丹後半島の山や三室・藤無が終わり、遠方の山々も、徐々に減りつつあるが、地元和歌山の「嶽の森山」が残っている。半 作嶺といっしょにこなすのもいいが、長い運転もおもしろくないので、妻に観光ドライブでつきあってもらうことを考える。
一枚岩という名勝があるので、妻にもいいと思ったが、妻は、先日の磯砂山の登山口のように何もないところだったら、薄気味悪くてたまらないと思っていたようで、物産センターも開店しているのを知り、ようやく出かける気になったようだ。ただ、数日前の朝日新聞に月の 輪熊が出没している記事が大きく載ったので、リュックつける鈴を二つもくれる用心のしようである。
私も梅雨前の晴天で海もすばらしかろうと思い、楽しみにしていたのだが、前夜遅かったため、妻が朝予定通りに起きてくれなかったら、出かけたかは怪しいところであった。
早朝の道を海南ICまで気持ちよく走る。高速道路は南部まで伸びているが、吉備と御坊の間は阪和道ではないので、通勤 割引も1700円の半額とはならず、1200円であった。海南と吉備間は、最近阪和道になったが、どういう基準であろうか。
いずれにせよ、高速道路のおかけで、田辺までもあっという間に着くが、昼食用の弁当確保のためにコンビニに立ち寄るが、どこも品数が少ない。売れ残りを避け、あまり数を用意してないのか、または配送前だからか?
田辺バイパス前のマクドナルドで、朝食を仕入れ、南に走る。富田川から、椿温泉を過ぎると、海の青さは輝きを格段に増す。すさみ の道の駅イノブータンを過ぎ、恋人岬に立ち寄り、黒島を見る。海が「珍島物語」の歌にあるように割れているようだ。
すさみ町のHPには「JR見老津駅の近く、国道42号沿いにふたつの黒島を含めた壮大な景観が広がります。激しい海流が陸の黒島に当たり、真っ二つに裂けた波が再びぶつかり合う様は合掌波や夫婦波と呼ばれ、枯木灘を代表する奇観です。」とあるが、すばらしい景観に妻としばし見とれる。
妻もこの景観を見ただけで、来た甲斐があったという。それにしても何回か見たはず なのに、気がつかなかったとは。ブーゲンビリアも咲き乱れ、遠くに旅した感をもつ。
満足してさらに南下する。和深の交差点から、県道に入るが、細い箇所もあるが、さほど苦労せず、光泉寺の標識があるところに着く。妻が古座川町のパンフレットで、見所のひとつとして、研究していたので、立ち寄る。
見事な大木で、黄葉の時期はさぞかしという感である。また気根がすごくて、このためか「子授け」とあがめられている。ただ、残念なことに昨年、台風の倒木を気にしてか、最上部を切っていた。
見学後、一枚岩に向かう。ほどなく、R371に合流すると、一枚岩まで9kmとの案内があったが、4kmほどであった(トンネルが開通したせい?)。その 前に天柱岩という奇岩もあり、見所は多い。
一枚岩は期待通りの迫力があった。下山場所を確認した後、一枚岩トンネル手前を下流から来て右折すると、すぐに建設会社の広場があり、登山口の標識とコースの案内板がある。
妻に1時間20分ぐらいで下山できると思うので下山場所に11時に来てもらうよう依頼する。早々に準備して、案内に従い進むが、取り付き部分は雑草等で分かりにくい が、すぐのところに「嶽の森」の表示があったので、安心して進めた。
すぐに鹿ネットがあり、踏み跡の薄くなった部分もある道を進むと、10数分で登山口と古座川の展望がきいた場所に出た。その先も単独行なので慎重に進むと、左に下の峰と思われる岩峰も見えた。
5つめの鹿よけネットが最後で、その先には崩壊箇所があり、上を巻くようになっていた。さらに進むと、分岐があり、左方向の道に1mほどの丸太を数本つなげた小橋が見えたが、正解は左の道でなにく、直進の方だ。少し 先に「嶽の森」の表示があったので、確認できた。この辺りも草が生え、踏み跡を忠実にたどる必要がある。
