鳴虫山 |
【データ】
【メンバー】 |
1月の日和田山以降、山は遠ざかってしまった。この間の良き思い出は、京都の桜と文楽の人間国宝住大夫の引退公演を見ることができたことだ。京都の桜は、雨宝院・妙蓮寺・水火天満宮。城南宮神苑などだが、桜もさることながら、雨宝院の重文の十一面千手観音立像、妙蓮寺の長谷川等伯の鉾杉図や幸野豊一の"四季の襖絵"(春の野、夏の池、秋の山、冬の川:特に秋のススキ、冬のサギ)に心を打たれ、念願の東山魁夷の「年暮れる」の題材となった景色を京都ホテルオークラのレストランから見ることができ、大満足となった。(写真左上から、雨宝院、水火天満宮、城南宮。右上から、妙蓮寺、ホテルオークラ京都からの比叡山方面。手前は高瀬川の桜。)![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 文楽は、念願の菅原伝授を通しで見ることができたことは幸せだった。DVDでは見たことがあるが、生は違う。さすが住大夫さんの引退公演で、大阪にしては珍しく補助席も出す大入りだが、住大夫さんの出番でも、大いびきをかく客が複数いたのが大阪らしい。(^^)v住大夫さんは、体力ぎりぎりという感じであった。5月の東京はチケットが取れなかったので、私にはラストとなった。住大夫さんの桜丸切腹の段もいいが、やはり寺小屋の段がいい。嶋大夫さんの代演の千歳大夫さんも情感溢れ、拍手喝さいであった。 ![]() ということではあるが、山は久しぶりだ。せっかくなので、季節に合う山をとガイドブックを探したところ、東武日光駅から周回できる「鳴虫山」が、ヤシオツツジの季節というので、出かけた。行徳駅からは、3時間から3時間半かかる。特に浅草と日光は、特急を使わないと本数が限られているので、行き帰りの時間をよく研究して出かけることにした。 天候も良さそうで、早めに起きたので、予定していたより、早く出かける。さすがに、銀座線もこの時間帯は本数が少ない。東武浅草駅は、思ったよりも新しく感じた。快速を待つ人は、ハイカーが多い。山ガールでなく、中高年ばかりだ。車内は懐かしいボックス席で、折りたたみの机まである。NHKでJR九州の「ななつ星」の紹介を見ていたので、電車も色々あるなぁと思う。 スカイツリー駅も停まる。この線は、昔、某社の鬼怒川温泉の施設に会議で行ったときに乗ったきりなので、はじめてに近く、車窓を楽しむ。街路樹は花水木の花が満開だ。春日部駅で沢山の人が乗ってきた。田は早くも田植えが終わっているものもあった。やはり関東平野は広くあまり風景に特色がない。しかし、藤の花なども満開で緑が美しい。利根川の水は濁っていたが、渡良瀬川はきれいだった。 新大平下という駅で、結構ハイカーが下りた。どこを目指すのだろう。ようやく左手に山が見え始めた。下今市駅から臨時快速が早いというので、乗り換える。左手に雪をかぶった男体山や女峰山が満開の桜と共に見え、今日は、山がかすんでいるが、くっきりしていたら絶好のカメラポジションだと思う。また、日光だいや川公園の桜が素晴らしく、車内の乗客も歓声を上げていた。 東武日光駅もさすが世界遺産の玄関口で、整備されていた。地図を頼りに、国道を旧消防署を目指して歩く。旧消防署からは登山口の案内も豊富で迷うことはない。一本、見事なしだれ桜があったのでカメラにおさめる。それにしても家庭の庭先は、シバザクラやチューリップが満開で、どこも花で溢れている。風薫るいい季節だ。 ![]() ![]() 登山口からは、一気に登るが、歩きやすい。杉林や桧林を歩き、左手に神主山の道を分ける。急登を上り詰めると、山頂だ。日光市街が見渡せるが、霞んでいる。ベンチもあり休憩にいい場所だ。 20分ほど歩くと、アカヤシオが目立ち始めた。急登だが、それを忘れさせてくれるぐらい、山頂まで、満開のアカヤシオが続いた。また、多くはないが、足元には、カタクリの花も咲いていて、疲れを感じさせない。それにしても、鈴鹿のアカヤシオをしのぐ本数だ。吹く風も心地よい。「関西では、ヤシオはよくあるらしい」と話す人がいたが、私は鈴鹿より見事だと思う。こんなに群生はしていない。 ![]() ![]() ![]() ![]() 急登とやせ尾根に閉口するところが、花に慰められる。木は今芽吹こうとする感じだ。満開のアカヤシオを見ながらの昼食ハイカーも多い。最後の一登りを終えた山頂には、多くのハイカーが休んでいた。二等三角点の前で写真を撮り、稲荷ずしだけをかけこみ、帰りの電車の時刻があるので、そそくさと立つ。 ![]() ![]() 周回路は、最初から急坂だ。最近、立派な階段が取り付けられたようだ。下りて振り返ると、木々の合間から鳴虫山斜面にいかにアカヤシオが多いかよく分かる。吉野山の桜に負けないぐらい山肌がピンクに染まっている。霞みと木々に邪魔され、写真におさめられないのが残念だ。 ![]() ![]() 合峰を過ぎると、一気に下る。先行する山慣れた人と親しくなる。ストックも使わず、きれいな足運びなので、勉強させてもらった。高崎山岳会の重鎮のUさんで、昭和20年生まれだと言う。年間山行回数が半端でなく、ハンターの腕は持つわ、種々のボランティアで活躍するわ、スーパーマンである。数年前までは、40sのリュックを背負い、オーラを発しながら歩いていたと言うのもうなづける。そのお話しで、カラマツ林の芽ぶきの向こうに男体山が見えるぐらいしか見どころのない急坂も苦もなく歩けた。また、休憩もなく、ノンストップだ しかし、最後はおみやけが二つもあった。含満淵と化地増だ。桜咲く清流の淵と苔むした化地蔵は、このコースに花を添えている。さらに橋までの桜も見事で、この時期にこのコースを歩けた喜びに浸る。 総合体育館からは、金谷ホテルや神橋など、数年前に家内と旅行したときのことなど思い出しながら、ぽくぽく歩く。途中、日光のおいしい水なども飲める箇所もあり、あきない。 帰りの電車からは、左手に筑波山に見送られ、充実した一日に感謝した。のんびり文庫本を読みながらの時間も東京ならではの山行だ。 |