薬師岳 2926m 黒部五郎岳2839.6m |
【データ】
【駐車場】 |
今夏のメイン・イベントとも言える薬師岳と黒部五郎岳への山行である。Iさんと私の日程が合わず、一泊少ない2泊3日となったが、二人の力であれば、大丈夫であろう。ただ、Mさんが富士山へ行く関係で参加できないのは、残念だ。梅雨明けして以降も、雨が降ったりしたが、ちょうど海の日の20日からは、晴れるとのことで、期待できる。阪和・名神・北陸道と快調に走る。Iさんは、近日の睡眠不足のため、主に私が運転する。立山ICからの道も案内が豊富 5時50分に開門された。往復で1800円とのことで、折立まで、片道20kmを考えると、高くはないのかもしれない。ただ、工事中でダート部分が3kmほどあるとのことである。走行注意書までくれたので、どんな道かと思い走ったが、トンネル等改修が進み、相当走りやすくなっていた。巨大な有峰湖を右手に過ぎると、40分ほどで折立の駐車場に着いた。左手の駐車場は、ほぼ満杯であったが、路上駐車は、 ![]() トイレ等完備された休憩所横から、登山道に入ると、すぐ左手に、愛知大生の遭難供養碑の十三重の塔があった。そこからは、急登であるが、手を使わないといけないほどではない。豊かな自然林の中を、高度を稼いで行く。風があり、楽である。ガイドによると45分しかかからないという「三角点まであと60分」という標識を超えると、右手に北ノ俣岳に続く美しい稜線が見えた後、杉の大木があり、巨大化した水芭蕉の群落があった。ほどなく、三角点に着き、剣岳の勇姿が見え、感激する。ここからニッコウキスゲが見え始めた。 ガレの多い道を登ると、鞍部でニッコウキスゲの見事な群落があったが、少し遅かったようで、色あせかけたものがおおかった(本で見ると1日花とのことである)。また、たくさんのチングルマは、既に種子となっていた。間もなく、森林限界を超え、ガレ場で荒れた道を石畳で修復した道となると、背後に有峰湖が見えた。そう急でもないので、どんどん標高が高くなり、そう疲れ 写真を撮りながら、進むと右手の水路に、オコジョが現れる。石の中が巣となっているのか、何回か顔を出す。子が死んだのか、何か動物の死骸のようなもの(写真で確認すると雷鳥か何かのひなであった)をくわえて、走り去った。うまく撮れていればいいが。木道を進み、先着したIさんに太郎平小屋で合流。眼前には、黒部五郎や水晶岳の勇姿が広がる。しばし、休息した後、薬師峠のテント場に向かう。本によって、所要時間が20分、10分、5分とさまざまだが、真実は?木道沿いは、莚を敷き、植生回復に努めていた。15分ほど下ると、テント場であった。まだ、2張りしかなかったので、黒部五郎が正面に見える高台の平地の一等地に張ることができ満足である。 早速、水場で、運び上げた缶ビールを冷やし、そうめんをつくる。沢水は、すごく冷たく、テン ![]() 登り始めは、沢沿いの大きなガレの急登であったが、それを抜けると、雪渓とお花畑が広がり、槍ヶ岳の勇姿も見える薬師平であった。疲れも吹き飛び、以後のお花畑の美しさと展望の良さに感激する。北ノ俣岳、黒部五郎岳、槍、鷲羽、水晶等、大展望だ。花は、ハクサンイチゲとシナノキンバイが見ごろで特に美しい。タカネヤハズハハコもたくさん咲いていた。それらになぐさめられるうちに薬師岳小屋に続く稜線に出る。小屋で一息入れ、眼前のガレの急登をひたすら登る。Iさんは、はるか前だ。急傾斜を乗り切ると、避難石室があり、ゆるやかな傾斜の道を頂上に向かう。右手に見事な中央カールが広がり、背後に赤牛岳が聳える。 