八甲田山(大岳) 1584m 

 


データ】     


2004年6月27日(日) 3時間54分(上り2時間15分+下り1時間39分)

6:26ホテル発 7:15酸ケ湯温泉(900m)

7:33スタート <14分> 7:47大岳まで3.6kmの標識 <18分> 8:05大岳まで3.0 kmの標識 <14分> 8:19大岳まで2.5kmの標識 <14分> 8:33大岳まで2.0kmの標識  <14分> 8:47大岳まで1.6kmの標識<13分> 9:00仙人岱ヒュッテ分岐 <30分> 9:30〜34休憩<9分> 9:43鏡沼 <7分> 9:50祠 <2分> 9:52〜59 大岳(1584m)<17分> 10:16〜35大岳ヒュッテ <22分> 10:57ロープーウェー分岐 <9分> 11:06広場 <9分> 11:15長い階段 <19分> 11:34酸ケ湯温泉まで1.4km <7分> 11:41城ガ倉分岐酸ケ湯温泉まで0.9km <4分> 11:45酸ケ湯温泉まで0.5km  <12分>  11:57ゴール


12:00〜55酸ケ湯温泉にて蕎麦、温泉千人風呂 13:12〜24雪中行軍 13:30田代湿原P  13:34〜14:44田代湿原(空港から145.5km) 15:18〜26奥入瀬渓流館(170.7km) 奥入瀬渓流見学 15:42〜46雲井の滝 15:52〜57銚子大滝 16:00子の口(183.8km) 16:45分岐(213km) 17:12〜58温湯温泉鶴の名湯(238.5km) 18:40マツダレンタカー(263km)


20:45 青森発JAL1210便 → 22:00羽田空港着


駐車場
  酸ケ湯温泉駐車場(上を合わせると多数)

温泉
   酸ケ湯温泉(千人風呂 600円 シャンプー等無)
   温湯温泉・鶴の名湯(180円 シャンプー等無)


   



疲れが貯まっていることもあり、予定より少しゆっくり眠った。ホテル近くのコンビ二に立ち寄った後、酸ケ湯温泉に向う。朝の道は空いていて R102からR394に入り、快調に走る。カーナビによると酸ケ湯温泉まで40.7kmだ。酸ケ湯温泉の駐車場には車が多く、トイレもきれいだった。曇り空の中、登山口である国道394号線を少し上った鳥居に向う。上にも大きな駐車場があり、ビジターセンターもある。鳥居をくぐると山頂まで4.0kmの標識があった。

階段上の道を登ると噴火ガス跡が右にあった。雨で道がぐじゅぐじゅであった。ここしかし
こにネマガリダケ取りの人がい た。あまりとれないと言っていた。早、下山者が来た。朝4時に出 発 したとのことだ。しばらくすると円盤のような音だ。これもネマガリダケ取りの人であろう。右手に針葉樹が見えた。アオモリトドマツであろう。笹の中にはときどきピンクのうつぎが咲いていた。

右に沢音が聞こえると右側が開けた。ガス臭い。ここからは晴れてい れば南八甲田が見え、最高峰の櫛ケ峰も見えるそうだ。ここからは荒 涼としている。橋を渡るとかつての硫黄採掘場の地獄湯ノ沢だ。ガス 臭い。年輩の単独行者が登っていった。コケモモをいっしょうけんめい撮影している人もいた。橋があり、8:52には雪があった。再度の雪渓でスリップしてしまう。すぐに木道でイワイチョウ、イワカガミ、チングルマ、ミヤマキンバイ、ヨツバシオガマも咲いていた。目当てのヒナザクラも見れ、やはり高山植物はいいなぁと独り言を言う

仙人岱ヒュッテへの分岐を過ぎると、仙人岱清水または辰五郎清水と呼ばれる湧き水があった。木枠に囲まれていて、パイプから出る水を飲む。冷たくて本当に美味かった。花の写真を撮りながら進む。ショウジョウバカマが3本並んで咲いていたのが印象的だった。再び雪渓があり、少し大きかったので、ロープで誘導されていた。

また上りとなり笹の中となり小鳥が盛んに鳴いていた。ここからはアオモリトドマツの見事な林が広がるらしいが、ガスで見えない。急登となり、石カゴで守られた道を喘ぎながら進むと、鏡沼であった。爆裂火口に水がたまったもので、モリアオガエル、クロサンショウウオ、メススジゲンゴロウが住んでいると案内板に書かれていた。ガスの中で神秘的だ。


ここから先にはミヤマオダマキが多く咲くガレた木の枠の道が続く。少し
で左に祠があると大岳山頂であった。標高は1584.6m。ガスで見えないので展示盤を見て確認すると、南南東に八幡平・岩手 山、南西に鳥海山、西に岩木山、弘前市、北西に青森市、北に陸奥湾が見え るとのことだ。

