甲武信岳(笛吹川東沢釜の沢東俣) |
【データ】
【メンバー】 |
山のことが詳しくなるにつれ、沢登りが自分にできるか怪しいが、赤木沢と笛吹川だけは行ってみたいと願っていた。ただ沢登りは運動神経が良いとはいえない私には危険があるかもしれないので、いくら初級クラスとはいえ、難しいかなと思っていたところ、O夫妻というすばらしい指導者をもつことができ、さらに笛吹川のことはご存知で、盆休みにお互いうまく都合がつけば行きましょうとのお誘いをいただいた。 比良の奥の深谷で初めての指導を受けたばかりだが、大丈夫とのことであった。当初いただいた計画では、山梨地方が悪ければ赤木沢、良ければ一日目は鶏冠谷、次が西俣、下りはナメラ沢ということで、私には難しそうなので、東俣でとご相談したところ、天気も土曜日から悪くなりそうなので、睡眠不足となるが、一日目に東俣、二日目の下りは徳ちゃん新道に変更してくださった。これなら何とかなりそうだと安堵する。 もう一度、岩波文庫の「山と渓谷」に掲載の「笛吹川を遡る」を再読し、気持ちも自然と盛り上がる。 木曜日は有休をとった。前夜20時に寮でピックアップくださると勘違いして大急ぎで準備していたところ、和歌山出発が20時と電話で分かり、再度荷物をチェックする。もしかしたら、その後も、どこかに行こうとなるかもしれないと思い、テント泊道具や食料も詰め込むと引越しぐらいの荷物となった(^^ゞ Oご夫妻は21時過ぎに寮に着かれ、ここからは奥さんの紫さんが運転してくださると言う。最初にOさんからお聞きしたのは、紫さんは大手商社を退職した後、何と和歌山県で最初の女性自動車学校教官なので、安心して乗っていたらよいとの話。さらに大型・牽引等全ての免許を持ち、1200ccのBMWのライダーでもあるという\(^o^)/。 ライダーとしても有名で、専門誌にも紹介されたばかりか、中高年の夫婦でのライダーは珍しいということで、最近30分のハイビジョン放送のテレビ番組(和歌山県をバイクで案内)の主役をつとめられたとのこと。次から次へと驚く話で、眠気は吹き飛び、紫さんから「眠くなったら眠ってね」と言われるが、話がおもしろく眠気など襲ってこない(^^ゞ それでも恵那峡SAから諏訪SAまで私が運転した後、少しうとうとする。甲府昭和ICから西沢渓谷までは約40km。国道20号は暴走対策かわざと信号にひっかかるようにしているようでイライラしそうになるが、その後、西関東道路が延伸され、渓谷までは快適な道で、運転者のOさんと喜ぶ。西関東道路の延伸はカーナビには載っていなかったが、そのまま進んだOさんの判断は正解で、甲府昭和ICから50分ほどで、道の駅みとみに着いた。 大きな駐車場を持つ立派な施設で(トイレも数は多くないが美しい)、軽くビールを飲んだ後、2時間弱仮眠する。明るくなった5時に起き、朝食後、さらに進むと東沢山荘から先は、車止めがあるので、その手前の左下の大きな駐車場に停める。車はまだガラガラで意外であった。 5時46分に出発。きれいな遊歩道を進むと、ヌク沢で、その後、ゲート風のきれいなトイレがあったのでトイレ休憩し、先に進む。ところどころに西沢渓谷のハイカー(全周すると10kmもあるので素人には大変だ)のための案内図があるので我々も確認する。 日本百名山甲武信岳登山道(戸渡尾根コース)の大きな表示を過ぎ(ここは近丸新道であまり通られない道だが、看板ははるかに徳ちゃん新道より立派で大きい)、さらに徳ちゃん新道のコース分岐を過ぎると、すぐに田部重治の笛吹川を遡るの記念碑があった。 そこから数分で吊橋(左下の写真、by murasakisan)で、橋を渡るとすぐに左の柵の間の踏み跡に入る。柵には「東沢渓谷の入山禁止」の警告の看板があった(右下写真 by m)。 ![]() ![]() しかし沢登り禁止という意味ではないはずという理解で進む。少し先は急な下りが結構の長さで続きスリップすると危うい箇所だが、真新しいロープが張られていた。寝不足で頭がぼーっとしていて、荷物を軽くするため普通のスポーツシューズなので要注意だ。それにしても入山禁止の警告があるにもかかわらず、地元の山岳会の人たちがこのように整備してくれているのであろうか? 吊橋から10数分で河原に下り立った。鶏冠谷の出合いのようだ。3回ぐらい渡渉するが、一箇所は濡れそうで、石を積んだ。