宮之浦岳

 


データ】     

2003年9月6日(土) 晴れ 宮之浦岳 歩行時間6時間05分(上り3時間20分 下り2時間45分)

   

9月5日(金)

中松江5:53 和歌山市駅6:03 6:07発サザン 難波空港バス7:15発 7:50伊丹空港待合室 JAS9:00伊丹発 10:05鹿児島空港着 菜の花ラウンジ・山形屋にて昼食 JAC12:00発 12:35屋久島空港着 13:00空港発 13:10楠川歩道分岐(10km) 13:30白谷雲水峡(20.5km)

白谷雲水峡 歩行時間1時間30分

13:40スタート <10分> 13:50〜55駐車場700m標識分岐(ひりゅう橋) <5分> 14:00〜05さつき吊橋 <5分> 14:10〜13二代大杉 <27分> 14:40〜15:00三本足杉 <15分> 15:15ニ代大杉 <5分> 15:20〜22さつき吊橋 <13分> 15:35〜43弥生杉 <10分> 15:53ゴール 

15:57出発 16:17県道77号 16:29〜50志戸子ガジュマル園(38.8km) 17:20〜31枕状溶岩(61.5km) 17:50民宿いっぱち着(70.3km

9月6日(土)

5:02民宿発 あさひ弁当 5:30〜32荒川分岐(84.3km) 5:36ヤクスギランド(86.4km) 5:48紀元杉(92km) 5:52淀川登山口(93.7km)

*宮之浦岳登山 歩行時間6時間05分(上り3時間20分 下り2時間45分)

6:05スタート <13分> 6:18(登山口から
0.6km、山頂まで7.4km、花之江河3.6kmの標識)<9分> 6:27(登山口から1kmの標識) <8分>6:35〜37淀川小屋(登山口から1.5km)<16分> 6:53(登山口から2.0kmの標識) <10分> 7:03(登山口から2.5kmの標識)<11分> 7:14(登山口から3.0kmの標識) <16分> 7:30(登山口から3.5kmの標識)<8分> 7:38〜51小花之江河(登山口から3.8km、宮之浦岳4.2km、花之江河0.4kmの標識) <4分> 7:55(登山口から4.0km、宮之浦岳4.0km、花之江河0.2kmの標識) <2分> 7:57〜8:02花之江河(投石平1.2km) <8分> 8:10(淀川小屋から3.0km、投石平0.9km、宮之浦岳3.5km、花之江河0.3kmの標識) <3分> 8:13〜16黒味岳分岐(投石平0.7km、花之江河0.5km、携帯電話通話可能の標識)<6分> 8:22(淀川小屋から3.5km、新高塚小屋6.5km、宮之浦岳3.0km、花之江河から0.8kmの標識) <8分> 8:30〜33水場 <3分> 8:36〜45投石平(宮之浦岳2.6km、花之江河0.6kmの標識) <5分> 8:50(宮之浦岳2.5kmの標識) <17分> 9:07(宮之浦岳2.0kmの標識) <12分> 9:19(宮之浦岳1.4kmの標識) <10分> 9:29〜31(最後の水場ですの標識) <2分> 9:33(宮之浦岳1.0kmの標識 テント1張り) <13分> 9:46(宮之浦岳0.5kmの標識) <2分> 9:48〜51休憩 <14分> 10:05〜40宮之浦岳山頂 <23分> 11:03最後の水場 <22分> 11:25(山頂2.0km、淀川小屋4.5kmの標識) <13分> 11:38(山頂2.5km、淀川小屋4.0km、花之江河1.3kmの標識) <3分> 11:41〜51投石平 <2分> 11:53〜56水場 <6分> 12:02(山頂3.0km、花之江河0.8kmの標識) <7分> 12:09黒味岳分岐(山頂3.3km、花之江河0.5kmの標識) <3分> 12:12〜14(花之江河0.3kmの標識 小猿) <6分> 12:20(小花之江河0.4km、淀川小屋2.7km) <7分> 12:27〜30小花之江河 <7分> 12:37(淀川登山口3.5km) <8分> 12:45(淀川登山口3.0km) <9分> 12:54(淀川登山口2.5km) <9分> 13:03(淀川登山口2.0km) <10分> 13:13〜19淀川小屋 <11分> 13:30(淀川登山口1.0km) <19分> 13:49淀川登山口

