蓮華岳 |
【データ】
【メンバー】 |
東京勤務となり、折角、北アルプスが近くて安くなったので、「夏山」を経験したく、前から気になっていた針ノ木岳を目指す計画を考える。ベストは、扇沢から三角形に周回するのが理想だが、小屋が混むだろうし、天気も今ひとつ立山・剣の大展望も難しい感じなので、針ノ木峠に天幕し、空身で針ノ木岳と蓮華岳を往復することにした。 交通手段は、アルピコグループの「さわやか信州号」を往復予約した。新宿から扇沢まで、行きの夜行が6000円、帰路は4700円と安い。ただ、前週の「万太郎山」で単独行の寂しさを感じてしまい、誰か楽しい人と行きたいと思い立ち、河瀬君を誘うと、ウエルカムとのことで同行いただくことになった。大沢小屋や針ノ木小屋を建設した大町出身の百瀬新太郎の「山を思えば人恋し 人を思えば山恋し」を実感することになった。 しかし、天候は戻り梅雨というような感じになり、河瀬君から、前日に、雷を心配し決行するかの問い合わせがあり、悩んだが、雨の予報確率や降水量も低いので、決行することにした。 出発は新宿西口の都庁の大駐車場で、22時集合、22時30分出発だ。夕食は、天丼と蕎麦の好物を食べ、駐車場に行くと、白馬ルートだけで、3台も出るという。我々は、扇沢と穂高方面の客だけだ。しかし、天候で直前キャンセル組も多いようで、バスの乗車座席名簿より、はるかに少ない。 それでも、有峰や室堂、白馬方面と山支度の人がたくさん待っていた。河瀬君のオフィスは、ここから、わずか数分なので、集合時刻より遅く来た。彼の話によると、この駐車場や住友ビル前は、夜行バスで溢れかえっているという。 確かに、さわやか信州号以外にも、オリオンやハーベストツアーなどで、8台のバスが駐車場全てのスペースを埋めて並んだ。ただ、ここは、風が通らず、暑い。団扇や扇子を持たずに来たのは失敗だった。 河瀬君と席が前後だったので、お願いして隣り合わせとなり、再会を喜び合う。消灯後、談合坂Pと諏訪SAに立ち寄ったのだが、諏訪は記憶がなく、結構眠れた。 扇沢は、6時50分のトロリーバスの始発を待つ人が多かったが、さほどではない。天候のせいであろう。ここのトイレはウォッシュレットになっていて、さすが一流の観光地であるとともに、トロリーバス運営の関電の力かもしれない。 登山口には、届出所があり、きちんと書かされた。ただ、短縮の登山道があり、数回舗装林道と交わるが、舗装林道を歩いても変わらないようだ。駐車場のような広場があって、林道とはそこで分かれ、大沢小屋までの登山道に入る。 ![]() ![]() ブナ林の中の気持ちの良い道だ。2本の沢を越し、伏流水の解説板の前後には、湧き水が多かった。沢にかかる仮橋を渡り(右上の写真)、鳴沢を越えると、ようやく、大沢小屋だった。無料休憩と書かれているので立ち寄ると、苔沢の湧き水のコーヒーがあるというので注文する。酸味が利いて実に美味いコーヒーだった。 ![]() ![]() 雨が強くなり、河瀬君に「ここでテントを張り、宴会するか」と言うと、管理人のお兄さんが「それもいいんじゃないですか」と言うので、日和そうになった。(^^ゞ 小屋の左手に祠や百瀬氏のレリーフ等がある。 大雪渓の取りつきまでも、はしご(百名山でないため歩く人も少ないためか、立派なものでなく、手作りだ)や鎖、ロープも5箇所あった。ロープ場には、ニッコウキスゲやオオバギボウシが咲き乱れていた(左下の写真)。 ![]() ![]() 下山者に雪渓は、仮設の橋より、50mほど先のベニガラで導かれたところからの方が良いとのアドバイスに従い、そこから雪渓に入ることにした(右上の写真)。 4本詰めの軽アイゼンをつけ、雪渓は峠に向かって、左手よりを歩く。紅ガラは、白馬大雪渓のようにルート上すべてに引かれているわけではない。 ![]() ![]() 一度、岩石帯の小島に出て、再度雪渓に入る。元々気温が低い上に、雪渓上は寒い。ポイントは、崩れる箇所を避けること、落石に気をつけること(結構雪渓上にあって不気味だった)だ。右上の写 ![]() ![]() 傾斜が急な箇所で、下って来る方に会い、苦労されていた。