金糞岳は、関西百名山・近畿百名山両方に選定されている。あこがれの山であったが、アプローチが遠く、なかなか足が遠かったが、製鋼所山岳部の方に誘っていただいて、登頂機会を得た。
 
<鳥越峠> <鳥越峠付近の道路>
名ばかりのリーダーをおおせつかり、気恥ずかしいが、花の季節ということで、折角なので白倉岳まで足を伸ばすことにする。金糞岳と白倉岳の間の稜線がすばらしいことは、2年前の2003年8月号の「山と渓谷」の「全国名低山ふるさとの山」という記事で知っていた。HPでチェックすると、この時期、群生のカタクリがすばらしいとのことだ。
登山口は、鳥越林道に隣接して標高600m、900m等いくつかあるが、記事に紹介されていた一番安直の鳥越峠を過ぎた坂内村の最短登山口とする。メンバーは、新入社員の3人を入れて、9人である。

<鳥越峠から金糞岳方面> <登山口から少しで残雪帯>
待ち合わせのJR西九条駅ガード下に向かう電車に乗るべく阪神尼崎駅に行くと、ちょうど三国岳を共にしたK君に出会う。待ち合わせ場所は私にとって未知なので、心強い。
JR西九条駅で2台に分かれ、阪神高速に入る。山岳部長のMさんの車は新車のエスティマで快適だ。久しぶりの同行で、近況報告をし合う。渋滞もなく、多賀SAで一息入れる。
長浜ICからは、高山キャンプ場を目指すが、地図を見ていても分かり難かったが、山と渓谷社の分県ガイドブックの近畿圏内はすべて制覇しているM部長の経験で、迷うことなく、キャンプ場に着いた。高山まで来ると、案内もある。
 
<展望台から伊吹山方面> <展望台から新緑と残雪>
キャンプ場はすばらしい施設だが、利用者はどれぐらいいるだろうか。鳥越林道は、通行止めの標識もあるが、かまわず進む。新緑と残雪に新入社員も歓声を上げる。しかし、標高600m辺りまで来ると、工事通行止めで道が塞がれていた。先行者の方が偵察している。大丈夫だろうということで、通行止めのバーを空け、先行車に続く。
すぐに下の標高600mの登山口で、さらに先に行くと、壁の補修工事をしていた。工事関係者に聞くと車に傷がついてもいいなら通行してもいいという。気にせず、進む。全線舗装だ。しかし植林でもない林道は、登山者以外、誰が通るのかと疑問に思いつつ進む。

<残雪の左を進む> <山頂から白倉岳への稜線>
上の登山口の駐車場は、5台ぐらいの車で満車であった。途中、鳥の写真を取るためか超望遠レンズで待つ車が何台もあった。おそらく熊鷹狙いであろうと話す。
上の登山口を過ぎると、引き続き舗装されていて、フラットだが、車が通らないようで、雪のための木や石の残骸が多い。鳥越峠からすぐ先は、大量の残雪で通行不能であった。
上の登山口に戻るか、最短登山口を目指すかM部長と相談し、最短登山口とする。峠の広くなった路肩に2台止める。すばらしい新緑と残雪のコントラストにメンバーは歓声を上げる。写真におさめ、峠で全員の記念写真後、林道を下る。

<金糞岳・白倉岳稜線からの景色> <カタクリの群落>
大変な残雪で、道路を覆っている箇所が何箇所もある。登山口の状況を心配しながら、下ると、車が数台止まれる路肩の広くなった箇所の前に、立派な新しい登山口の標識と階段があった。この辺りにいわうちわぐらいの大きさと色だが、5・6枚の花びらの花がたくさん咲いていた。
少し登ると案の定、残雪であった。アイゼン無しの上、未経験の新入社員もいるメンバーで心配したが、M部長がステップを切り、私が補強し、危険箇所は、ストックをまわし、何とか乗りきった。上部は地道となっていたが、稜線までは、数カ所で倒木が道を塞いでいた。


