錦秋の山見たさに、能郷白山か大日ケ岳に照準をということで調べると、大日の方が位山という名山に近いことが分かる。さらに位山に近くに 川上岳(かおれだけ)という山があり、何と「天空遊歩道」というすばらしい道でつながっているということが分かる。宿泊場所も会社の健保が契約しているリゾートトラストのサンメンバーズひるがのがあり、たまたま空いていた。すべて順調だったが、肝心の天気予報がどんど悪くなった上 、何と出発直前にIさんが風で熱を出し、Iさんご夫妻は不参加となる。
一瞬悩んだが、大日ケ岳と位山は日本二百名山、川上岳は三百名山で、いい山に違いないし、絶好の紅葉の季節なので雨覚悟で行くことにする。ホテルのキャンセル料ももったいない気がしてのことであったが大正解であった。M君の車でMさん宅へ向かう。
行きは西名阪・東名阪を通り、山田東ICから国道41号に入る。工事で渋滞し30分ロスしたが、信号も少なく迷うことなく、455号、98号を通り、4時過ぎにモンデウス飛騨位山の道の駅に到着する。車は一台も止まっていない。少し仮眠し、トイレと朝食を 済ませる。トイレは大変美しかった。天気も何とか持ちそうなのでスキー場からのピストンとせず、事前の情報では、ダナ平林道は工事中とのことだが、チャレンジする。98号を高山よりに下るとすぐに閉鎖され、左にVの 字にまがる民宿田吾作につながる道があり、先で分岐し、左が位山遊歩道と巨石群遊歩道である。
位山遊歩道をすぐに見送り、ダート道を5km走る。何と大きないのしし2頭、それについて子いのしし5頭が前を横切る。自然が豊かなのである。うりぼうは本当にかわいかった。ダート道5kmは、普通車なので30分もかかった。
紅葉は盛りである。神社の前は広場で10台ぐらい止められる。新しい展望台に清潔なトイレまであった。また4等三角点があった。ここはすでに標高1320mある。朝日新聞の続日本百名山には、「太陽神の神殿は、巨石伝説と関係があるのだろうか。その反対側には水無神社の奥宮があり、純日本式の祠と西洋式神殿の取り合わせがなにやら妙だ。」と書かれていたが同感である。神社を見学し、神社の右横(神社からでも行けるが)から巨岩郡遊歩道を上る。大きな案内図があり、どんな巨岩があるかも分かる。最初は急登であるが、所詮標高差も200mほど。いくつかの巨岩を楽しみながら登ると、小さな 広場となり、古いベンチも2つあった。ここからは、ゆるやかで、湿地だからか木をひいている。古くて濡れて滑りやすいので気をつける必要がある。
スキー場からの道と合流すると、そこは天の岩戸と呼ばれる巨岩。注連縄がされていた(右上の写真)。ほどなく、天の泉との分岐。折角なので、天の泉を飲んでから山頂ということにする。天の泉への道は紅葉が美しかった。途中2ケ所から山頂につながる道があった。天の泉は、わざわざ東屋まで作られていた(左の写真)。やわらかい感じのする水であった。山頂までは5分ほど、ここからは、展望台を経由せず直接山頂につながる。5分ほどで着いた山頂には三等三角点 があった。続日本百名山によると、この山は分水嶺で、南は飛騨川・木曾川となって太平洋に、北は宮川・神通川となって日本海に注ぐという。
地元の伝承では、位山が男神、川上岳、船山が女神だそうだ。争った結果、勝った川上岳は位山と尾根続きに、船山は川で隔てられてしまったという。位山の一帯に多い、イチイの木は、貴人が手に持つしゃくを作る材料に使われ、古くから朝廷に献上された。イチイは位階の一位に通じることから位山と名づけられたという。
展望台を探しに行くと、私の進んだ道は先ほどの天の泉からのもう一本のもので、川上につながる天空遊歩道方面に進み、分岐を左に進んだところにあった。何と展望台は壊され、廃材のみが残っていた。周りは情報通りサラサドウダンツツジの花園であるが、既に散っているものも多かった。白山が遠くに霞み、川上岳も紅葉したサラサド ウダンの向こうにあった。いよいよあこがれの天空遊歩道である。最初は笹とドウダンツツジの中を歩き、ほどなく自然林の中に入る。まさに錦秋で、特にいくつかのコブを越える辺りは、笹と紅葉のコントラストの美しさに感激する。この歩道を歩くには最 高の季節かもしれない。事前情報通り、川上岳まで5km、登山道の三角点、残り2.1kmの標識を順に進む。
美しい紅葉に抱かれて最高だが、8km近い距離は半端でなく、結構アップダウンもあって、片道だと遊歩道と呼んでもいいが、往復となると大変である。左手には御嶽山の山頂が見え隠れしている。特にぶなが多くなり、上部は桧が多くなった。山頂への上りからの位山はすばらしく美しかった。一眼レフの写真の出来上がりが楽しみである。Mさんも持ってこられなかったことを後悔されている。
まだかまだかと川上岳を目指す。巨樹巨木百選の宮の大イチイも見たいが1500mもありその元気はない。なだらかな道をしばらく歩くと待望の山頂で先着者2人の他にM君は、はるか早く着き、きのこ鍋をよばれ(図鑑片手の採集したもので心配して食べたようだが)、焼酎を飲んで昼寝をしていた。展望はさすが一等三角点ですばらしかった。御岳がよく見え、北アルプスも黒部五郎と笠と見られる山が見えた。逆方向の笹波の道も美しい。
位山は遠い。ビールで乾杯していると、大阪からのツアー登山者が14人もあがってきた。今日はピストン。明日は位山のピストンとのこ とだ。どこから登ったのか聞いても定かでなく、ツアー登山の問題点でよく指摘される通りだなと感じた。でも気の良い人たちで、あまりのおにぎりをく れようとするが、我々もおなかは一杯である。ツーカーの携帯もばっちり3本のアンテナがたったので、妻に電話する。
帰りも長いので早々に出発する。本当にすばらしいコースだが、往復は辛い。紅葉に慰められながらも、「まだかなぁ。遠いなぁ」とぶつぶついいながら歩く。ようやくたどり着いた展望台跡からは、走るように下る。駐車場には4台の車があり、これからピストンするというご夫妻がいた。確かに1時間半で往復は可能だ。
高山市内には意外にファミレスがなく、苦労して中華料理店に入る。店の雰囲気はよくなかったが、味はまずまずであった。ホテルの位置は、電話で確認して、ガソリンスタンドを目印に行き、Mさんの感が働き、無事たどりつけた。建って3年のすばらしい施設で、展望風呂もあり、満足する。M君持参のワインで乾杯し、早々に眠る。明日の予報は残念ながら雨だった。
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