Iさん夫妻、Mさんといつものメンバーで今年最初の登山。今日も高温で、15度以上になるとのこと。近畿の山々は、樹氷がないと思われるので、山と渓谷社のアルペンガイドに詳細にコースが紹介されている南紀の山、「嶽山」を目指す。ガイドによると「大塔山系 のゴンニャク山の北西から南西へ派生する支脈の端にある鋭鋒。標高は850mで高くないが、岸壁や岩尾根をまとい、鋭く谷を刻む山容は登高意欲をかきたてる」との紹介だ。
年度末で小泉改革とは無関係のように道路工事が多い。しかし高速道路以上に和歌山から新宮への斜めに入る国道424や県道は重要で工事が継続されることを望む。鮎川からの県道の工事も、順調に進んでいたが、まだ2年ほどかかりそうだ。登山口の柿平は、R371から県道219に入って4kmちょうど。ゴンニャク山のとき、ガイドにある桜の古木を見つけていたので迷わず到着。消火栓にかからないように駐車する。
とりつきは、民家の間からという紹介があるので探すと、桜の古木の安川よりの家の先から畑に登るような道を進むと、登山道となるところに赤テープがあった。よく見ると道路の電柱に嶽山と小さく黒字で書いてある。登山道にとりついて直ぐの左右分岐は右に進むが、植林までの急登は手入れされていず、野ばら等ブッシュに悩まされる。南斜面で早くもアセビの花が咲き始めていた。大変な急登で下に民家が小さく見える。植林に入っても急登が続く。松の大木の多い自然林になる頃、真新しい「入山禁止 きのこを取るな 山主」という立札が2つもあった。赤テープも多く、迷うことはない。露岩が出始めると、巨岩が現れ、足元に注意を要する箇所もある。
更に進むと展望岩となった。思っていたほど大きな岩ではないが、切れ落ち、昨年苦労した野竹法師や大塔から法師への山並みが見えたが、ガイドの記載と異なり、嶽山山頂方面は、木が大きくなり見えなかった。山頂まで30分のガイドを信じ、ヤセ尾根を進むと、シャクナゲも多くなるが、余り蕾はなかった。鞍部のように少し下るところからは左手に西尾根の烏帽子岩が見えた。経験者が同行し20mのロープが必要というガイドの紹介もうなづける。
小さい人工林を抜け出た広場には、NHKのアンテナがあり、展望が良い。3人のグループが下りて来た。南東尾根を上ってきたようだ。聞くと崩壊等はないという。一頑張りすると、北峰と南峰の分岐に出て、三角点のある左手の北峰に進む。いくつかのプレートと三角点はあったが、かすんで田辺湾は見えず、木が伸び野竹法師も見えない。写真を撮り、ガイドによると展望の良い南峰に行ってみるが、こちらも木が伸び、大塔山系山並み一望のガイドは全くはずれていて、北峰に戻って昼食とする。
下りが気になるが、ビールと大吟醸「一」、有明の七味海苔やIさんの焼いてくれた厚揚げを肴に乾杯。楽しい一時を過ごす。下りの急峻も気にせず、結構飲む。1時間半も楽しみ、南東尾根を下るが、予想通り木をつかみながらの下降。ヤセ尾根で展望はいいが、緊張する。また、当初はあまりテープもなかった。ガイドにある「潅木の茂る間に続くかすかな踏み跡」という表現は当たっている。最初の岩場手前でIさんの携帯電話が鳴る。稜線ではこんな山奥でもつながるのだ。九州の山仲間からだった。向こうも盛り上がっているようだ。展望のいい箇所があり、大塔山も美しいが、かすんで写真にはならない。半作嶺や三森山も間近に見える。
最初の岩場は、左のガリー場を下り、手製のはしごに助けられ何とか稜線に戻る。こちらの尾根の方がしゃくなげは多い。二つ目の岩場は、左の支稜に下って折り返すのだが、Mさんが進み過ぎ、「余りにおかしい」というので、最後尾にいた私が気づき、右手に消えかけた岩に書かれた赤ペンキの矢印とその先に赤テープを3個見つける。その先には、再び手製の長い橋のようなはしごがあり、強度を気にしながらおそるおそる渡る。 稜線に戻り、岩場から解放されて、ようやく足取り軽く下ると、稜線まで崩壊がすすんだ崩壊地に出る。ガイドによると明治22年の大雨で崩れたとのことだ。しかし道はしっかりしていた。自然林の中の668mピークは真新しい黄色のテープに書かれていたので、一休みする。
更に下ると、ガイドでは幅1m足らずの岩の割れ目を飛び越えと書いているが、飛び越えず、右を巻いていた。50mほど下ると、ガイド通り尾根の分岐点で、木の幹に黄色テープが巻かれ、赤ペンキで「ヤス」という字と左に矢印が書いていた。見落としそうなので注意はありがたい。左の中は踏み跡が薄いが、よく探すとテープがあった。その先もシダの多いところは踏み跡が薄く、テープが少なく惑わされたリして、急坂でのんびり下りれる箇所はほとんどなかった。お酒の酔いでいつもは眠りながら歩くIさんも今日は眠れない。瀬音が高くなるとようやく林道近いが、水路に出ての左に下りる道も急で慎重を要する。
林道に出ると、ここがとりつきかと疑う小さな登り口だった。真新しい黄色や赤のテープにマジックで嶽山登山口と書かれていただけで標識もない。遅れて下りてきたMさんは、つかんだ木が折れ、滑り腕に擦り傷をおっていた。厳しい山だったが、皆満足げだ。30mほど進むと、安川渓谷に続く北ノ川谷橋で山の神があり、お参りする。20分強歩くと、駐車場所で、車でほどない乙女の湯を楽しむ。シャンプーも用意され新しい上の300円は、本当に安い。充実して帰路に着く。奈良交通の大型バス2台が先を走る。この道をバスは珍しい。「ほんまもん」の影響だろうか。
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