伊豆ケ岳 |
【データ】
【メンバー】 |
年始から、日本の国宝7体の十一面観音像の最後の道明寺を見、新宿末広亭で念願の柳家小三治の主任をたっぷり50分も聞き、大阪の国立文楽劇場では、昼の部・夜の部で、本朝廿四孝(人間国宝蓑助の八重垣姫は秀逸で後ろ姿に人形とは思えない気を感じた)、ひらかな盛衰記、義経千本桜など日本の伝統を満喫した堪能したので、山が恋しいなぁと思い、2週間前に、秩父の「伊豆ケ岳」を計画していたが、珍しく体調を崩し、延期となった。 天気予報もいいので、再度、日曜日に出かけることにした。西武秩父線の正丸駅から吾野駅までの15qの縦走コースで「関東ふれあいの道」(首都圏自然歩道とも呼ばれ、全長1665qで、一都六県を周回するという)となっている。 住まいの行徳駅から正丸駅までは、87q。電車で2時間半かかるが、電車代は920円(または880円)というのは関西に比べて安い。前夜、早めに寝ようと思っていたが、NHKドラマの「メイドインジャパン」の最終回を見てしまい、朝、目覚ましで起きる。一瞬、眠くてやめようかと思ったが、何とか起きれた。 いつも満員で閉口している東西線も座ることができた。丸ノ内線・西武池袋線も座れたので、電車登山のメリットで。手持ちの文庫本を読む。ちくま文庫の川本三郎の「私の東京町歩き」だ。こういうときは内容の軽い本がいい。 途中の景色はさほど目にとめるものはなかったが、飯能に近づくと低山でも雪があめので、さすがに冬だなぁと思う。飯能は待ち時間もなく、西武秩父行きが出発する。ボックス席のワンマンだ。 正丸駅は単線でも立派で、トイレもきれいだ。準備運動をする人は多い。高度計は、250mを指している。標高差600mだ。道端には雪がある。気温が低いのかフリースの手袋をしても冷たいのでポケットに手を入れて温める。 舗装道を沢沿いに進む。意外と民家もある。安産地蔵尊を過ぎるとほどなく、馬頭観音堂だ(左下の写真)。早くも伊豆ケ岳から下りてきた人がいる。左折する山道は案内標識はないが、伊豆ケ岳への短縮道のようで、先行者が何人も行くので、ついていく。 ![]() ![]() 途中の案内によると私有林のようで地主の理解によるとあるので、案内表示はしていないようだ。名栗げんき村への道と離れ、左の道を進む。標高600m辺りから雪が多くなった。尾根に出ると気持のよい道が続き、カップル登山者は軽アイゼンのききめを確かめ合っていた。しかし、関西の高見山や三峰山のように霧氷はない。 私はアイゼンをつけずに、正丸峠からの合流である五輪山に着く。少し下ると直登は、「男坂」で先行者は行くが、ベンチの夫婦のアドバイスに従い、右のおんな坂の迂回路を進む。念のため軽アイゼンをつけたが、若いカップルの女性は、アイゼンなしですいすい登った。山頂はすぐで、結構人がいた(右上と左下が山頂の写真)。 山頂標識前での写真は、逆光で暗い。展望は、浅間山の右端が見え、谷川連峰と思われる真っ白な峰が樹間に見えた(左下の写真)。さすがに関東だ。金曜日は、鹿島からの帰り、首都高速から夕陽に浮き上がるような富士山が見え感動し、関東にいることを感じる。 ![]() ![]() 山頂では、おにぎりだけを食べ、休憩もほどほどに吾野駅への縦走路を進む。急だが日当たりがいいのか雪はなく、アイゼンは不要だった。一旦下り、古御岳(左下の写真)へ登り返す。山頂は小広く立派なあずまやもあった。樹間から伊豆ケ岳が見えた(右下の写真)。このコースでこの時期でも山岳マラソンをする人があり驚く。よくスリップしないなぁと。 ![]() ![]() そして、案内図通り、あせびの群落を過ぎるとほどなく高畑山となり、天目指峠に下り立つ。ここまでは、植林帯も多く、針葉樹の大木があった以外は、期待ほどではなかった。峠は舗装道沿いにある。天目(あまめ)とは、方言で甘柿、指は焼畑をいうと解説板にある。車道に下り、ここから登る。子の権現までは瘤が3つもあり、久しぶりの山行でバテ気味で、もういいやという感じになった。 655mの小さな祠(左下の写真)を過ぎると子の権現の鐘をつく音が間近に聞こえてようやくという感じだった。子の権現手前の陽だまりでは昼食を取る人が多かった。足腰にご利益があるというので、参詣し、鉄草鞋と鉄下駄等一見し、本数の少ない西武秩父線のダイヤに合わせ、13時37分発に向かう。 ![]() こういうふうに急いでるときは落とし穴がある。西武鉄道のHPの案内地図通り、トイレを過ぎて、雪に踏み跡のある山道に入って、標高差150mほど下るが、案内図ではさほどの距離なく舗装道に出合うのに出合わないし、道標も全くないので、おかしいと思い、引き返すと、さほど歩かずに、下ってくる年輩者に会い、この道は吾野駅につながると教えていただきほっとする。ほどなく、登ってくる若い山岳マラソンの男女に出会った。引き返した時点から少し下ると、唯一の吾野駅への表示があった。新しいピンクのリボンは、何のためだろう、山岳マラソンのためかと思う。 不動の滝近くの林道にたどり着き、帰って案内地図をよく見ると、案内地図の道ではなく、三角形の2辺を歩く山道がある。私が歩いたのは、この2辺の道だとようやく気づく。案内地図だと滝不動までは半分山道、半分車道のようだが、どうりで私が歩いた道は全て、植林帯の中の山道のはずだ。合点がいった。 残り2.5qの表示にファイトがわき、小走りを交えて急ぐと、発車5分前に駅に着いた。後はすべて座れて文庫を読みながらのんびり帰った。途中、珍しく嫌気も感じたが、やはり終わってみると山はいい。 |