果無山脈 安堵山・黒尾山・冷水(ひやみず)山  1184、1235、1262b

 


データ】     

2000年10月22日(日)曇り  歩行時間2時間15分
7:07自宅 7:41海南高原CC分岐 8:21しらまの里 8:33笠松 9:00水上トンネル分岐 9:05県道十津川線分岐 9:20加財分岐 9:45龍神本宮広域林道展望台登山口 

10:00スタート 10:15安堵山頂上 10:34スタート地点 10:37展望台 11:07〜18黒尾山頂上 11:34小ピーク
  11:46〜12:31冷水山頂上 12:36果無橋分岐 12:49広域林道 13:17駐車地点ゴール

13:24帰路 13:40林道 13:46県道 13:51龍神温泉分岐 14:07R371 14:13〜47龍神温泉元湯 15:08千古の泉 15:28R424 15:35御坊分岐 16:35R42海南 17:30自宅 

駐車場
   龍神本宮広域林道展望台付近(3〜4台)

温泉】 
   龍神温泉元湯(600円)

メンバー
    AIさん
   


果無(はてなし)という何とも言えない風情を感じる名前を知りとその姿を見たのは、今から5・6年前の年末熊野古道の中辺路から熊野大社まで歩いたときであった。黒潮(和歌山)国体のときに登山競技に使われたことや「花の百名山」で有名な作家の田中澄江さんがその名にあこがれ、縦走されたことを聞き、是非とも早いうちにという思いであった。山と渓谷社から出ている「和歌山県の山」や国土地理院発行の地形図でみると最も安直なのは、安堵山と冷水山鞍部の林道に車を置き、ピストンをするもので、同行のAさんも山行きは久しぶりということと、今回は雰囲気を味わえればと言う思いで、そのルートにする。案内によると縦走するにはテント泊1泊2日で、特に冷水山から十津川温泉へのルートはブッシュで分かりにくいようだ。和歌山から龍神への最短コースを通り、加財から林道に入る。ここまでは一部道が狭いところもあるが、何しろ信号がないので早い。加財からの林道も舗装され、特に龍神本宮広域林道は立派なもので、公共投資のあり方に疑問を持つほどであった。


到着した鞍部には、既に2台の車があり、朝と違い、あいにくの曇り空となったが、大塔山や法師山等南の展望がよく、20万分の1の地図で山座同定する。周りは自然林であるが、何しろ立派な広域林道と林道が平行して走り、果無の名にそぐわない実態となっていた。安堵山へは、林道を避け、尾根道を進む。途中背丈ほどの熊笹が茂っており、和歌山県の山では珍しい感がした。10分あまりで到着し、三角点の確認と写真を撮り、少し和田の森方面に進むとすぐに林道と出会った。近辺の自然林は美しかった。林道の北側にはブナ等の大木が多く、見応えがあり、紅葉も盛りを迎えようとしていた。特に「樺」と思われる木が珍しかった。


駐車場に戻る林道の途中、笹寿司の葉を取る二家族がいた。冷水山に向かう道は、最初笹が深かったが、黒尾山手前ではすばらしい自然林で歩いていて気持ちの良い道であった。ただ、黒尾山を冷水山と勘違いしていたために、一休みする。天気が良ければ果無最高峰の写真を撮りたいところだが、あいにくのガスで諦める。その後、鞍部に下り、30分ほどで冷水山に着く。山頂は、ツツジ科の赤い紅葉もあり、秋らしい雰囲気だ。ただし、ガスで周りは見えず、逆にときどき覆われるガスの雰囲気が幻想的だ。
Aさんの手料理を楽しみ、ビールを飲む。果無橋林道への道は、急で転ばないようにするのに気を使った。林道沿いに「セイタカアワダチソウ」が進出しているのには、がっくりきた。すすきの原も侵略されてしまうのであろうか。


帰りは、早かったので、新装になった龍神温泉元湯を楽しんだ。源泉の温度が48度と意外に低かったのには、驚いた。すべすべして飲んでもおいしかった。人も多かったが、広くなったので、気持ちよかった。帰りは寒川への林道を通る途中、千古の泉なるものがあり、汲んで帰る。


*後日談

果無山脈については、山びとの記 木の国果無山脈(宇江敏勝著、中公新書)を読んで益々好きになった。この本は、炭焼きと造林業に携わった著者のドキュメンターリーだが、抑えた雰囲気が過去の読書で経験したことのないような読みごこちの良さを与えてくれた。そこでは、果無の意味は、「果てしない」という意味ではなく、伝説すなわち「昔、この山には、いっぽんだちたたらという怪物が棲んでいた。一つ目・一本足のその怪物は、ハテ(12月)の20日になると出没して、峠を越える旅人を襲って喰った。だからその日に限って、人の往来もなし(なかった)というわけである」とのことだ。もう一つ参考になったのは、かねてから稜線付近は自然林が残っている山が多いということへの回答だった。山全体を植林とすると、痩地化するおそれがあり、また尾根などはもともと土壌も浅くて、植林をしても経済効率か゜悪いとされているからだそうだ。また、自然のバランスを崩すおそれもあるからだとのことだ。しかし、この本は、そんな講釈よりドキュメント部分が良いのだ。 


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