     父の行動

9:29安房発 10:28紀元杉着 10:48発 11:08ヤクスギランド着

13:55 13:59〜14:02紀元杉 14:14〜28ヤクスギランド 14:58〜15:16世界遺産センター 15:36〜50トローキの滝(126km) 16:00〜08千尋の滝(129.4km) 16:33〜17:10湯泊温泉(144.4km) 17:39民宿いっぱち(166.1km) 

9月7日(日)


5:30起床 散歩

8:40民宿発 8:45〜9:15竹之内工芸 9:18いっぱち分岐(172.5km) 9:50〜10:07平内海中温泉(193.4km) 10:28〜46大川の滝(207.4km) 11:26〜35屋久島灯台(225.2km) 11:45〜50いなか浜 12:30〜13:28レストラン花江(254.2km) 13:35〜15:02環境文化センター(257km) 15:15〜16:00楠川温泉(262.5km) 16:15屋久島空港(269km)

17:45JAC屋久島空港発 18:25鹿児島空港着 夕食 20:35ANA鹿児島空港発 21:35関西空港着 21:48関西空港発急行 22:00泉佐野駅発普通 22:35和歌山市駅着
 


駐車場
  淀川登山口(10台程度)

温泉
   湯泊温泉(無料)
   


2003年9月5日(金)

初夏に母が屋久島に行きよかったことを聞き、父(73歳)も行きたいという話から、私がいっしょに行こうということになった。父との二人だけの旅はもとより、長時間二人だけで過ごすということは、ほとんどなかったことから、いい思い出(親孝行?)になるのではと企画することにした。例によって、自称ツアーコンダクターの私としては、コストパフォーマンスの高い旅とすべく、JALのバーゲンフェアとANAの超割が使える期間にチャレンジする。しかし大阪・鹿児島間の航空券だけでなく、バーゲンフェア対象外の鹿児島・屋久島間のチケット手配が困難そうであった。インターネットによる申し込みは過去難しいことが分かっていたので、JTBに当たるが、店舗によっては、航空券のみの事前受付はしてくれないところもあり、受け付けてくれる店を探すのにも一苦労する。


結果は、行きの関空発の便は適当な出発時刻のがなく、伊丹発の便は希望通りの便が確保できたが、屋久島行きは、一便後となった。ただ前売り21の安いチケットを入手できたのはよかった。帰りは、鹿児島行きの最終は、普通運賃の券しか入手できず、関空行きも超割であるものの、最終便となった。しかし、試しに平行してネットで予約してみたが、屋久島行きは、父の名前を登録している間に席が埋まってしまうという感じであった。JTBに感謝である。レンタカーも屋久島は対象外かと思ったが、オリックスレンタカーのみバーゲン料金ということで、5000円/日で借りることができた。問題は宿である。ホテルは屋久島はバーゲン対象となっていない。いわさきホテルが最高級だが、いかんせん高い。その他は、値段の割に今一つそうなので、民宿を当たってみる。ネット情報により評判のいい安房にある「いっぱち」とする(屋久島の情報は屋久島リアルウエーブ屋久島観光協会のHPが大変役に立つ)。


父は、台風のシーズンなので、心配していたが、父の行いの良さか、週間天気予報もどんどんよくなり、3日間とも晴れの予報となった。5日の朝、加太線で和歌山市駅に着くと、サザンの切符を買い、父が待っていてくれた。夜型の父は、睡眠時間が少なかったようだが、元気で、思い出話や観光先の予習をしつつで、あっという間に難波に着いた。

空港バスも一本早いのにぎりぎり乗れ、渋滞もなく、20分で伊丹空港に着いた。大変な人である。荷物をカウンターに預け、検査後、スモーカーの父のために喫煙場所でくつろぎ、母の買ってくれていたおにぎりを食べる。JASの出発ゲートは、一番端であった。満席で予定通り飛び立つ。スチュワーデス(キャビンアテンダントと言わなければいけなかったけ)の話では、明石・高松・宮崎経由のルートとのことだが、左手に関空や和歌山がよく見えたのが解せなかった。熱烈なトラキチの父とは、スポーツ新聞を通じて、野球の話となる。


