標山の家」は近年、建替えたとのことで、快適だ。水もふんだんにあり、トイレもきれいだ。展望デッキや鐘もある。ベンチも多い。テント場は二箇所で10幕ぐらい張れそうだ。そして何より、展望が素晴らしい。残雪を抱いた平標山に仙ノ倉岳、険しい大障子の頭の絶景は格別だ。 寝具なし素泊まり小屋は別棟だが、営業小屋と遜色なく、同じように美しい。先行客が二組既に入っていた。単独行の女性が、本を読んでくつろいでいた。 管理人は親子でやっているようだ。どちらも雰囲気のあるホスピタリティ豊かな素晴らしい管理人さんだ。この方たちを慕って来る者も多かろうと思う。筋雲を見て、明日の天気は悪いとベテラン登山者が言っていて気になったが管理人さんは大丈夫だという。それで「大源太山」をピストンすることにした。 ![]() ![]() 花は、コケモモ、イワカガミが多い。タムシバやドウダンツツジも盛りだった。何より、谷川岳までの大展望が素晴らしい。大障子の頭から先は、ガスがなかなかきれないのが面白い。そして何より人は少ない。出会った調査をしているような若いカップルとは、後日談が生じた。携帯が通じる箇所があったので、家内にメールする。 ![]() ![]() ずっと、虫がまとわりつくのがうるさいが、団扇の威力発揮だ。三国山との分岐からの林も美しい。山頂稜線に出ると、南南東に町も見えた。山頂には三等三角点があり、展望はなかなかだが、完全にはガスが晴れない。虫と暑さがひどいので、ほどほどにして戻る。 ![]() ![]() ![]() ![]() 小屋は快適で、持ち上げたビールやウイスキーの水割りを楽しんでいるとバスで出会った単独行の人と話す。38歳で、山をはじめて5年め。テント泊で、明日は、谷川岳を目指すという。雲の平近くの高天原温泉泊を是非とも薦められた。管理人の人に皇海山等の山名を教えてもらい、楽しい一 ![]() ![]() 影は寒いので、小屋内に入り、絶景を見ながら、ちびりちびりやる。この上ない幸せだ。大障子の頭を、滝雲のように雲が流れる。小屋でこんなに静かに景色を眺めたのははじめてかもしれない。 ![]() ![]() 単独行の女性が夕食をはじめたので、私もレトルトカレーを温める。聞くと、明日は谷川岳を目指すという。私もそうしたら良かったかと思うが、今日のペースでは難しい。 ![]() そこへ高年の女性二人組みに加えて、若いカップルがやってきた。管理人と親しく、大学院生で調査に来ているようだ。聞くと、高山に住む動物の分布調査だという。おこじょの獰猛さやてんやきつねもいるという話。さらに、もぐらの質問にも、もぐらやこうもりはすぐに餓死すると教えてくれた。色々勉強になった。この調査は、高山では鳥が実を食べず、種が運ばれないので、動物がどのように植物分布にかかわっているかという研究で、糞集めが主だ。女性はワンゲルをやっていて、好きな山域が担当になって良かったと喜ぶ。車の鍵を落としてしまったのが大問題のようだ。 |