要所には「嶽の森」の→看板があるが、油断は禁物だ。小沢沿いに進むと、ほどなくスラブだ。岩に足跡を彫ってくれているので滑らない。独特の景観とルートを楽しめた。風も心地よい。
スラブが過ぎると右に取り付くロープがあり、登ると左にへつる道だ。慎重に進む。さ らに小沢にかかる1メートルほどの木橋を過ぎ、幼木の植林帯を進むと細いそま道と交わる十字路があり、ここから5分ほどで、一枚岩トンネル登山口と一枚岩登山口及び峰ノ山方面の分岐すなわちT字路であった。
嶽の森へはロープ場もあり(危険はない)、よじのぼると山頂であった。展望はすぐれている。眼下に下の峰も見え、大塔山、法師山、烏帽子山も見えると資料にあるが、広域地図を持たず、同定はできなかった。
妻を待たせまいと写真を撮り、早々に下山する。下山路はT字路から5mほど峰ノ山方面に進むと「一枚岩」←の表示があり、左に下る。きれいに整備された植林帯の階段道だ。歩きやすいので、妻を待たせなくて済みそうだ。風が心地よい。
15分ほどで沢と出会い、踏み跡のしっかりした道を進むと広い林道に出た。予想に反して林道は極めて短くすぐに妻の待つ下山場所で(上の写真)、休憩を入れてちょうど1時間20分であった。
妻は物産センターでコーヒーを飲んだり、店の人にいろいろ聞き、ちょうどいい時間つぶしになったという。私の父にジャムのおみやげをかってくれたとのことだ。私も物産センターに立ち寄り、柚子のジュースとシャーベットを食べる。柚子は古座川町平井という集落の名産とのことだ。シャーベットはお薦めである。
一枚岩の写真を撮ったり、物産センターから少し先のキャンプ場入り口のパーキング(トイレもある)あたりの満開のあじさいをめでる。それにしても一枚岩は見ごたえがある。雨の日も雨のときだけの七滝が出現するそうだ。
折角なので七川ダムまでドライブする。ダムそのものは大したことはなかったが、分岐まで戻り、湯の花温泉方向に向かうと改めてダム湖の大きさがうかがいしれた。
ダムのほとりには、3000本の桜が植えられ、見事とのことだ。湯の川温泉古座川荘は 午後3時からの上に日帰り入浴はだめとの表示があった。
折角なので一枚岩を見ながらの昼食とする。うぐいすの鳴き声もすばらしい。帰りも和深まで県道をたどる。
R42沿いに前から妻が入りたがっていた「cafe panorama」がオープンしていたので立ち寄る(上の写真)。ここはすばらしかった。まずエントランスがすばらしく、ペチュニアが咲き乱れる庭がある(右の写真)。白い瀟洒な建物に入ると大きな窓が開放され、大海原が目の前に広がる。テラスに出ると人工物はない景色が眼前に広がる(下の写真)。
アメリカから墓参りに来たという4人のお客さんが帰った後、年配の マスターからいろいろお話を聞く。これが楽しかった。新しく見えるが、早20年近くになること、来た当初は波の音で眠りにくかったが、今はないと寂しいということ、テラスからは、台風のせいか波が高いこと、霞んでいるのは黄砂のせいだということ、R311が整備されてから、R42を通る車が激減したこと、何より喫茶店に入るカップル特に若者が減ったこと(その原因はフリーター等の薄給で貧乏になったせいだと分析されていた)等々
しかし若者よ、コンビニのペットボトルの3倍はするが、この空間を体験しないのは、人生において大きな損ではないかと感じさせてくれる店であった。今日の一日は山登りというよりドライブであったが、実に思い出に残る日となった。
これで関西百名山も近畿百名山と同数の92座となった。妻に付き合ってもらって、楽しいドライブとなり、よかった。
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