鹿児島空港には、定刻に着いた。母から聞いていた通り、新しく美しい空港だ。ロビーの縄文杉の写真が一際目立つ。屋久島行きの搭乗手続きを済ませ、喫煙コーナーに行くと、「菜の花ラウンジ」があった。ここはVISA等のゴールドカード会員は無料で同伴者は800円(飲み物1杯無料)とのことだ。ゆっくり喫煙できるスペースもあり、いい記念になるので休憩する。その後少し早いが、屋久島での観光を効率的とするため、昼食とする。鹿児島は黒豚で有名なので、山形屋というレストランでロースとんかつ定食を食べる。まずまずであった。


屋久島行きは、プロペラ機で、YS11だと思い、写真におさめたが、乗ってみると、さらに小さいスウェーデン製の36人乗り(3人×12列)であった。若いスチユワーデスが一人で切り盛りしている(機内サービスは飴だけ)。父もプロペラ機は何か不安とのことだ。若い頃、乗っていたというグライダーは翼が長く落ちないそうだが、プロペラがいかにも小さく不安だという。


プロペラ機は定刻に飛び立ち、左手に桜島、右下に開聞岳をながめながら、順調に飛ぶ。500km近くの速度が出ているとのことだ。屋久島は、山の頂きは雲に隠れていた。空港は予想通り小さいだけでなく、古かった。


レンタカー会社も若い女性二人が来ているだけで、手続きもロビーでする。車はトヨタのVITSだが、小さい傷やへこみがここかしこにあるので、後でトラブルとならないよう入念に確認する。


今日の最大の目的地は、もののけ姫で有名になった白谷雲水峡である。県道77号を進むとすぐに愛子様を誕生を祝う「愛子岳」の看板があった。大変な人気のようだ。はじめての屋久島は、青空に海が輝いていた。台風を避けるためか民家は皆平家なのが目立つ。ガイドブックでは、雲水峡まで空港から車で50分となっているが、30分強で着くことができた。道は改修しているところも多かった。駐車場は30台ぐらい止められるが満車で路肩にも止めているが、ラッキーなことに待つことなく一台出て行った。


入口で協力金300円を払う。環境整備に使うというのに、団体割引をするのは解せない。ヤクスギランドもそうだが、是非再考してほしいものだ。コースは、川沿いに飛竜落とし等をみる。花崗岩の大岩が印象的だ。さつき吊橋から少し先の二代大杉(樹高32m、胸高周囲4.4m、標高730m)は見ごたえがあった。せっかくなので、先の三本足杉も見に行く。標高差が100m近くあり、思ったより歯ごたえがあり、父には悪かったが、ゆっくりながら元気に歩いていて安心できた。毎日ゴールデンリトリバー「いち」を散歩させている成果であろう。父にとっては、ひめしゃらの木ははじめてらしく、紀州にもあることを教えると驚いていた。若い男女とたくさん出会う。



三本足杉(樹高24.2m、胸高周囲2.7m、標高830m)は、石が流れてこういう形となったようだが、特徴的な姿だ。ここで、半氷状態の冷たい「たらみのみかんゼリー」を食べるが、うっかりスプーンを車に置いてきてしまい苦労するが、父は喜んでくれた。


父の言葉で杉の上部を見ると、蜘蛛の足のようであった。帰りは早くさつき吊橋までは早かった。弥生杉まで少しの上りがあるので、父に確認したが、是非行きたいというので階段を上るとほぼ水平となり、遊歩道が続く。大変歩きやすい道だ。どうやら母は、弥生杉コースのみを周回したようだ。弥生杉(樹高26.1m、胸高周囲8.1m、推定樹齢3000年、標高710m)は期待ほど大きくなく、樹勢回復措置をしたと表示されているが、元気はなかった。


駐車場に戻り、少し下ると「益救霊水」不老長寿の水があったので、父にも薦めた後、ペットボトルに詰める。冷たくておいしかった。国道まで下ると、志登戸のガジュマル園に間に合いそうなので目指す。ガジュマル園は海岸近くで、薄暗く、やぶ蚊か多いとのことで団扇を貸してくれた。一見の価値がある奇妙な姿とをしていた。カップルが「さくららん」が咲いているのを教えてくれた。


安房に向かう途中、枕状溶岩(遠くから流れてきたらしい)を見物するが、期待ほどのものではなく、森でなくギーギーというヤクシマゼミを間近で見られたのがよかった。ツーカーの携帯も通じたので、無事着いていることを和歌山に連絡する。


