和歌山のM氏とI氏と山行に出かけるのは、久しぶりである。日本百名山をこのメンバーで登るのは、2年振りだ。しかし、折角の機会も台風17号の影響や秋雨前線が心配される予報である。
二人も気合が入っていたのか、予定より30分早く到着し、寮の名前の呼び出しに、部屋で準備中の私はあわてる。そのため、下着等の洗濯物を乾燥機に入れっぱなしにしてきてしまった(^^ゞ。
水上ICを目指し、ルートは中央道・上信越道・関越道か北陸道経由か議論となるが、私の提案は後者であったが、帰宅後、NETで調べると正解はI氏の前者であった(高速料金は同じ。小出ICの場合は逆)
途中、早めの交替で進むが、私の睡眠時間は、1時間ずつの計2時間であった。水上ICから尾瀬戸倉に向かおうとICを出 たが、ICの係りの人に聞くと、峠越えの道となり、沼田ICからの方が良いというので、再び高速に乗る。事前勉強不足を反省する。
車中で相談し、天気予報を踏まえ、幕営は止め、至仏山も燧ケ岳もピストンとする。しかし、鳩待峠から御池まで車で回るのは大変な距離と時間である。
沼田IC出口にはセブンイレブンもあり(すぐ先にはローソンもあった)、何もない水上ICに比べると買出しも助かる。ここでサンドイッチの朝食もとり、戸倉に向かう。途中、皇海山や武尊山への登山口への道も分ける。何より、名所の吹割の滝がある。少し前にこの辺りの山々を制覇した両氏からい ろいろ聞く。私が来るのはいつになろうか。
良い道を快適に走り、戸倉の並木駐車場に着く。先行の車も入り、早準備している人も多い(しかし、鳩待峠で分かったが、この日は午前中は規制がかかっていなかった。並木駐車場は1000円/日だが、バス代が往復1800円/人かかる。一方、鳩待峠は、2500円/日・2日めから1000円なので、日帰りでも当初予定の2泊でも鳩待峠の方が得であった)。
並木駐車場のトイレは新しくて美しい。鳩待峠までは、バスでもタクシー(タクシー含む)でも同一料金で定員になるのを待って出発するシステムだ。片道900円で往復の割引はない。ただし、タクシーは4時30分から16時30分以外は、メーター料金と書かれていた。
鳩待峠までは、14kmほどあるが、ジャンボタクシーは20分ほどで着いた。人も車もそう多くなかった。ここでM氏が係りの人に今日は鳩待峠までの規制解除日(事実は午前中のみ)であることを聞き、悔しく思う。並木駐車場の入り口に表示がほしいものだと皆で話す。

それにしても天気予報は見事に外れ、快晴である。団体の前を行くべく、駐車場横の登山口から登るが、団体が健脚追いつかれそうになった。小至仏山辺りからコース全体を見渡せたが、実になだらかで登りやすい道だ。笹が仮払われ、木道もところどころある。
I氏が幕営用に100gのザックしか持っていなかったので、マットを二つも詰めて括弧をつけら れた。案内標識も豊富で励まされるが、右手に青空に映える小至仏山から至仏山への稜線が見えると、睡眠不足も感じず、元気が沸く。
左手には、人工的に作ったような笠岳も見えた。さらに登ると、左手にダム湖が広がり、オヤマ沢の高層湿原辺りでは、りんどうの花とともに、尾瀬ケ原を従えた燧ケ岳がすばらしい。好天に心から感謝する。
特にオヤマ沢を過ぎた後の展望テーブルとベンチは絶好の休憩場所だ。我々も心地よい風に吹かれながら、燧ケ岳の遠望を楽しむ。M氏も盛んに一眼レフのシャッターを切る。
ここから小至仏山へは岩場の道となるが、先行する私より先輩に見える女性陣から登山道脇のブルーベリーをいただく。「国立公園内だから採取禁止かな」と言いながらくれたブルーベリーは、おいしかったし、見つけ方まで教えてくれる。

