北岳・間ノ岳  3192b  3189b

 


データ】     

1999年9月4日(土)曇り後大雨  歩行時間4時間30分
9月5日(日)晴れ時々曇り 歩行時間6時間30分


9月3日(金)


20:56自宅 21:33泉南IC  22:15香芝SA  23:18亀山

9月4日(土)

0:16名古屋ガソリン(0:15恵那トンネル事故通行止め) 1:00〜18恵那峡SA 中津川IC 3:20塩尻IC 4:04韮崎IC 4:20コンビニ  4:47アルプス街道 5:00夜叉神峠 5:34広河原 6:30アルペンプラザ 7:47落石帯右岸 8:13左岸 8:47〜9:01二俣手前 9:10二俣 9:29 2300メートル  9:48 2400メートル  10:06〜18 2500メートル  10:34 2600メートル   10:46 白根御池分岐2660メートル  10:55 2700メートル  11:17〜12:04稜線2765メートル  12:40〜13:35肩の小屋昼食 17:00〜夕食 18:30就寝

9月
5日(日)

4:10起床 5:00朝食 6:05小屋発 6:48〜7:12北岳山頂  7:35八本歯分岐 8:10北岳山荘 8:44〜57中白根 9:44〜56間ノ岳山頂  10:33〜37中白根 10:56〜11:25北岳山荘昼食 11:51尾根への分岐 12:15山頂への分岐  12:39はしご 12:47〜53休憩  13:53〜14:00二俣 14:24右岸 14:42左岸 15:19落石 15:41 広河原

 16:00出発 16:25夜叉神峠 16:38〜17:17金山沢温泉
  17:47韮崎IC 18:06諏訪南 18:18長野道分岐 18:38駒ケ根  19:14中津川IC 19:18〜48恵那峡SA 20:12名神 20:50北陸道  21:53吹田IC 22:09西名阪 22:36泉南IC 23:15自宅


駐車場
  広河原駐車場(無料、多数)

温泉
    金山沢温泉(550円)

メンバー
    K君
   


君とは、昨年秋の常念、本年初夏の北岳といずれも雨で流れ、念願の山行である。M氏は、当日18時には行くと言っていたが、30分後に取りやめると行って来た。前回の妙高・立山で雨の登山は懲りたのかもしれない。


君と出発するも、広河原までは苦難の道のり。三重・愛知県境からの激しい雷雨、更に恵那トンネルが事故のため不通となり、国道19号を100キロメートルも走ることに。そのためか、K君は疲れのためか、中央道韮崎手前で橋が落ちているという幻想までみて高速道で止まってしまう。そして夜叉神峠からはガスで視界きかず。どう考えても待ち受けている登山にいい期待は持てない。しかし、決定したときから雨覚悟のピークハントだったので、余り気にしてはいない。しかし、アルプスがはじめてのK君にはすばらしい展望を見せてあげたい。そう思いつつ車を走らせるが、夜叉神峠には車は少ない。広河原も少なく、登る人が少ないと不安だなと言いながら、たどり着くと既に駐車場は満車状態。人気の高さに驚かされるとともに、登山準備を始める多数の人に心強さと小屋の混雑さ両方を思う。


コンビニで買ったサンドイッチの朝食を済ませ、アルペンプラザでトイレも済ませ出発し、野呂川にかかる吊り橋を渡る。意外なことにガスがかからず、北岳が見える。今日見える最後かもしれないとシャッターを切る。広河原山荘を経て登山道に入る。いろいろなハプニングの疲れ、寝不足、久しぶりの登山でいつもにも増して体が重い。このようなときはなんでこんな苦しい思いをしてまでと思う。ゆっくり登る。左岸から右岸に渡り左岸に戻る辺りから再び北岳が見える。振り返ると鳳凰山は、見えそうでガスが切れきらない。


二俣手前でトリカブトの盛りを写し大休憩する。バットレスを撮りたいが、準備しているうちにガスってしまった。あきらめて右俣ルートへ。ガイドブック通り登る人は少ない。思いの外、花が残り、トリカブトはもとより、タカネナデシコ、ハクサンフウロもたくさん咲いている。ミヤマキンポウゲも一輪だけ咲いていた。ただ、フジアザミだけは不気味だ。K君の高度計で100メートル単位の声を励みにゆっくり休み休み登る。K君の方が元気だ。2500メートル付近のお花畑で小休憩する。稜線までもうすぐだ。稜線直下から再び北岳が顔を出す。元気が出る。稜線手前にはオヤマノリンドウも咲いていた(咲くといってもつぼみのままらしいが)。稜線に出ると北岳方面がはっきり見える。青空こそないものの、思っても見ない幸運だ。曇り時々雨の予報で雨にも降られず、ここまではっきり見えるとは、その上、周りを見渡すとトウヤクリンドウがたくさん咲いている。あこがれの花だ。小1時間遊んだ後、肩の小屋に向かう。途中、仙丈が見えそうになるがさすがにそこまではついていない。


ようやく小屋に着き、手続きをする。朝食は弁当にするか迷うが、山頂からの展望も小屋からの展望も変わらないと言う(実際は間ノ岳方面は見えないのだが)小屋の主の森本氏のアドバイスで朝食後出発することにする。そして小屋の前で昼食。もちろんビールで乾杯だ。小屋で手に入れたのは冷やしていないので冷えていないのですかと聞くと、小屋の主・森本氏は、冷やす必要がないという。飲むと確かに冷たい。カップ麺やコンビニおにぎりを食べていると、雨がぽつりぽつり。小屋に戻ると本格的な雨になる。仕方なく、持参した酒を飲む。肩の小屋は歴史のある小屋らしく、趣がある。特にまきストーブが存在感を示している。次々到着するが、どうにか一人1畳分のスペースがもらえそうだ。やはりほとんどの人は左俣から北岳山荘に向かったのであろう(宿泊者は100人ほどであった)。


