羅臼岳 1661m |
【データ】
【駐車場】 |
昨年に続き、ANAの「超割」を使って、北海道への山行を計画した。目標は、昨年行けなかった羅臼岳と斜里岳とする。しかし、関空−女満別間の飛行機は、便数が少ない上、席数も160ほどのA320型機なので、昨年も取れなかった。今回は、たまたまのラッキーが重なり、第2希望ではあるが、11日の関空夕刻発、13日女満別19:00発が取れた。さらに、超割は特割と異なり、当日空港で前便に空席があれば変更できることを知り、早朝空席を確認したところ、50席あることが分かりチャレンジすることとした。関西空港に8:30に着き変更を申し出たところうまくいき、10:30発を確保することができるという幸運が重なった。そうはいえ、最初取れなかったことを振り返ると、便数当たりの「超割」の設定はそう多くないのであろう。 関西空港は登山姿の中高年が多く、カウンター前のシートの団体は、庄内空港に行き、鳥海山を登るということであった。一方、女満別行きは、登山目的と思われる人は意外と少なかった。座席も窓際だったので、楽しみにしていたが、八戸近くで、残雪の山が少し見えただけであった。ただ、女満別に着陸する前からは、サロマ湖等北海道の大自然がよく見えた。予想より天候の回復が早く青空が広がっていた。 女満別空港は思ったより大きく、タラップでなく、空港ビルと機体を直接つなぐシステムとなっていた。ニッポンレンタカーの受付に行くと、千歳と同じで、少し離れた営業所にバスで移動とのことだった。わずか数分の距離で着くと、ラッキーなことに超割で頼んだクラスは7000円/日の1500CCクラスであったが、貸し出されたのは1800CCのカーナビつきのブルーバードだった。しかしカーナビの扱いが分からず、最初は地図を見ながらであった。 今日の予定は観光で、I夫妻のために、美幌峠、屈斜路湖コタンの湯・砂湯、硫黄山、摩周湖の見学を予定している。晴れていたので、意気揚揚とジャガイモ畑の中の道を走るが、美幌峠に近づくと一面のガスで何も見えない。Iさんの車中での霧の摩周湖の歌声が効きすぎたのか(^^ゞ。仕方ないので、レストハウスで昼食とする。北海道の名物を食べる人、カツカレー等ばらばらである。食後、来た証明に展望台の美幌峠と書かれたところで記念撮影。美空ひばりの美幌峠という歌の記念碑には、こんな歌あったけというのが皆の感想だ。 早々に屈斜路湖に向かう。コタンの湯は、大岩一枚で仕切られた無料の露天風呂。着替え場所があるので、ご夫婦が入られていた。女性は水着かバスタオルを巻いて入っているようだ。お湯加減はちょうどいいが、苔や虫で清潔派は顔をしかめるかもしれない。25年前にも入ったと思われるが、記憶はかなたである。韓国から来たと思われる方に写真を撮ってもらう。砂湯も見学した後、摩周湖にあきらめ半分で向かう。それにしてもキャンピングカーの中高年夫婦が多い。 途中川湯温泉を抜け、硫黄山に立ち寄る。独特の景色である。温泉たまごは結構うまかった。摩周湖に近づくと、再度霧である。第三展望台では、視界が全く効かなかったが、徐々にガスが薄くなり、第一展望台からは、もやってはいるものの全体が見渡せるという幸運に恵まれた。私は25年前に見ているが 喜びの中、今日の宿・清里町の清里イーハトーヴユースホステルに向かう。斜里岳の勇姿がジャガイモの花が咲く畑を前景にすばらしく写真を撮る。深田久弥氏は裾野の広い勇姿を見たいと思いつつ遂げられなかったと日本百名山に書かれていたが、我々は幸せである。清里のA-coopでガスボンベ等買い物をした後、ユースに向かうが、カーナビの示す場所が間違っていて苦労したが、地元の人に聞き何とかたどり着けた。ここのユースは変わっていて、夕食はカレーか鰻丼しかできないので、地元の安くておいしいお店を紹介し、無料で送迎してくれる。我々は先ず、部屋に荷物を入れ、町営の緑清荘で汗を流し、お勧めのひさご食堂に行くこととする。部屋は2段ベットが2つなので貸切だが、昨年泊まった大雪山のユースの方が広くて優れている。 緑清荘はもともと280円という低料金だが、ユースでは250円の前売り券が売られている。大きなライトバンに乗りたどり着いた緑清荘の風呂は薄い茶色で温泉らしい。露天こそないが、サウナも含めて種類は豊富だ。ただし、低料金だけあって、石鹸しかない。ユースホステルの前や緑清荘の前の花壇のペチュニアやサルビアの花の色が鮮やかだ。寒暖の差が激しいからかもしれない。
