飯豊山 |
【データ】
【メンバー】 |
飯豊山は、百名山の中でも、私にとって登りたい山、ベスト3である。何としても縦走、それも山楽日誌のAさんのように大日岳と杁差岳にも立ち寄る理想だが、時間も体力もなく、川入からのピストンとなった。 さらに新潟中越沖地震が起こり、心配していたが、北陸道もつながったことから、予定通り出かけることになった。しかし、天気予報が悪く、当初、土曜日移動の日・月登山を急遽半日前倒しすることにしたが、天気の悪化も早まり、先週の鳥海山のように見事はずれることを祈る。 ![]() ![]() 御沢キャンプ場駐車場 キャンプ場から10分ほど林道を歩くと登山口 メンバーは、いつものIさん、Mさんに加え、若いS君の参加が心強い。14時半に会社を早退し、Iさんにピック・アップしてもらい、寮で荷物を積み込み、尼崎ICから高速道路に乗る。尼御前SAで夕食をとり(ここのお薦めの豚の生姜焼き定食はうまかった。有磯海SAからは、若いS君が今夜の宿となる磐越自動車道の阿賀野川SAまで運転する。途中の柏崎付近は、上り下りを補修のために交互に流用した対面通行で、亀裂等を簡易舗装したものなので、規制速度の50kmはむべなるかなという状態であった。ボランティアでもなく、登山で通過することに後ろめたさを感じつつ。 ![]() ![]() ←登山口の杉の大木・栃の大木→ 阿賀野川SAでは、煌々と光る月を愛でつつ、一杯やり、12時過ぎに眠りにつく。Iさんのハイエースの荷台は抜群の寝台空間であった。朝 時に目覚め、登山口に向かう。登山口まで kmである。会津西ICで下りるが、コンビニ一つない。前夜、有磯海SAで、ぶり寿司おにぎり、鱒寿司おにぎり、焼き鯖押し寿司を買っておいて正解であった。 川入手前7kmからは、対向も難しい細さであったり、ダートだったりしているが、2車線の拡幅改修工事もしているのに驚いた。川入には5・6軒の民宿があるが、どれも冬期は閉鎖するので、質素な感じだ。 ![]() ![]() 上十五里にて休憩 展望が利くと涼しい風が ここからは対向もできない細い道が御沢キャンプ場まで続く。キャンプ場の駐車場には30台ぐらいの車が停まっていた。トイレや炊事施設もある立派なキャンプ場だ。ここの管理棟に登山届けを出し、早々に出発する。天気予報も変わらなかったので、テント泊はやめ、小屋泊まりとした。 約10分ほど林道を歩くと、登山口だ。ここには、杉と栃の巨木があり、思わず見とれる。元気な姿を記念撮影し、いよいよ上りだ。ここには、開聞岳と同じようなセンサーの登山者カウンターがあった。 下十五里、中十五里、上十五里と続くが、下十五里までが長く、段差もある。中と上の間が比較的歩きやすかった。しかし、ガイドブック通り、ブナの大木が多く、思わず仰ぎ見る樹も多かった。ブナの森に抱かれている幸せを感じながら、重い荷物と急登に耐える。下十五里はさほどでなかったが、中や上十五里は、テントも張れるスペースがあり、中からは水場も近い。山楽日誌のAさんは、上十五里にテントを張られている。青空も広がり、天気予報が外れたのではと淡い期待を抱く。 笹平まで来ると、さすがのIさんも重荷に耐えられず、ランタンや余分のガスをデポすることにした。横峰小屋跡直前で、小白布沢からの道に合流する。民宿に泊まると登山口まで送迎してくれるので、登山者も多いのか踏み跡は濃い。 ![]() ![]() 厳しい剣ケ峰 NHK小さな旅に出演していた御西小屋管理人さんと 横峰小屋跡からは地蔵岳の巻き道との分岐までは、比較的平坦であった。