右手の山道に入り、ワイヤーロープに導かれつつ進む。 山の神まで500mという表示はあるが、時間はかかり、慎重に河原に下ると先行の2人組がいて、そこがホラの貝の入り口だった。右側にピンクの紐があり、苦労して攀じ登るが、実は、もう一つ左側に容易な道があり、すぐ先で合流していた。この右上に見えるピンクの紐は余計だ。 途中、ホラの貝も少し見えたが、樹林で写真には上手くは撮れない。一度河原に下りると、先行者が沢支度をしていたが、山の神はまだなので、ここの石垣金網を攀じ登り、登山道を進むと、ようやく思ったより小さな山の神の祠(ごく小さく、道の左上にあり、見落とすかもしれない)があり、すぐに河原に下り立つ。ここまで、ホラの貝から2箇所ほど崩壊地があり、注意を要する。 ![]() ![]() ここの河原は二つの下流方向に大岩がある。ここで沢支度をした。渡渉を続けながら、しばらく進むと、左手より乙女の沢が50メートルの乙女の滝(左上の写真 by m)となって注ぎ込むのだが、東のナメ沢大滝を乙女の滝と間違える程度の知識だったので、そのときは分かっていず、紫さんが念の為、撮っていたので、その写真で、記憶喚起するしかない。(^_^;) ここで反省し、以後は、ネット情報の写真を確認しながら進む。逆層の岸壁(右上の写真 by m)など見所も多い。 東のナメ滝までの沢は、何故か赤茶けた苔がいっぱいで、硫黄のような匂いがした。その理由は、下山後、たまたまお会いした小屋番の北詰さんにお会いしても分からなかった。 東のナメ滝は圧巻である(左下の写真 by m)。沢なれたO夫妻でさえ、感動ものとのことで、ここで一休みすることにした。この滝は、ネット情報によると、300mもあるという(登った記録も ![]() ![]() 今回は、ご夫妻にあまりに迷惑をかけてはいけないと思い、いくつかのネット情報等を事前勉強してきたのだが、「奥秩父東沢から甲武信岳探訪報告」が非常に詳しく、大変役に立ち、O夫妻にも喜んでもらえた。ご夫妻の力量なら、ここまでの情報がなくても問題ないのだが、この情報は判断に確信が持てるのでご夫妻も安心だという。 西のナメ沢のナメ滝も美しく、しばし見とれた。ここから釜の沢出合までも、見所は多い。西のナメ滝から15分ほどで、右手のナメの水際を進む美しいナメ淵があった。日経新聞に載って有名になった女性も一回目はドボンしたとのことだが、紫さんも最後のところで危うくだったので緊張する。私も比良の再現(最後でドボン)を期待され、動画を撮ってくれたが、今回はうまくいった(^_^;) それから10分ほどの小滝も先行者が右手を直登しようと苦戦していたので、左手から進む。Oさんが攀じ登りお助け紐を出してくれて楽勝だったが、先行者をみていると右を小さく巻くのが最も楽なようだった。 先行者の二人は、ここは2回目ということだが、1年振りの山ということで、日帰り予定だが、結局、我々とスピードは変わらず、何かと心強かった。 釜の沢出合は、やはり知らないと直進してしまう。直進の金山沢の方が大きいので、気をつけないと間違う。ケルンがあるようなネット情報もあったが、目印は特には見つけられなかった。先行者の二人が休んでいたので、間違いないことを確認し、右折するように右手の釜の沢に入ると、すぐに落差8mの魚止の滝だった。魚止めというが、小屋の北詰さんの話では、はるか手前に魚止めの ![]() ![]() ここの滝は立派で腹ごしらえを兼ね、ゆっくりする。紫さんから、おいしいドライフルーツや珍しいバナナのドライっぽいもの(よくあるチップではない)いただき、山での行動食も勉強になった。酒のことしか考えていない私は???(^_^;) ここの滝は、左手の方から、流木を立てたものを足台に右手を割れ目にかけ、強引にそこに足をかけ、持ち上がると成功で、やや左斜め方向に進むと、突破できるのだが(先行者か二人が手本となった)、初心者の私のために、Oさんはお助け紐を出してくれたので、先行者やOさんと同じようにしつつも安心して登れた。紫さんは、紐を頼りに岩にフリクションを効かせて簡単に上がった。 滝上から10mほど、綺麗ななめ滝が続き、情報では右手を簡単に登れるとあるが、結構滑り、苦戦して、ハイライトの千畳のなめ(右上・左下の写真)に出た。ここは期待通りで、これを見たくて来たと言っても過言ではない。