道の駅田園の里うりゅうで、三日月と蛙の鳴き声に慰められつつ眠る。前夜と同じく平均して1時間ごとに起きたが、合計では、結構眠っている。3時半頃大型トラックに囲まれ、起こされると、稚内発札幌行きのバスが2台入ってきた。朝食に湯を沸かし、カップうどんを食べ、雨竜沼湿原に向かう。
 
<早朝の暑寒別湖 ここからダート道となる> <雨竜沼湿原ゲート 右からトイレ、山荘、炊事施設>
道道279号線は、暑寒別湖からは、ダートとなる。ここから南暑寒別荘のある湿原ゲートまで15kmだが、途中3箇所改装された舗装2車線箇所が5kmほどあるので、道の駅から26kmを37分で行くことができた。駐車場も3箇所舗装区画され、100台は止めることができそうだ。


<林道から円山> <第一吊橋
ここまで車道>
早朝のためか、最もゲートに近い駐車場も止まっていたのは10台ほどだ。ここには管理棟、トイレ棟、南暑寒別荘、その前のキャンプ場には、賄いのための炊事棟が3棟あった。まだ新しくすばらしい環境だ。
 
<第二吊橋 ここから本格的な上り>
<白竜の滝 下の分岐から50m>
入山には500円/人必要なので、手続きに管理棟に入って、山荘は何時までに手続きをすれば泊めてくださるのかと聞くと21時までとのことなので前夜は残念なことをしたと悔やむ。それほど美しい山荘であった。扉には虫除けの網戸がつき、一階は会食用の大テーブル(ただし火は禁止)、2階に4室あるようだ。1000円/日は安い。管理棟には定価のペットボトルに加えてゼリーも200円で売っているようだが売り切れていた。
 
<上の河原右岸のダケカンバの林> <上の河原 湿原までわずか>
管理人に暑寒別岳までの道を聞くと、盗掘によってほとんどめぼしい花のなくなった南暑寒別岳に比べ、花は多いが、ゲートから往復するのに10から12時間かかるという。体力と天候で決断することにする。
大きなルート標識で確認後、歩き出す。第一吊橋までは車も通れる道だ。ここから階段や山道となり、さほどかかることもなく、白竜の滝に着いた。北海道のHPでは出色の「楽しい山登り」で下からのルートで見た方がいいと事前に調べていたので、分岐を50m進むと、期待通り目線の高さで滝を見ることができた。なかなか立派な滝だ。


<湿原入口に咲くヒメウギアヤメ> <外部種子の侵入を防ぐための足洗い場>
上からも白竜の滝を眺めて、満足して滑らないように登山道を進むとシシウドの咲く第二吊橋に着く。これを渉ると本格的な上りだ。遊歩道のような整備された道かと思っていたが、そうではなかった。ダケカンバの大木があり思わず見とれる。
さらに上ると、左手対岸に美しいダケカンバの林があった。HP山楽日誌のAさんが北海道の樹木は樹勢が柔らかいですねと言っていた言葉を思い出す。上の河原と呼ばれる場所に出ると、涼しい風に別天地を感じる。一度なだらかに笹原を上り、下ると、そこは、この世の極楽と呼んでも過言でない雨竜沼湿原の入り口であった。尾瀬や八甲田の毛無岱などとも違う北の湿原の独特の空気を感じるのは私だけであろうか。天気も少し曇りがちなので、余計ある種の寂しさみたいなものを感じ、憂いがあるのである。

<展望台付近から南暑寒別岳> <展望台下のクルマユリ>
一方、花は盛りで早くもシナノキンバイやヒメウギアヤメが迎えてくれた。木道が始まり、少し進むと、外部の種子を湿原に持ち込まないように足洗い場があった。湿原を大切に守る意思を感じる。そこから少しで展望台があり、その直前に見頃のクルマユリがあった。被写体が多くて、写真撮影に終われ、なかなか足取りは進まない。
 
<左が南暑寒別岳、右が暑寒別岳>
展望台からは大湿原の向こうに右手に暑寒別岳、左手に南暑寒別岳が見えた。どちらもガスがかかったり晴れたりだが、南の方がガスが時間と共に濃くなった。

早くも帰って来る人があった。暑寒別岳まで往復したというが、まさかであろう。それにしても雨竜沼湿原は期待以上であった。木道は平坦で、池?等が多く、風景にアクセントをつけている。特に池塘脇に暑寒別岳を背景に咲くヒメウギアヤメの群落は見事であった。またワタスゲも一面というほどではないが、涼しげに風に揺れている。木道はほどなく、二股に分かれ、一方通行になっている。行きは左手である。少し進むと池?にウリュウコウホネが咲いていたが、デジカメの望遠程度では難しい。
 
<ピンクはオニシモツケの群落>
一日花のエゾカンゾウも結構残っていた。ただこの花が増えるというのは、湿原の乾燥化が進んでいる証拠で喜ぶべきでないと読んだことがある。
この先、一時、暑寒別岳と南暑寒別岳のガスが切れたが、その後は、隠れたままとなる。少し先の川沿いのオニシモツケのピンクの群落は見事であった。
 
<七合目近くのダケカンバの林>
木道が合流すると湿原全体を見渡せる展望台への上りとなる。30段ほどの階段を上り、しばらくで左手に絶好の展望台があった。途中、エゾカンゾウとヒメウギアヤメの群落がある。
青空でないのは残念だが、十分に見渡せる。湿原は笹原に取り囲まれているのが分かる。笹原の中に道があるように見えるが、それは沢である。