巻き道沿いのダケカンバは、大木で豪雪地帯なのにまっすぐ伸びているので驚く。ここの水場は、冷たくて行列ができていた。 再度、地蔵岳の道と合流し、進むと、剣ケ峰が眼前に見えたが、俄に曇りとうとう雨が降り出す。難所に雨とはなげきつつ、雨具を着て、険しい難路に挑む。上に行くほど、難所で、重い荷物と天候から特にスリップに気をつける慎重さが要求される。3メートルほどの鎖場や三点確保が強いられると疲れる。三国岳まで、0.2kmの標識からも結構時間がかかる。 ![]() ![]() 切合への道から振り返ると三国小屋 ニッコウキスゲが多かった ようやくたどり着いた三国岳避難小屋前には、NHK小さな旅の山の歌や日本の名峰にも出ていた御西小屋の管理人さんがいたので記念撮影してもらう。今は管理人はやめていて、今日は、三国岳避難小屋の手伝いに来たとか。ここは唯一混まない小屋とのことで薦められ、雨も強くなったので、一瞬泊まる気になったが、明日の行程を考えると長すぎるので、切合(はりあわせ)小屋までは行くことにする。 切合小屋までは3kmである。ミヤマキンポウゲやコバイケイソウの咲く道を下り、進むと、小学3年生の女の子を連れた御夫婦に出会う。この女の子は何と百名山を85座も登っているとか。どうりでしっかりした足取りだ。この先の鎖場に真新しい花束が置かれていたので、転落でもしたのかと思う。 ![]() ![]() 切合小屋 翌朝本山への道からの朝もやにけぶる雪渓 残り2kmまでは結構アップダウンがあり閉口したが、あこがれのヒメサユリも咲いていて一気に元気になった。残り1kmになると大きな残雪があり、シラネアオイやハクサンコザクラも咲いていて、歩きやすい。ルンルン気分で小屋に着くと同時に、雨足がきつくなった。 ![]() ![]() あこがれのヒメサユリに初めて出会えた 雪渓沿いのシラネアオイ ここは唯一食事も出る営業小屋だ。従って我々が素泊まりだと分かると怪訝な顔をしていた。今日は人が多く、炊事は外でといわれる。困ったのは、この後、雨足が強くなったことだ。仕方なく、夕食は、残った焼鯖寿司一つ、Mさんからのおすそ分けの柿の葉寿司一つとチキンラーメン半分(生のままでも意外と美味しい)やソーセージ等酒の肴にビールやウイスキーとなってしまった。蛇足だが、有磯海SAで買った高野商店の3つの寿司は実に美味かった。ビールは高いと知っていたので、下からもビールを持ち上げたが、さらにIさんから800円/本のビールの差し入れがあった(^^ゞ。 団体も含めてたくさんの人で、我々に与えられたスペースは、小屋の荷物もあり、狭くて懸念したが、何とかマット分は確保できた。結構宴会者も多く、消灯の20時以降もトイレに行く人等でばたばたしていて、あまり眠れなかった。結構暑くて、途中出会った軽装の登山者は、シュラフカバーだけにしたりして軽量化しているのであろう。 2時半頃からは、もう起き出す人もいて、騒がしい。4時になると、もう皆起き出したので、Iさんが洗濯機置き場の軒先を使って湯を沸かし、アルファ米の準備をしてくださる。私は、かやくごはんにしたが、混ぜなかったので、前半は良かったが、後半は味薄となったので半分ぐらい(用は1食分)だけ食べる。 トイレも5人ぐらい並ぶが、3つあるのでそう待たずに済んだ。ここも本山小屋も新しく実に清潔なトイレである。Iさんの靴下紛失・靴取り違え事件等あったが、どちらも解決し、出発となる。この頃には、雨も止み、私は、写真を撮りたくて先行する。 タカネマツムシソウやヨツバシオガマの多いお花畑を進むと、残雪帯に出た。