民宿「いっぱち」は地図にあったので迷うことはないと思ったが、国道沿いに看板がなかったので分からず、二回人にお聞きした。どうりで予約のとき、電話くださいと言っていたはずだ。


情報通り奥さんは親切で、「若いグループが来ているので、今日は静かなように玄関から入ってすぐの部屋だったが、明日は奥のテラスのある部屋に変えてくれる」という。薦められ先ず風呂に入る。一人ずつが適当な家庭の風呂だが、大き目のジェットバスだ。新しい洗濯機と乾燥機があったので、洗濯もすることができた。夕食はトビウオ等10品近くもあり、凍ったジョッキにそそがれた生ビールはたまらなくおいしかった。日頃は飲まない父も飲み干した。オーナーに登山届を出すように言われ、預ける。下山したら電話するようにと熱中症に留意するようアドバイスを受けた。


さすがに疲れていて(阪神の中継はなく、3:2で負けている報告を聞いているあたりで)、明日のヤクスギランドのコース案内と時間の確認を父としただけで、夜は、二人ともすぐに眠ってしまった。






9月6日(土)

クーラーのせいか数回起きたが、予定通り4時30分に起きた。縄文杉に行くという女性は早、タクシーで出かけたようだ。



2日めの予定は、私が早朝から宮之浦岳をピストンしている間に、父は、紀元杉とヤクスギランドを見学し、下山後、父をランドでピックアップし、観光する予定である。バス停までの交通を気にしていたが、民宿の奥さんが父を送ってくださることとなったので安心する。

真っ暗な中、走ると、ほどなく、朝5時からやっている「あさひ弁当」で、前夜民宿で予約していたおにぎり弁当(おにぎり2つとおかず500円、3つ600円、幕の内弁当600円)を受け取る。まだ若い女性が一人で準備していた。


走る車は多く、駐車場は大丈夫か心配したが、荒川分岐で、皆、縄文杉の方に行った。後で読んだガイドブックによると、宮之浦岳登山と縄文杉見学では、1:5ということだ。道すがら荒川分岐までの間でヤクザル2匹、ヤクスギランドまでの間にヤクシカに出会う。ようやく白みかけた頃、ヤクスギランドを通過し、紀元杉や川上杉を確認し、登山口に着くと早準備している人が多い。7台くらい止まっていたが、せいぜい詰めても10台ほどのスペースだ。トイレもしっかりした施設だ。さすが世界遺産である。


天候は上々で青空が広がる。朝の淀川小屋までは、林道かと勝手に思い込んでいたが、登山道で、少しアップダウンもあり(ゆるやかな尾根を越え、山の斜面を横断)、コースタイムを縮められるか難しいと思ったが、意外と早く30分で着いた。期待通りのすばらしい小屋で、中を覗くと床は2段になっていた。


橋からは淀川が見えたが日が射していないので、清流は帰りにじっくり見ることとする。暖帯性雲帯林帯の森には、杉、もみ、つが、ヤマグルマ、ヒメシャラの巨木が生え、様様な植物が着生し、独特の森を作り上げている。またここまでは陰で涼しい。早足の若者が追い越していった。聞くと永田岳のピストンをするそうだ。健脚である。熊本のご夫婦とはこの日抜きつ抜かれずという感であった。上りにさしかかるところでがさがさという音ともにヤクシカに出会った。本当に小さくバンビのようだ。


木道が続きだす。左手に高盤岳のかまぼこ花崗岩が見えた。勉強不足だったので、「あの岩は何だ。なんと言う山だ」という驚きであった。木道は高層湿原保護のためであろうが、大変な資金と労力がかかっていよう。小花之江河は期待以上に美しく、青空の下、高層湿原が輝いていた。湿原を埋める苔、清流、吹く風も涼しく、休憩に最適の場所であった。ここから花之江河へも木道が続く。花之江河は「小」の3倍ほどの広さだそうだ。青空に黒味岳が美しい。このところの天気で水が少ない感がする。ここで栗生歩道、安房登山道が交わっていた。標識を慎重に確認し、山頂を目指す。黒味岳分岐までは、木道が続く。分岐から黒味岳は30分弱とのことだ。投石平手前の水場で熊本のご夫妻が水を汲んでいたので私も飲む。冷たくて美味い。