雪渓から左手の夏道に入るところは、土で汚れていて判りやすかった。ただ、下山時は、もっと上まで雪渓を上る人も多かった。 夏道は、ミヤマキンポウゲが盛りで、下る人に、水場を聞くと、レンゲ沢を抜け、その先も左から、また右からも沢が流れているとのことだった。コイワカガミも美しかった。 大岩の左を巻くと、すぐにレンゲ沢で赤字で書かれていた。さらに沢を越え、右手の沢沿いに進む。下る人に水場を聞くと、この沢が最後だが、雨で汚いのではと言う。仕方なく、レンゲ沢の次の沢の脇から湧き水が出ていたので、汲みに行くことにする。河瀬君は気づいていなかったようで、大変、喜ばれたが、4kg増えたザックは、さらにずしりと重い。 ここで、天候が回復してきたので、盛んにカメラを向ける。ダケカンバが美しい。しゃりばてしそうなので、稲荷寿司を食べるが、賞味期限が午前5時までだったので、味がいつもと少し違う感じがした。残りの標高差は、200mほどと思われ、40分ほどだと思うが、荷物の重い身には遠い。 ![]() ![]() かなり、河瀬君に遅れをとり、九十九折の夏道を進む(左上の写真の右斜面)。峠までの急傾斜に残る雪渓にも紅がらが引かれていたので、つい先日まで、直登していたのであろう。また、小屋の水は夏道とは逆側からひいているようだった。帰りに大沢小屋で管理人に地図上の「水場」を確認すると、レンゲ沢で汲むかその逆側にある湧き水だという。 雪渓の終わりが針ノ木峠で、立派な小屋がたっていた。小屋のスタッフの男女が出てきていて、「久しぶりの晴れ間だ」と喜んでいた(右上の写真)。河瀬君は手続きを済ませ、かもしかスポーツのエスパーステントを既に張り終えていた。これは彼の自慢の品で、7万円近くもするというゴアテックスの素晴らしいテントだ。確かに快適であった。 テント場は何箇所かあるが、今日は4組だけで、場所は指定されなかったようだ。テント者用には、トイレが二つで、名前が槍見荘からすると、天気がよければ、槍ヶ岳も見えるようだ。 ![]() ![]() 何はともあれ、昼食をとることにした。私はチキンラーメンで、河瀬君はこれも自慢の日清食品が最近発売した、山用に真空パックした「カップヌードル」だ。買わないと製造中止になるだろうと私に買うように薦められた。158円/食でコンパクトなので、高くはない。 昼食後、蓮華岳を目指す。ハイマツ帯の階段を空身で歩くのは快適だ。取り付きの階段付近にウサギギクがたくさん咲いていたので(左下の写真)早速、写真に撮る。はい松に混じる白に淡いピンクが美しいハクサンシャクナゲも素晴らしい(右下の写真)。 ![]() ![]() 下りの方に聞くと、コマクサが盛りの上にタカネシオガマも混じって美しいという。それにしても蓮華岳への稜線の美しいこと。白砂青松(低いハイマツ)が映え、口笛でも吹きたくなる北アルプスらしい景観だ。見る見るうちに、爺ヶ岳の双耳峰が見えたかと思うと、蓮華岳の山頂付近に青空が広がり、いい写真 ![]() ![]() ![]() ![]() 花もミヤマダイコンソウも美しかった(右下の写真)。ただ、油断があったのか、少し出た岩に足がつまづき、転倒し、あわやというところであった。幸い、手も足も少し切った程度であった。山頂に近づくにつれ、コマクサとタカネシオガマの数が多くなった。 ![]() ![]() 船窪岳への分岐に山名表示があり、少し先に二等三角点があった。船窪岳や穂高方面も少し見えた。この幸運を持参したビールで祝う。 そのうちにキャノンのいいカメラを持った4人組が現れたので、二人で撮ってもらう。その後、彼らが船窪岳方面に下り、写真を撮るので、ついていくと、雷鳥や白いコマクサを撮る事ができた。ラッキーだった。 ![]() ![]() ![]() 蓮華岳に来た人は是非、こちら側の斜面も見るべきだ。コマクサの大群落が広がる。イワツメグサも多かった。 帰路は、雨が降り出したが、そこそこに帰り着き、テントの中で宴会となる。重かったが、ふじっ子の里芋煮や豆、さんまの缶詰もうまい上に、いただいた樽買いのサントリーウイスキーが上手く、二人とも会話が弾む。 それでも眠くなったので、カレーを食べて21時に就寝した。 |