<白倉岳から金糞岳を望む> <奥が白倉岳>
小朝の頭からの道と合流すると、そこは美しいぶなの新緑の若木の森であった。ここからは、堀割道が続くが、その分、湿地のイワウチワやショウジョウバカマがたくさん咲いていて、特にUさんは熱心に撮影だ。まだ、雪がたくさん残っている箇所もあり、巻くしかないところもあった。
展望地までくると名前のとおり、すばらしい展望である。晴れていないのですっきりはしないが、伊吹山も近い。新緑と残雪は、近畿の山とは思えない。

<芽吹きが美しかった> <左奥に伊吹山>
ここからは、カタクリが多くなったが、まだ蕾が多い。下山者によると、上の方は、けっこう咲いているようだ。
笹の切り分け道になると、頂上は近かった。しかし、「頂上まで20分」という標識以上に時間がかかってしまった。山頂の切り開きには、我々を追い抜いた夫妻だけがいた。
白倉岳へは、登ってきた登山道からまっすぐ続く道を進めばいいが、右手にも切り分け道がある。もう少し整備されれば、展望が楽しめる稜線となろう。ねまがり竹のたけのこがないかと探しつつ、白倉岳に向かう。時間はM部長が20分と言ったので、H君が荷物番をしてくれるというので、皆、空身で有り難い。
 
<金糞岳から白倉岳に向かって右手にも切り開きの道> <製鋼所山岳部員と新入社員>
下るように進むと、イワナシの花等に慰められる。左側の谷は新緑が美しい。急に下ると、前に岩峰が迫る。右手に残雪が多い。ロープが2箇所あるが、見た目ほど難所ではない。やせ尾根の方が万一に留意する必要がある。ここのシャクナゲは昨年のHPでは満開であったが、今年は蕾もほとんどなかった。
稜線にはタムシバもたくさん咲いていた。山頂近くになると、踏まないように気をつけなければならないほどのカタクリが群生していた。皆、稜線で日が当たるからか咲いている。
 
<ショウジョウバカマ> <房咲きのショウジョウバカマ>
ゆるやかな道を進むと、切り開きがあり、二等三角点の白倉岳山頂であった。10人ほどの団体が占拠していたが、二等三角点をタッチした後、記念撮影をする。結構時間がかかり、一人で寂しく待つH君を想い、優しいAさんがH君の名前をコールする。
 
<カタクリ> <イワウチワ>
戻りは皆に先行してもらい、私は、じっくり写真撮影しながら戻る。特にカタクリはどのように写したら、見事さを表現できるか悩む。
ようやく戻った金糞岳山頂では、乾杯の準備ができていた。H君はさすがに一人で寂しかったようだ。気温は低いが、ビールは美味い。M部長特製のつまみも健在だ。新入社員も含めて良きメンバーで、わいわいがやがや至福のときを過ごす。我々の貸切状態だ。
 
<イワナシ> <ウメバチソウ>
切りがないので、山岳部の山名プレートをつけ、記念撮影後下山する。問題の登山口への残雪もステップを固めて、ストックを利用し、無事通過する。豊富な雪融け水は泥靴の汚れを落とすのにちょうど良い。終わってみると、山と渓谷のコースタイム通りであった。
* コースタイム 3時間15分
登山口 <10分> 稜線分岐 <55分> 金糞岳 <15分> 鞍部 <25分> 白倉岳 <15分> 鞍部 <20分> 金糞岳 <45分> 稜線 <10分> 登山口
林道を下る際、写真家に何を撮っているのかきくと、やはり熊鷹の写真とのことだが、至難のようで機嫌が悪かった。
M部長お薦めの須賀谷温泉に向かう。人気があるのか、建て替えられていた。冷泉で沸かし湯なので、燃料費高騰のため、100円値上げして900円であった。露天風呂もあり、お市の方も入った由緒ある温泉で、にごり湯で風情がある。
渋滞もなく、吹田SAで休憩後、天王寺まで送ってもらい、久しぶりにJRで自宅に帰る。
これで近畿百名山は97座、関西百名山は96座となった。この際、長老ケ岳で関西・近畿百名山、同時達成としようと考えている。
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