原生林(ミズナラ、エゾイタヤ、トドマツ、エゾマツの混交林)の中をじぐざぐに切られた道を登る。傾斜がゆるやかで登りやすい。一上りすると、新しい看板で、ここから650m岩峰までは、登山道に蟻の巣が多く熊が多発するという注意があった。オホーツク展望台手前にカワラナデシコが一輪咲いていた。オホーツク展望台はガイドブックの記載通り名前ほど展望がすぐれないので、560m峰で休むこととする。海別岳の奥に斜里岳も見えた。560m峰は表示がないが、左に入る小道があったので進むと正解であった。岩峰は危険そうだが上るのは困難ではない。このときは天候がよく、オホーツク海、知床連山等一望だ。 水分補給をして出発。海青く正面には羅臼岳を臨む。弥三吉の水は冷たくて実に美味かった。テントが一張り。三張り可能とエリアマップにあったが、二張り程度が妥当であろう。極楽平にはダケカンバは大木が続くが、いずれも積雪のために曲がりくねっている。重い荷物の人に先にいる縦走組の12人のリーダーに「Oさんの足の具合が悪いので遅れている。場合によっては引き返すかもしれない」との伝言を 銀冷水は弥三吉の水ほど美しくなく汲む気がしない。涸れることあるようだ。ここもテント場であるためか、トイレの臭いがする。ここから先は左手に残雪が見え出すと、ほどなく大沢の雪渓であった。思っていたより大きな雪渓で、上部の傾斜はかなりきつそうだ。ユースで先日ここで滑ってけが人が出たというのもうなづける。皆アイゼンをつけている。私のゴムバンドの4本爪はきかなくて不安である。しばらく雪の上を歩いて傾斜がきつくなった頃、一度左の土の部分を歩く。その後の急傾斜はじぐざぐにステップが切ってくれているので助かる。風も涼しい。慎重に進むが下り時には、より慎重さを要する。緊張を強いられた後は高山植物が出迎えてくれた。特にエゾコザクラ、エゾノツガザクラが多い。チシマキンバイやエゾツツジもあった。エゾツツジは初めてだ。どの花も先初めで美しい。ついつい写真撮影で時間を取ってしまう。三ツ峰方面は晴れて青空が広がり美しい。しかし羅臼岳は盛んにガスが流れる。 羅臼平で羅臼岳が見えるのを待ち写真におさめる。ここはテント場で熊対策のフードボックスも備えられていた。ガスに隠れがちだった羅臼岳上部の異様な岩峰も見えた。ここからの上りも写真撮影で時間がかかる。下山者がひっきりなしに下りて来る。羅臼岳のガスが切れ見え始めたと思うと今度は、三ツ峰の方面がガスとなり、硫黄山までのルートが隠れてしまい残念至極であった。しかしその分、エゾノツガザクラ(アオノツガザクラと交雑するそうで確かに色々な色のものがあった)、キバナシャクナゲ等の花々が殊のほか美しく感激する。この辺りにジーンズに街中用のリュック姿の女性には驚いた。下りの雪渓は大丈夫であろうか。まもなく岩からしみでる水場に着いた。涸れることもあるそうだが、すばらしく美味で下山者で3リットルもくんでいる人もいた。この山に来ると帰りの方が重いと笑っていた。水場の付近は、イワウメ、イワヒゲの花が盛りで純白で真珠のように美しい。 水場を過ぎると岩場で段差も大きく苦労して上る。大岩に苦労させながら上るとようやく山頂であった。深田久弥と同じくガスで何も見えないが、満足であった。I夫人が頂上直下でシマリスを2匹も見つける。何を食べているのだろう。風もあり寒いので早々に下山し、水場手前でカップヌードルの食事とする。この季節だが、暖かいものがおいしい。 大沢の雪渓を慎重に下る。若い女性が一人でテント装備で登ってきた。人間も含めた「熊」を恐れずたいしたものだ。下部では、Mさんがダブルストックを巧みにあやつり驚異的なスピードで下り下りたのには驚かされた。若いカップルが年齢を聞き、驚いていた。Iさんの「知床旅情」の歌声を耳に下る。オホーツク展望台手前の左下にクルマユリが一輪咲いていたのが見送られているようで印象的であった。 皆が下りて来るまでに時間があったので、ホテル地の涯手前の露天風呂を見物に行く。 三段になった温泉で女性が着替えようとしていた。その後入ろうと考えていたところ、なんと素っ裸の中高年女性が立ち上がり何も隠さず、着替えようとする。お相撲さんのような体型だったので気にしないのだろうか。それにしても----------。 仕方がないので上に戻り待っていると、最初の女性が「奥に女性用の石垣で囲まれたものがあるのだが、手前を女性が占拠していたので、男女入れ替わってしまった」と言う。ようやく誰もいなくなったので、一風呂浴びた。どんどん湧き出ているので、コタンの湯と違い、清潔ですばらしい。是非体験していただきたい。
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