たどり着いた頂上には、多数の人がおり、薬師如来の祀 テント場に戻ると、何と80張りを超えるテントが張られ、係員が手続きを案内していたので、早速行い、冷えたビールまで売っていたので、Iさんがごちそうしてくれた。夕食は、Iさんがカレーを忘れたので分け合い、海藻サラダと名焼酎「百年の孤独」がメインといった感じであった。Iさんは、18時過ぎ床についたが、私は、暮れ行く黒部五郎を肴に19時頃までたしなんでいた。 余り眠れず、深夜トイレに行くと満天の星空であったが、翌朝は、曇りで黒部五郎も見えなか ![]() 先を進むと、道は荒れ、将来が気になった。公共投資の使い道に工夫が欲しい。子孫に残したい気持ちを持つのは私だけであろうか。コバイケイソウが所々に見られたが、花は多くなかった。ピークを目指し、荒れた道を登る。200mほどの標高差をはいまつ帯の中を登ると、北ノ俣岳へのゆるやかな稜線に出た。周りの山々にはガスがかかっているが、時々太陽も顔を出し、期待ができる。間もなく、ハクサンイチゲの大群落が広がる。稜線の雪渓も美しい。ガスと逆光なので、帰りを楽しみに進む。ホシガラスが2匹飛んでいった。 神 ![]() 展望はよく、笠ヶ岳のガスも切れた。特に昨年の雲の平のテント場も見え、感慨深かった。2年がかりで、黒部源流を巡り、満足感で一杯であった。いつか薬師沢、高間ヶ原を巡り、黒部最深部の旅を完結したいものだ。携帯がつながるとIさんが言うので、妻に無事を連絡する。しかし途切 Iさんは、カールには行かないというので、別れ、カール底に向かう。私は、その景色を撮るのが最大の目的の一つとも過言ではない。ヤマケイのカレンダー7月の小池潜氏の黒部五郎カールの写真を見て、想いは強かった。花は少し早いかなとの気もしたが、下り始めると、周りはハクサンイチゲやシナノキンバイが満開であった。しかし、カールの底部は、まだ早く、がっくりし、青空も、なかなか広がらず、仕方 ![]() ただ、帰ってから、カレンダーを見ると、小池氏の作品は8月のミヤマキンポウゲの群落であった。 冷たい雪渓の水を飲み、汲んで帰路につく。標高差200mの上り返しだが、満足感で、一杯だった。ガスが強くなる中、肩に着き、下る。雪渓で遊び、花の写真等楽しみ、一人旅を続ける。アルプスを満喫した一日であった。小屋で妻に再度公衆電話をかけると、遠く聞こえた。甘いものがほしくみかんの缶詰を買い、帰り着くと、Iさんが16時帰着を見越し、ビールを用意してくれていた。たっぷり飲み、チンジャオラオスや中華丼等、昨日とうってかわり、おいしいものをたらふく食べ18時過ぎに寝た。今日も80張り以上のテントで、小屋は昨日の半分と言っていたが、大繁盛であった。19時過ぎ、にわかに雨となったが、 ![]() 朝になると快晴で、黒部五郎の勇姿も見えた。サッポロ一番の塩ラーメンを食べ、片付け、5時40分にテント場をたつ。少し上ると、木道からは、槍の勇姿と富山の街並みもくっきり見えた。昨日の雨で塵や埃も洗い流されたのかもしれない。陽が当たるとこの高さでも暑い。下りは、風もなく、ガレの道をひたすら下る。左手には白山らしき山も見え、有峰湖も美しかった。ニッコウキスゲ、剣岳を見納め、登山口に着く。駐車場は、路肩も含めたくさんの車で溢れかえっていた。 有峰湖とダムを見学し、亀谷温泉白樺ハイツで10時の開場まで待ち、生き返る。露天風呂もあり、いい湯だった。下界は何と35℃の温度を示していた。朝3枚着ても寒くて震えていたのがうそのようだ。東京亭というドライブインでざるそばとおいしい親子どんぶりを食べ、富山ICから泉南ICまで4時間という短時間で帰り着く。 |