小屋特製の絵はがきを買ったり、隣の三重県の人達としゃべったりした後、酒を飲むと眠気がきて一眠りする。雨は激しくなっている。夕暮れ近く何やら騒がしい。2階の人達も少ない。外に出てみると、雨がやみ、何と東の空に円形に近い大きな虹がかかっている。カメラにおさめようとするが大きくてほんの一部しか入らない。西に眼を転じると中央アルプスに陽が沈もうとし、仙丈もはっきり見える。あわててK君を起こしに戻る。しかし、K君が来たときには、虹は消え、陽は沈んだ瞬間だった。しかし夕焼けはきれいだった。彼には写真をプレゼントしよう。夕食は、期待していなかったが、ミートボール等食べやすいものでデザートまでついていた。北岳山荘に対抗して工夫されているのであろう。ただし、敷き布団のないので腰が痛かった。



夕食後、眠りに就くが、一階のストーブの煙と会話が余りにうるさい。三重県の人が上手に注意してくれた。20時頃、トイレに行ったK君が満天の星空だというので、出てみるとすばらしい星空。天の川も見え、仙丈岳等がシルエットで浮かぶ。そしてはるか遠く眼下に人家の明かりが見える。何とも言えない人恋しさを感じるのが不思議だ。そして再び4時頃外に出ると、三日月とオリオン座が輝いている。そして東の空は、ほのかに明るさを発し、明けの明星が輝く。一度戻り、フリース等着込み、夜明けを待つ。鳳凰山のシルエットの向こうに光が増す。そして右手には富士のシルエットが浮かび、左に転じると甲斐駒と雲海に八ケ岳が浮かぶ。振り返ると仙丈そして更に右手に中央アルプス。言葉に表せない感動である。朝食の声を聞き、あわてて食べ、再度ご来光を拝む。来て良かった。こんなに恵まれるとは。頂上からの景色が楽しみだ。


6:05小屋を出発。写真におさめながら、頂上を目指す。北岳からの景色は最高である。小屋から見えなかった、間ノ岳への稜線・塩見岳もはっきり見える。写真をたくさん撮っているうちに7時を過ぎると急にガスが出る。みるみるうちに見えなくなる。中白根からの北岳の写真が撮れないのは残念だが、これ以上望むのはバチが当たるというものであろう。ひたすら間ノ岳を目指す。北岳山荘を目指す途中、トウヤクリンドウがたくさん咲いていた。北岳山荘にデポしたかったが、最近盗難が多いことを知っていたので頑張って持っていく。しかし、中白根であきらめる。


そこからは空身で間ノ岳に向かう。間ノ岳山頂は広々している。最高点の確認のため先に進むが、手前でまちがいないことを学生に教えてもらう。彼らは1週間かけ、鳳凰・甲斐駒・仙丈・三峰・農鳥と周り間ノ岳・北岳で終えるという。若いとはいえ、テント泊で荷物も重く強靱な体力だ。1週間で頂上にガスがなかったのは2日目だという。我々は空身なのでコースタイムの半分で北岳山荘まで戻り、昼食に。北岳山荘は黒川紀章設計だけに近代的で、水も沢からポンプアップしているだけにうまかった。肩の小屋は雨水とはいえまずくはないものの、屋根か何かの塗料の粉が入っていた。



昼食後は、下るばかりと思っていたが、八本歯へのトラバース道は登りがあり、愕然とする。また、はしごや鎖場等険しい道だが、花が非常に多かった。キンロバイ、キタダケトリカブト、ミヤマシオガマ、ミネウスユキソウ等たくさん咲いている。キタダケソウはどの辺に咲くのであろうか。K君は咲き残っていないかというが、あろうはずもない。ようやく山頂への分岐に来て、急な岩場を下ると長いはしご、さわやかな若い学生2人に出会う。そして八本歯のコルだ。そこからは、はしごの連続。遅い時間から登る人が多いのに驚かされる。バットレスが見えそうで見えない。

右手には雪渓が残っている。K君の膝は完全に笑っているとのこと。駆け下りる方が楽だという。そんな我々をウサギギクがやさしく迎えてくれた。二俣で休み、残り1時間30分。しばらく下ると神奈川山岳会の人が女性を背負っている。ロッククライミングで事故があったのか?外見からは伺えないが、団結心が強そうだ。そしてその後思わぬハプニングが。一枚岩が濡れていて完璧に滑ってひっくり返る。左膝下を打つ。古傷の箇所だ。最初は何も感じなかったが、時間が経つに連れ痛む。広河原に着く頃にはひきづらねばならない状態になっていた。勢いピッチは落ちたが、何とか完登する。充実感で一杯だ。

しかし、来週の剣岳はむつかしそうだ。M氏とH氏には詫びるしかないと考え、温泉に向かう。金山沢温泉で汗を流し、帰路に就く。早く返るため西名阪をやめ名神を走ったので早く着いた。K君にとってどんな思い出になっただろうか。私にとってはこれまでにない美しさと厳しさに出会えたすばらしい山行となった。



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