この辺りは、チングルマやコバイケイソウ、コイワカガミが盛りであった。20m強残雪帯を進み、掘割の樹木でトンネルとなった道を進むと、草履塚で、神社まで2kmであった。ここから姥権現まで標高差70mほど下る。 姥権現と本山の写真を撮るのが楽しみであったが、展望はない。仕方なく進むと、すぐに御秘所の難所だ。特に右側は絶壁だが、鎖は左側につけられていて、10分もかからないので、剣ケ峰ほど神経は使わない。それでも、昨日小屋で隣だった3人組から先行見本を促されたので、先行させてもらう。ここまでも、ずいぶん下山者に出会う。 ほどなく、神社への上りにかかる。標高差300mほどであろうか。空身なので、ずいぶん楽だ。上部は、平坦で、水場を分ける標識等がないと、迷うかもしれない。神社にたどりついて、10分ほどで、Iさん達がやってきた。 ![]() ![]() 本山小屋と神社 飯豊本山山頂と一等三角点 神社は建物の中にあり、途中出会った人に聞くと、本山小屋の混み様も大変だったとのことで、神社内にも泊まったようであった。神社の人にどこから何時にと聞かれたので1時間20分で切合小屋から来たというと早いという。空身だとこれぐらいで誰でも十分来られよう。娘のことをお祈りし、山頂に向かう。ほとんど平坦で、ヒメサユリやニッコウキスゲに展望のないのを慰められながら、10分強で着いた。 一等三角点にタッチし、記念撮影していると、大日岳方面はだめだが、少しガスが晴れたので、あわてて撮影する。 ![]() ![]() 神社へ戻る道 御秘所の難所 帰りも御秘所でガスが晴れたので、どれぐらい切れ落ちているかが分かった。谷には豊富な雪がある。花々を撮りながら、帰ったので、1時間10分ほどかかった。切合小屋では団体客が弁当を受け取っていた。 団体客について下ることになったが、重い荷物にゆっくりペースが合うまぐらいであった。三国小屋まで3kmほどだが、最初の1kmはるんるん、次は、少し注意、残り1kmは、鎖場 ![]() ![]() 三国小屋では晴れて暑かったが、剣ケ峰を下ると、雨が急に降りだし、スリップに注意を要した。一番急なところでだけ降り、すぐに止んだ。5メートルほどの最初の鎖場は、左右にルートがあるが、我々は二人ずつ別れる。左の方がやさしいとの結論だが。どうであろうか。今日は飯豊の集いということで6人ぐらいのグループが一定間隔で登って来るのに会う。前後をベテランがはさんでいるのでマナーは実にいい。 長く感じる剣ケ峰の下りが終わると、ようやくほっとする。地蔵岳分岐で、Mさんを待ち、水場に向かう。ここの水は実に冷たくて生き返った。笹平にデポしたIさんの荷物は無事であった。 疲れた足には、ここから、御沢までが長かった。Mさんが「飯豊はもういいでえ」と駄洒落を飛ばすが、全くその通りと感じた。次回は、天気に恵まれ、「もう」抜きの「飯豊はいいでえ」と言いたいものだ(^^ゞ。ゴール近くで、Iさんも私もスリップしたのは、よほど足にきていたのであろう。 キャンプ場の川で汚れたものを洗い、いいでの湯に向かう。露天風呂もあるいい湯だが、洗い場が6つしかなく、待ち人が行列をなすのがいただけない。ほとんどが登山者なのに。 ここの蕎麦は評判通り美味かった。夕食は、わざわざ有磯海SAとしたが、どれもあまり美味くなかった。きっちり深夜割引となる0時過ぎに尼崎ICを出る。 今回はきつくて、当分きつい山はいいやと思っていたのに、また、翌日以降足にも来ていたのに、日がたつにつれ、山恋しくなるのは、一種の中毒か(^^ゞ ただ、今回は睡眠不足と食事の少なさ等からか3kgのダイエット付であった。 |