いっぱちは冷凍庫があったので、凍らせてこれたのがよかった。暑くて、ゼリーなどしか食べる気がしない。片足しか通れない花崗岩のロープ場を登ると、投石平で、一気に展望が開け、宮之浦岳や永田岳も遠望できる。十分展望を満喫した後、登る。緊急避難に使えるという投石岩屋では若いグループが食事をしていた。ここからもロープ頼りの急な部分もあった。ヨツバシオガマに似た花が3本咲いていた(その後屋久島固有のヤクシマシオガマと判明。撮影しておくべきであった)。がまんして稜線に出ると風がここちよい。ヤクシマシャクナゲも多くなり、絶好のルートだ。安房岳・独特の景観の翁岳を巻き下ると最後の水場だ。ここの水もうまかった。


最後の栗生岳への上りだ。ヤクシマザサの美しい道だが、年間8000mmとも言われる雨に整備した木道も荒れ果てていた。栗生岳には岳参りの祠がある。標識に従い見に行くが見つけられなかった。それにしてもすばらしい景観だ。暑さ以外は会心の登山だ。ようやくたどり着いた山頂からは、何よりあこがれの永田岳の絶景がすばらしかった。埼玉から来た学生さんと懇談する。3日前からの入山とのことで、永田岳も登って来たという。大学最後の思い出ということで、じっくり屋久島に向き合っているようだ。プレゼントに半氷のオレンジジュースをプレゼントして喜ばれる。


それにしても永田岳の美しさはどうだ。学生さんによると永田岳から見る宮之浦岳もすばらしいとのことだが。新高塚小屋への稜線へも捨てがたい。ヤクシマザサ(背丈が低く葉も小さい)・花崗岩・青空のコントラストがこの類まれな景色を演出している。ここからは一周100kmあまりの小さな島でありながら家屋一軒見れない。学生の話によると永田岳からは見えるとのことだが。


あまりのすばらしさにベストコースを考えてみる。淀川登山口から荒川登山口の周回コース+空身での永田岳ピストンであろうか。永田岳のピストンを割愛すれば、6:00出発の荒川登山口最終バス乗車の日帰りも十分可能だ。


ゆっくりしていたいが、父を待たせたくないので、おにぎりを一つ食べ、出発する。帰りはやはり早い。可憐に咲くリンドウのみ撮影する。暑くなければ、もっとピッチが上がったであろう。投石平で休む埼玉学生と熊本夫妻は、黒味岳をピストンするという。500m起きの標識を励みに飛ばす。しかし最後はばて気味であった。淀川小屋では、外人さんが一人本を読んでいた。登山口に溢れた車は手前の路肩にも止めていたが、20台ほどであった。


紀元杉を写真におさめると猿がいて襲われそうになった。ヤクスギランドに着くと、待ち合わせの売店には父はいなかった。とりあえず、約束どおり公衆電話で民宿に無事下山したことを連絡すると、奥さんが父が予定通りバスに乗ったことを教えてくれた。出口から逆ルートで迎えに行こうかと思ったところ、父が歩いてきた。元気そうだ。


朝のバスの運転手さんが良い方で、観光ガイドもしてくれたという。鹿や猿のいるところで止めてくれ、写真撮影の時間をくれたり、大シダや縄文杉の話等いろいろしてくれたということで殊の外喜んでいた。また、ヤクスギランドでは、コースを間違えたとのことだが、いろいろな人に出会い楽しかったようだ。単独行動させたことに後ろめたさがあっただけにほっとする。父から山の名に「浦」がつくと高山のイメージがわかないと言われ、なるほどと思う。


トローキの滝は「とどろく」がなまったものだと父に教えてもらう。路肩に止めて少し歩くと轟音が響く。高さはしれているが、海に直接落ちる滝は珍しく、海に落ちるため音が大きいという。


世界遺産センターでは、父は、いつものように熱心に見学していた。私は、ここでだけ売っている登山地図(100円)を買ったりした。屋久島の名所の千尋の滝に向かう。展望台は滝よりはるか遠距離にあるが、巨大な岸壁は迫力があった。