永遠に続いてほしいという美しさで、経験豊富なO夫妻も感激する。勢い何枚も写真を撮るが、どうもこの感動は表現できない。やはり滑り台をして、喜びを表現すべきであったか(^_^;) ![]() ![]() それにしても新緑や特に紅葉はもっと美しいという。ため息が出るほどであろう。このナメは美しい4段ナメ滝(右上の写真)で終わる。Oさんは、ネット情報通り、左手の水際を進むが、紫さんと私は左を巻く。最後下りるところは、念のため、Oさんがお助け紐を出してくれた。 ![]() ![]() 次は落差5〜6差の曲がり滝(左上の写真)で、情報通り、右から巻くが、気をつける必要があり、最後のトラバースも念のため、お助け紐を樹間に張ってくれた。 20分強進むと、東沢のもう一つのハイライトの両門の滝(右上の写真)であった。文字通り、東俣と西俣が二つとも滝となって一つの滝壷に落ち込むというめずらしい滝である。ここで、大休止をし、例の二人組みが間もなく来られたので、写真を撮ってもらう。 ここも期待通りで、見ていて飽きない。しかし、まだ、全コースの中間地点を過ぎて、ほどなく、これで終わりだったらいいのになぁと心の中でつぶやく。 ![]() ![]() 両門の滝は右から巻くように進むが、上部は、滑りやすそうで、Oさんが念のため、お助け紐で下り口5mほどのところに導いてくれ、そこからネット情報通り下り口へは難しそうだったのでザイル(8m×30mを持ってきてくれていた)をはってくれた。 8環にザイルをかけるとやはり緊張するが、トラバースだけでなく(右上の写真)、張りなおすことなく、下り口へも使ったのには、さすが上手く考えるものだなぁとOさんの熟練技に感心する。最後のOさんの下り口へのザイルの使い方も勉強になった。でもザイルを出すと20分以上かかるわけで、睡眠不足の中、一切面倒がらず、的確に判断行動されるOさんは素晴らしい。 ![]() ![]() 滝上では右手からマヨイ沢が流れ込み、本流は落差15mのヤゲンの滝であった。ここは中央部を少し登ってからトラバース気味に巻いて登るという情報通りであった。さらに6mの滝で、右岸を巻き気味に登る。少しでも危険なところは、お助け紐を出して下さったが、これ以降は必要なかった。 滝を過ぎると問題のゴーロ帯で、ここからは覚悟はしていたものの、倒木がひどく(昨年の台風と本年4月のどか雪(春の雪は重いとのとこと))、暑さも加わり、辛かった。ひどい倒木帯は数箇所あり、左の森林の中を歩いた。また、伏流水になっている場所もあった。テント適地と思われるところには、焚き火跡があった。 つらい河原歩きも「念願の笛吹川に来て、ぐちは、ばちが当たる」などと自戒するが、疲れが出てきてへべれけである。何とか多目の休憩と血液型B型談義など、ご夫妻との楽しい話でしのげ、14時前に4段40mのナメ滝に到着した。情報に従い、左手を登る。そう苦労はしなかった。滝上がミズシ沢出合で情報通り、昼寝をしたくなるような岩畳が広がっていた。 ここは直進したくなるが、正解は右手で、よくみると、右上に標識がある。ここからは、また、気持ちの良い沢の中を進む道となった。30分ほどで、崩壊地があり、30mの3段スラブ滝となった。ここは右手に巻き道があるが、ご夫妻の判断で直登するが問題はなかった(右上の写真)。滝上は、木賊沢出合で前方の大木に→の標識があった。 確かに誤って直進してしまいそうだ。この大休止で木賊沢の水を飲むが、Oさんの言うように思ったほどの美味さではない。この辺りからは、紫のソバナやピンクのシモツケソウ、ショウマの白花、サワギクと思われる黄花が、咲き競い慰められた。 ![]() ![]() なるべくじゃぶじゃぶ行き(左上の写真 by osan)、最後の30mのナメ滝となった。ここは、右手によく踏まれた巻き道があり、油断さえしなければ、歩み易い。最上部で対岸に山道が見え悩んだが、ネット情報通り沢を進む。 前方にポンプ小屋も見える。紫さんが残雪が残っていると言い、私もそのように見えたが、近づくと岩が光ってそのように見えるだけだ。疲れての幻想?(^_^;) しかし、Oさんによると、詰めが藪でなく、美しい沢がぎりぎりまで続くのは珍しく、疲れが和らぐいい沢だと言う。 ポンプ小屋は見えるのだが、最後の上りは辛く(沢はどこも最後は急峻とのこと)、小屋手前で、沢靴をはきかえるため、大休止とする(左下の写真 by m)。