近辺で未踏であこがれの山である池木屋山を目指す。本当は、明神平から縦走してみたいが、途中幕営が必要な上、交通も不便で難しい。今回は、宮ノ谷からのピストンである。問題は、和歌山から車でもかなりの距離があること、林道終点の登山口の駐車場のキャパが少ないこと、高滝までの三重国体時整備されていた階段・桟橋などが老朽化していることなど不安はあったが、長年のあこがれの山であり、運を天に任せ出発した。
天候は、晴れの予想に反し薄曇りである。朝の道路は概ね快調で、途中、蓮ダムと林道入り口で地図を確かめる必要があったが、ほぼ予定通り登山口に着く。奈良や三重ナンバーの車が並び、かろうじて1台分のスペースがあり、ほっとする。登山口にコース看板が整備され、道には真新しいバラスが敷かれている。間もなく桟橋等完璧に掛け替えられていることに気づく。これで当初懸念していた3点の問題は全て解決だ。最初の犬飛びは美しいゴルジェだった。鷲岩は岩頭に鷲が止まっているようには見えなかった。
蛇滝や六曲屏風岩等の景色と満開のシャクナゲを堪能しながら、水越谷出合まで歩く。途中いくつもの階段がかけられていたが、M氏が滑り、右手中指を突き指する。整備されていても思わぬ落とし穴があるものだ。しかしながら、水越谷出合手前の整備された空中歩道にはびっくりした。有料ではないかと冗談もでたほどだ。出合の休憩所とトイレも含めて大変な投資である。交通の便がよければもっとたくさんの人が楽しめるであろうに。
高滝は予想通り落差が大きく立派であった。滝の横の山吹が満開で彩りを添えていた。じはし休憩をとり、冷たいミカンの缶詰を食べる。しかしそこからが難所である。奥又出合までフィックスロープに頼る数カ所をはじめ、滑落の不安がある危険個所が多く、気を抜けない。そうしているうちにお腹もすき、満開のヤマツツジの下で昼食をとる。その間、早くも一人が下山してきた。尾根のアカヤシオ(山と渓谷の大峰を歩くではアケボノツツジとなっている)が数年来に1度の出来で満開だという。楽しみである。多少のビールとコンビニ弁当、マグロの缶詰、ポタージュスープの昼食である。これで少し荷は軽くなり、エネルギーが出る。
頑張って登り始めると、頼りのT氏がダウン。アルコールが少しでも入るとダメなのだ。途中で昼寝でもして待っているという。M氏と2人で急登をゆっくり登るとり、1100b付近で満開のシャクナゲに出合う。幹も太く葉も美しく、花の数、咲き 始めの色の濃さ、全てが今までで見た最も美しいシャクナゲだった。また、アカヤシオも満開である。しかし途中出会った3組の人の感激の言葉のものとは違う。もう少し上のようだ。更に登って1160b辺りの少し平らな所に出ると、見事な満開の木が何本かある。中でも1本は枝振り花の数申し分ない。感激し、盛んにシャッターを切る。膝を気にして、荷物を軽くするためにカメラを持ってこなかったM氏は後悔しきりである。御在所岳でも美しいアカヤシオを見たが、これほど立派な木はなかった。
感激を胸に更に登ると、ようやくイトザサが見え始め、山頂が近いことを知らされる。下りて人ももうすぐそこだという。振り返るとブナの林の向こうに新緑が映え、ガスが流れる。深山の趣大で心が洗われる。山頂からはあいにくのガスもあり、展望は得られなかったが、満足する。間もなく、小屋池の方から登ってくる人がいる。聞くと赤くらまでピストンしたという。先週は明神を経由してピストンし、2週で明神と池木屋を縦走したことになる。健脚である。赤くら近辺の花々はまだ早かったようだ。私も機会が有ればチャレンジしてみたいものだ。
T氏を待たせては行けないので、下る。M氏は膝を注意して、いつになく慎重だ。T氏はアカヤシオの古木で待っていた。これを見るだけで半分以上の成果はある。いつしか日も射し、花が美しい。それにしても下りは気を使い長かった。フィックスロープ等T氏に改めて指導されながら下るが疲れた。おまけに水を飲もうとして岩で滑り川に足を入れるやいろいろあった。登山口に着いたときには精魂尽き果てたという感がしたが、充実した山行であった。
更にホテルスメールの温泉もよかった。何か立て直した感じで真新しかった。土曜日は、16時までらしいが、入れて貰えてよかった。露天風呂も広く疲れがとれた。
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