 
下りに2箇所の雪渓があり、スリップしそうなので2つめでは軽アイゼンをつける。よく効いて安定感があった。多数の団体が上がってきた。たどり着いた大岳避難小屋は情報どおりきれいな小屋で、3つの扉で守られ、トイレも中にある。地獄湯の沢であった先行の年輩の単独者がいた。和歌山から来たことを話すと喜ばれ、仙人岱清水のドリップコーヒーをごちそうになる。実においしかった。方言がきつくて半分ぐらいしか聞き取れないが、何とも言えない暖かさが広がる。すぐ近くに住まれ、このコースはよく歩かれるそうでうらやましい限りだ。日本百名山も半分ぐらいは登ってみたいそうだが、「現役の時は暇がなく、定年後はお金がなく」と笑っておられた。

ここから酸ケ湯温泉まで4.6kmの標識があった(大岳からは5.2km)。しばらくして木道があり、まだミズバショウがたくさん咲いていた。ロープーウェー分岐合流地点からが上毛無岱だ。木道が続く雲上の散歩道を、写真を撮りながら進むと、チングルマは終わりかけだが(年輩の単独者の話では先週が見頃だったとのこと)、イワイチョウは見頃だ。私には天国への道と感じた。今まで歩いた道では「雲の平」と並ぶ感動ロードだ。梅雨空でしっとりとしているのが、単独行で転勤により新しい生活が始まる不安感と相俟って叙情をかきたてる。何か甘酸っぱい気持ちにさせられる時間だった。きっとこの山行は私の人生において強い記憶として残るであろう。

 
先に広場があり、小さな池があり、その先にハクサンシャクナゲが今日咲いたばかりという感じで、瑞々しく薄いピンクの花を開いていた。東北の初
夏を感じる。さらに進むと整備された長い階段があり、階段上部からの下毛無岱の眺めは絶景だ。ガイドブックによくある景色だが実物はすばらしい。下るとワタスゲが涼しげに盛りと咲いていた。こんなに気持ちよく歩いた道はない。ロープーウェーを使って妻を連れてきてやりたいものだと思った。

 シャクナゲは一箇所だけかなと思っていると森林帯に入る直前にも咲いていてコバイケイソウも一輪咲いていた。森林帯の中の階段を下るとお化け状態のミズバショウがあった。快適に飛ばすと、車の音が聞こえてきて酸ケ湯温泉が一望できる場所に出た。ネマガリダケをかついでいたご婦人二人にきくと不作でいつもの1/3とのことだ。いつもは一人50kgも取るという。

 

酸ケ湯温泉に戻り、先ずは蕎麦粉100%の酸ケ湯蕎麦(立ち食いだと天ぷら蕎麦で550円)を食べ(山形のときも思ったが十割はぱさぱさしている感がある)、名湯に入る。千人風呂には熱・冷・温の3種があり、男性は入って左側に入るのがエチケットとなっている。女性も二人いたが、湯が白濁していて気にせず入れるであろう。期待通り趣がある。飲湯するとすっぱかった。

 
余った時間で、観光見学とし、先ずは雪中行軍の後藤伍長を目指す。酸ケ湯温泉から十数kmだ。駐車場から250mほどのゆるやかな道を上ると立派な銅像があった。かつて見た八甲田山死の彷徨の映画が印象的で、このシーンもよく覚えている。再度映画を見てみたい思いになった。ここから数kmで田代平湿原だった。ここにも駐車場やトイレもあった。木道が整備されていて、いい散歩道だ。花は少なかったが、ヒツジグサ、ニッコウキスゲ以外にトキソウが見れたのはよかった。昨日、岩木山で出会った地元の方からはもワタスゲがいいと聞いていたが、標高が600mほどなのでほとんど終わっていたのが残念だった。


ここからR394、R103経由で奥入瀬渓流に向う。少し陽もさしてきて、森林が美しい。奥入瀬渓流館に立ち寄り、子の口に向う。奥入瀬渓流は十数年前に歩いたが、今回は、阿修羅の流れ、雲井の滝、銚子大滝に車を止め見物する。子の口から左回りで瞰湖台で十和田湖を見学し、R454からR102で虹の湖を通り、温湯温泉の「鶴の名湯」に立ち寄る。新しいのに、わずか180円だからか町の人でいっぱいだ(駐車場も多数止められる)。いい湯なのにわざわざ薬草を入れているのだけが解せなかった。子供たちの方言がかわいくて旅情を感じた。

 
少し早めに返車し、空港ターミナルの中国料理店で生ビールを飲み、高山植物、温泉、暖かい人たちに恵まれた2日間を振り返る。ガスがかえって思い出を淡く美しくした山行となった。日本百名山は64座となった。 

TOPへ