次に干潮時にしか入れない平内海中温泉と違い、24時間入れる湯泊温泉に行く。海中温泉と違い、標識が小さく一度は通り過ぎてしまう。戻り、海岸の方に下ると、駐車場以外にも新しいトイレや更衣室もあった。湯船は混浴だが、板の仕切りがある。沖縄(沖縄には高い山がないので来たと言う)と東京から来た人たちと楽しい会話をする。ぬるめの湯でじっくり入ることができた。父も満足そうだ。東京の若い方に二人の写真を撮ってもらう。間もなくたくさんの人が来たので、ちょうどよかった。湯がどこから湧き出ているか不思議だったが、仕切りの板の間から湧き出ていると父は地元の人から聞いてきた。


この日の夕食も満足の行くものだった。とびうおのさしみ、揚げ物はうまく、薩摩地鶏のたたき等地元の名産が多かった。二人とも汗をかいていたので、今日も生ビールがうまい。私は、昨夜以上に早く眠ってしまった。父もNHKスペシャル後、22時には眠ったとのことだ。


しかし何故か0時半に一度起きる。父は火星を発見し、その後1時間ほど起きていたとのことだ。クーラーを消し、窓を開けると涼しい風と虫の音が心地よくよく眠れた。



9月7日(日)

朝5時半に起き、テラスで朝焼けを見る。じっくり空を見るのは何年振りだろう。雲の色の変化が美しい。散歩してみるとぽんかん畑が広がっていた。朝食もおいしく(父の話では前日とすべて違う献立)、満足して宿をたつ。宿の紹介で竹之内工芸におみやげを買いに立ち寄る。850万円するという虎の像は今年のタイガースを髣髴させる迫力があった。


平内海中温泉(屋久島観光協会に干潮時ほ問い合わせていた)に向かう。数人いたが、湯音が高く、父は見物だけだった。若い女性も来るが、さすがにここは入れないと言い、記念写真たげ撮っていた。白浜の崎の湯の方が上回る気がするのは欲目かもしれない(干潮時しか入れないというのが海中温泉の売りだから)。


見所の大川の滝は日本の滝百選だ。88mの高さを間近に見ることができ感激する。西部林道は、情報通り細かったが対向車が少なくラッキーだった。ただ天気が続きすぎ、霞んでいてトカラ列島が見えず植生の垂直分布もぼんやりしていたのが残念であった。屋久島灯台も青空の下、海が美しかったが、口永良部島は見えなかった。


永田のいなか浜は、写真にだけおさめる。永田岳は山頂部がガスに隠れていた。どこもそうだが、島の道路沿いは、赤のハイビスカスが咲き乱れている。カンナやフヨウも多く、まだ秋の気配はない。昼食はマップルに紹介されていた徳州会病院の隣のレストラン花の江のオムレツチキンライスを食べる。情報通り特製デミグラスソースは美味であった。ただ40分も待たされ、キャンセル客もではじめたのを気にしたのかアイスコーヒーをサービスしてくれた。そのため屋久島環境文化村センターのシアターは1本後となったが、結果はその方がよかった。巨大スクリーンに映し出される映像はすばらしく、阿部寛のナレーターもよかった。


それでも時間があり余ったので楠川温泉に立ち寄る。古い素朴な湯だが、私はこういうのが好きだ。肌がすべすべして気持ちがよかった。入らないと言って広間で休んでいた父も、地元の人と話すうちに入浴する気になりよかった。ふれあいパーク屋久島で実物大の縄文杉・ウイルソン株を見て屋久島旅行は完結された。一周してみると、やはり人口1万6千人とのことで、宮之浦と安房以外は寂しかった。それでもスーパーやドラッグストア、ホームセンターもあり、昔の趣は薄らいでいるのであろう。 


空港前のスタンドでガソリン補給、133円/lには驚く。帰りはYS11。今年で終わりだと聞いていたが後数年は飛ぶという。しかし写真を撮る人は多い。格納式のタラップ、列車風の棚等独特だ。上空からは、幸運にもガスが切れ、永田岳や宮之浦岳と思われる峰峰が見え、見送られているようでうれしかった。屋久島空港では前の関空行きまで20分しかないので変更を拒否されたが、鹿児島空港で前便が遅れていたので聞くとOKだが、空席はなかった。家族に地元キティのおみやげを買い、レストランROYALで夕食とする。関空行きの飛行機は予定より早く着き、一本早い急行に乗れた。泉佐野からは普通に乗り、和歌山市駅で妻が迎えてくれ、父を送り帰宅する。父のこれまでの行いの良さであろうか、天気はもとよりすべてに満足のいくいい旅となった。


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