岩場を注意して登ると、小至仏山の山頂で立派な石の標識があった。先行する二人をおいかけ、至仏山への稜線の道をカメラにおさめつつ、至仏山山頂を目指す。二等三角点のある山頂はたくさんの人だが、平ケ岳、武尊山は山頂部分がガスり、燧にもガスがかかり始めた。
I氏がかつぎあげてくれた発泡酒で乾杯する。冷たいように凍らせていたので、まだシャーベット状態だがうまい。ただセブンイレブンの三色弁当は期待ほどではなく残念であった。
ここから山の鼻への道は、最初は木道で展望も良くよかったが、木道の階段が終わってからは、注意標識が多数ある通り、本当に滑りやすかった。神経をすり減らす下りで、I氏も私も数回こけた。
蛇紋岩だけでなく、木道も石畳の階段も滑りやすいので参った。若い男女のグループの明るさだけが救いであった。山の鼻は眼下に見えているのだが、なかなか近づかない。蛇紋岩のために森林限界が低いのが余計災い、滑りやすい蛇紋岩帯が長い。
ようやくたどり着いた湿原に出ると、先行するグループが拍手していたのも分かる。池塘を前にしたベンチでくつろぎ、山の鼻の小屋を目指すと白いリンドウが咲いていた。園芸種では見かけるが、自然界にもあるとは。清楚で実に美しかった。
山の鼻のテント場は、水場・トイレに加え、食事もできる建屋があるので、完璧だ。しかし人は多い。

折角の機会なので、お二人を誘い、尾瀬ヶ原を散策する。20数年前、前橋に単身赴任していた父に連れられ、弟と水芭蕉の時期に来て以来、2度目である。りんどうが盛りで、ウメバチソウもたくさん咲いていた。何より紅葉も始まり、なかなか絵になる風景だ。池塘の点在する湿原を渡る風の心地よさ、少し色づき始めた白樺を中心とした木々の美しさ、至福の時だ。ただ、至仏山も燧ケ岳はガスで見えないことだが残念だ。それでも絵になる風景を写真におさめ、満足して山の鼻に戻る。
トイレを済ませ、ビジターセンターで小出ICから御池への道を確認するが、はっきりしないので、先ずは鳩待峠まで戻る。二人とも飛ばしに飛ばすので、何とか着いていくと、3.3km、標高差200mの上りをわずか40分足らずで着いてしまった。それにしても「恐るべし66歳のM氏の脚力」である。I氏も中身はさほどのものは入っていないとのことだが100gのザックをかついで走るので、観光客は唖然としていた。
鳩待峠で、運転手に確認すると、シルバーラインは銀山平につながっているとのことで、安心する。温泉は、道中見つ けた尾瀬戸倉温泉「展望の湯ふきあげ」に入る。温泉代は500円であったが、内風呂にしか案内されなかったのと、排水が悪かった。それでも湯の花の浮く温泉は温泉らしく、すべすべして気持ちがよかつた。
途中、スープ等の食材をスーパーで買出し、沼田ICから高速に乗る。天気は晴れたり、ガスったりでどちらに向かうのかという感じだ。奥只見シルバーライン入り口にみみずく広場というミニ道の駅のような場所を見つけたので、夜の帳がおりる前に幕営することにする。トイレが美しく東屋もあり助かる。
Iさん特性の鍋は美味しく、買い出したビールとともに堪能する。このメンバーでは久しぶりで本当にうれしい。Iさんの段取りの手際良さは相変わらずだか、新しく買ったバーナーの調子が悪く使えなくぎくりとするが、M氏に予備を持ってきてもらっていたので助かった。酔いと秋風が個々強いが、睡眠不足には適わず、20時には就寝する。
夜半過ぎからは雨となったようだ。12時に一度起き、それからは1時間毎に目覚める。トイレに行くとしとしと雨であった。予報は当たった。
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