後続のお二人も追いつかれ、小屋泊まりに変更するとのことだ。2000mを超えてからの虫の多さも、紫さんの塗るタイプの虫除けで難を逃れる。 ![]() ![]() ポンプ小屋では、紫さんといっしょに、ゴールデンリトリバー犬の父の愛犬「いち」を真似て、パイプから出る水をがぶ飲みしてみる(右上の写真 by m)。ここも期待が大き過ぎたのと、虫の多さで感激は今一つだ。冷たさと甘さが今一つなのだろう。 ここからは、手製の小階段を登り、シャクナゲの見事な群落に感心しつつ、よく整備された九十九折を登る。ご夫妻が待ち構えて下さりOさんとがっちり握手の写真(右下の写真 by m)。長年の夢が適い、本当にうれしい。 ![]() ![]() 小屋では、管理人が待っていてくれた。小屋前のテラスで荷物の整理をする。この下にテント場があるが、テント4組だけだった。小屋泊も、沢登組5人とカップル2人だけであった。小屋番の話によると、この時期は皆、アルプスに行き、今年は、さらにオリンピックのため余計人は少ないとのことだ。 夕食が17時30分とのことで、それまでビール(500円)で祝杯。紫さんも飲み、充実した気持ちで至福のときを過ごす。お二人とは会話も含めて本当に楽しい。 ![]() ![]() 夕食はカレーライス。小屋も圧力釜を使うようになり、ごはんが美味い。ごぼうとデザートとすいかがついていた。カレーを少しおかわり。大変な汗で疲れたが、胃腸も元気だ。 夕食後、でかい液晶テレビでビデオ2本の放映があった。どちらも甲武信岳を紹介するものだが、1本は、2006年山梨放送デジタル放送開始記念番組「神秘の領域」で、東沢の紹介もあり、くいいるように見た。小屋の主の徳ちゃんが遡行するものだが、ホラの貝の撮影は、小屋番の北詰さんがルートを開き、撮影したもので、流れに向かって泳いでいってハーケンをうち、岩を登る姿は圧巻だった。 ビデオ鑑賞後、2階の寝床でウイスキーをちびりちびりやる。楽しい山仲間とのこの一時も楽しい。ましてや今日のような素晴らしい山行を振り返りながらは。お二人にもお付き合いいただき実に楽しい時間であった。特に少しでも危険な箇所はザイルや小お助け紐を使ってくださった理由は、万一のことがあった場合、本人はもとより、同行者も大変だからという理由が勉強になった。でも、今日のように睡眠不足で疲れているときは、ついついおっくうになりがちだが、ご夫妻の完璧な行動は、さすがである。眠りにつくと雨。この小屋は2360mにあり、駐車場が1170mだったので、標高差は、1200m以上ある。上下の毛布にふとんでちょうどいい。 19時30分に眠りについたが、昨夜は2時間の睡眠だつたが、23時に目覚め、寝付けない。0時にトイレと水を含むとうつらうつら。1時間毎に起き、最後は30分毎に。不思議だか、徹夜後の小屋やテントは短時間の深い睡眠後はいつもこのパターンだ。 ![]() 小屋は古いが手づくのり丸太小屋風で、ランプが使われ、温かみがある。水は、ポンプ小屋から豊富にひけるはずだが、電気代節約のためか(ソーラーパネルもたくさんあったが)、有料で、宿泊者も水1リットル50円、お茶・お湯1リットル200円だ。トイレは非常に清潔で美しい。 ![]() 翌朝は、5時に起床し、ご来光を見る。久しぶりで感激である(上の写真)。小屋の横の少し小高い遭難碑からよく見えた。朝食をしっかり取り、空身で10分ほどで(左下の写真)、山頂だ。少し手前で富士山がよく見えた。こちらからは特に ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 山頂には、日本百名山甲武信岳の大きな標識が中央にでーんとある。ここには三角点はない。虫が多いのが唯一の欠点だが、1時間も山頂でゆっくりした。初めてのことだ。O夫妻もこんな長居は初めてだという。甲武信岳は笛吹川(富士川)、千曲川(信濃川)、荒川の源流とのことだ。ぼーっと秩父の縦走路を見ていると、金峰山まで歩いてみたいなぁと思う。 右手遠くに浅間山。そして左に山頂がガスにかかった八ヶ岳。五丈岩の金峰山と北千丈ケ岳・国司岳の奥に南アルプスの鋸、甲斐駒、白根三山がはっきり確認できる。その手前は鳳凰三山であろう。そして富士山。裏側の樹間からは両神山。 ![]() ![]() 小屋でいっしょで先に着いていたカップルは十文字峠に進んだ。長野側から周回とのことだ。そしてその後、長野側から単独者がわずか2時間10分で登って来たという。健脚だ。昼食までに埼玉に帰るとのことだ。きりがないので立とうとすると、テントの親子が登って来た。 小屋番に礼を言い、アドバイスに従い巻き道は通らず、木賊山経由で下る。木賊山手前のガレから右に三宝山を従えた甲武信の勇姿が望めた。 ![]() ![]() ![]() 木賊山山頂は三等三角点がある。すぐに山岳マラソンの若い男女に出会う。この手の人は不思議と美男美女が多く、様になっている。足をくじく等の危険を伴うが、結構多いのだろう。 徳ちゃん新道を少し下ると富士山と広瀬ダムがよく見える箇所があり、ガスが出だし、最後の展望を楽しむ。 その先で、若いカップルの登山者に会う。その後は、数組に会っただけ。やはりこの山・コースはシャクナゲの時分が人気のようだ。すぐにシャクナゲの大群落となる。O夫妻もあまりの大群落に驚き、シーズンに来てみたいものだと言う。 ![]() ![]() 途中、楽しい雑談会とも言える大休止をしつつ、近丸新道の分岐も気づかぬまま、下ると美しいカラマツ林となった。話の中では、Oさんがバイクの事故に遭われても、それでバイク嫌いにならないよう、昼間勤務に加え、夜間バイトもされて、新車を買ってあげたという紫さんの話には、こんな前向きな生き方の人がいるのかと感動した。 下りついたのは、田部重治記念碑のすぐ近くで、記念写真を撮る。渓谷コースは家族連れのたくさんのハイカーでにぎわっていた。トイレのあずまやでくつろぐと、地下足袋で山支度中の男性に出会う。沢の話をしていると、小屋番だと言って話しかけられたので、もしやホラの貝のと聞くと、その通りで、以後、楽しい会話の一時となった。 ![]() ![]() 名は北詰さんで、ホラの貝の撮影の話、沢の魚の話、鶏冠谷は難しく、西俣も一日では難しいので、我々の選択が正しかったこと、夏の登山者の少なさの原因、倒木の原因、小屋の主徳ちゃんの話、シャクナゲは数年に一度特によく咲くが、初めての人にとっては、毎年よく咲いているとの評価であること、しかしその時期には小屋に150人も泊まること、近丸新道も上りでは、沢を渡ったり変化があるのでおもしろいこと等々、興味深い話はつきなかった。紫さんが今回の山行は全て良かったが、最後にデザートまでついていたといったが、同感だ。 帰りは、道の駅みとみで食事をするが、ごった返していて、年に一度の大繁盛という感であったが、なかなかおいしかった。温泉は10km足らずの「笛吹きの湯(500円)」としたが、意外に人は少なく、露天風呂は、ぬるかったがゆっくり入り、Oさんと雑談を楽しんだ。 一日短縮しての急ぐ旅でもなかったので、JA山梨フルーツをひやかし、勝沼産ぶどう100%のワインみたいなジュースを飲んだり、新日本三大夜景と歌う「笛吹フルーツパーク」に寄ったりした。 中央道は、諏訪の花火大会ということで、ICもSAも渋滞していたが、さほどでなく、 土岐辺りも少しの渋滞で、大津SAで紫さんお薦めのビーフシチューに満足し(Oさんはリッチに近江牛の個体識別番号表示付の肉重に大満足)、1時間半近くも雑談していたので、寮には23時前に着いた。 ご夫妻から、私の、人任せにせず、いろいろ自分でも調べてくる姿勢が大切だと誉めていただいたので、今後も実践しなければならない。 山行は全て良かったのだが、肝心の写真が、帰宅後、パソコンに転送中トラブルになり、真っ青なるに。半日かかって、1万円以上するデータ復旧をお願いするしかないかと思案していたところ、ネットで無料で復元可能かチェックしてくれる会社を探し、やってみたところ、うまくいき、2000円で復元でき、ほっとした(でも100%でなく90%程度)。情報によると、接触部分剥き出しで速度の遅いXDカードには、多いトラブルのようだ。でも、ネットで外部接続のデータが直るのだから逆に考えるとセキュリティの重要性が再認識された。 帰宅後、2日ぐらいは体が痛かった。それにしても、夢を実現させてくれたO夫妻には感謝あるのみである。コースと天気はもとより、お二人の的確な判断・安全確保、温かく楽しいお人柄で、私の山行の中で、ベスト3に入るものとなった。余韻は、一週間後の今も続く。 |