<山頂に続く笹原の道>
一息入れた後、南暑寒別岳を目指す。ここから3000mの標識がある。コースタイムは2時間となっているが、標高差からは、1時間半程度と思われた。
一上りすると、笹原を切り分けた平坦な道が続き、7合目の古い標識があった。チシマアザミ、オトギリソウ ダケカンバの林を抜けると、再び笹原の切り分け道を上る。オトギリソウがたくさん咲き、8合目の標識があった。

<八合目付近からの湿原展望>
イワイチョウ、シナノキンバイが咲くお花畑を過ぎ、一上りで山頂であった。山頂は小広くなっているが、ガスだけでなく、大変な風だ。暑寒別岳へは急な下りで太いロープが垂れ下がっていた。
若いグループもいたが、向かおうとする人はいなかった。100mの急登を下り300m上り返す往復4時間までしてガスの中を苦労したいという人はいないようだ。
ガスで何も見えず、寒いぐらいなので早々に下ることとする。上ってくる人は多く、また、左手方向には青空が広がっている。暑寒別岳や南暑寒別岳は、花の百名山のビデオでも、海に近い増毛山地は、ガスがでやすいと言って、ビデオの中でもガスで何も見えなかったことを思い出す。
 
<展望台からの湿原>
展望台で単独行者と親しくなり話し込む。埼玉に住む方で、ここ1週間ぐらい北海道の山々を周っているという。新潟から往復フェリーだと33000円とのことだ。マミヤの6×7を持ち、本格的に写真を撮られていた。
展望台から見える池?を数えてみると50ぐらいであったが、ガイドブックによると大小合わせて100ぐらいあるという。

<下りの木道沿いのヒメウギアヤメ群落> <池塘のヒツジグサ>
帰りの木道からは、タチギボウシが見られ、ヒメウギアヤメやオニシモツケの大きな群落は美しく名残惜しかった。
相変わらず、続々と上って来るが、観光客風の方が多く、飲み物も持っていない人もいて心配になる。涼しいと言っても、飲み物は必要なコースだ。
 
管理棟で管理人に入山者数を聞くと、200人から300人とのことで、駐車場も満車ではなかった。
温泉は山頂で聞いた北竜温泉(露天風呂とひまわり畑でお薦めとのことだ)や江部乙温泉が気になるが、浦臼にあるつるぬま温泉とした。つるぬま湖畔のつるぬま温泉は400円なので石鹸だけで、内風呂だけだが、沼が見え良い温泉だった。
 
何とここの湯船で展望台の単独行者に再会し、広間で話し込む。大手メーカーを体を悪くして退職され、農業の傍ら、山岳写真を撮り、個展も2回開かれたとのことである。百名山を昨年35歳で完登され、そのことで写真展も毎日新聞や埼玉新聞で大きく取り上げられたとのことだ。いい出会いとなった。
グループもいいが、単独行はこうした新しい出会いがあっていい。ここつるぬまも明日は祭りで花火大会だという。そのため、湖畔のキャンプ場はたくさんのテントが張られていた。昨日は札幌、今日は旭川の花火大会だという。北海道も夏真っ盛りだが、夜は本当に涼しいので夏という気がしない。
夜は隣の施設のレストランでハンバーグセットを頼む。900円とは思えない豪華さで大満足である。夕食後、つるぬま湖畔で涼むが、半袖ではすぐに寒くなり、前夜と同じ浅い眠りにつく。
明朝、スパゲティスープの朝食後、つるぬまを周回散歩する。数多くのテントは私が数年前までキャンプに凝っていた頃よりさらに豪華になっている。
三笠の24時間営業の巨大ジャスコに立ち寄るとたくさんの防虫ネット類が売られていて、北海道らしいと感じた。
きらら街道の道道45号からR337、R274、R337を経由して、千歳近くの泉郷の付近は牧歌的で、牧場や満開のそば畑があり、足をとめる。それでも未だ早いので、千歳川沿いを散歩する。
さけのふるさと館付近はいい散歩コースだ。さけの捕獲のインディアン水車や産卵が見られる施設もある。さけは川床から清水が湧き出るところで、卵は日光もだめ で砂石に守られる必要があると書かれていた。

<つるぬま> <千歳川>
橋の上から熱心に川をのぞく人がいたので聞くと、あゆがたくさんいるのに、北海道の人は興味がないとこぼしていた。
また、近くのソフトボール場では公式試合がされ、いい時間つぶしになった。レンタカーを返却し、空港で早い昼食とする。妻の薦めで北海道らしいものをというお薦めでユックで海鮮丼の釧路定食を食べる。なかなかおいしかった。
荷物検査でウイスキーがひっかかったのにはびっくして、飲んでみましょうかと言ったら、においをかいでいいですと言っていた。空港によって感知性能が違うようだ。
私は神戸空港行きだが、少し早く出る伊丹空港行きが50分遅れるので、お詫びの1000円の食事券を出すとアナウンスしていた。一方、神戸空港行きも機材到着が遅れ20分ぐらい遅れたが、何も出なかった。しかし、新潟・小松・天橋立を飛び、定刻より5分早く神戸空港に着き、逆風で1時間30分の飛行時間には驚いた。
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