丹波篠山 立杭焼

 


データ】     

2013年11月3日(日) 雨

メンバー
    家内
   


秋の紅葉登山を楽しみにしていたが、諸事情から上手く計画できず、せめて家内と焼き物巡りということで、丹波立杭焼を訪ねて篠山に行くことにした。この間、福島第一原子力発電所を取り上げた「死の淵を見た男」と建築家安藤忠雄の「光の教会 安藤忠雄の現場」を読み、プロフェッショナルの神髄に触れ、元気をもらった。

篠山は、調べると伝統的建物保存地区となっている河原町妻入商家郡など見所は多い。中国自動車道の混雑を見越し、日曜日の早朝出発したが、いつもの渋滞に加え、事故渋滞も加わり、我慢ならず、宝塚ICで降り、川西から一般道を走る。一般道は正解で家内も初めての道を楽しむ。川西の住宅街の並木も色づいている。

丹波篠山は、名産の丹波黒豆の収穫期で、道端に沢山の店が出ていたので、買い求めた。どこも枝つき1sで700円ぐらい。豆だと400gで600円だった。自宅に帰ってビールと飲むとさすが黒豆。大きく甘く美味かった。

篠山は、この日、県内の高校生の駅伝大会で交通規制があったが、伝統的建造群の「河原町要入商家群」の駐車場に無事着くことができた。この地区には、丹波古陶館と能楽資料館があったので、共通券を買い求める。丹波古陶館は、建物も雰囲気がある上、初期からの大壺を中心とした作品があり、時代の変遷と共に変わっていくのがよく理解できた。釉薬を用いず、焼き締めて作られていたようだ。案内によると、「登り窯により最高温度約1300度で50?70時間も焼かれるため器の上に降りかかった松の薪の灰が、釉薬と化合して窯変、「灰被り」と呼ばれる独特な模様と色が現出し、また炎の当たり方によって一品ずつ異なった表情を生み出すのが丹波立杭焼の最大の特徴である。ただし、高級品は登り窯によって作られるが、廉価の多くの陶器は、たいていはガス窯で焼かれたものであり、見た目も品質も全く別物である。」とあるように、現代作家の多くの作品は、それらと違うものだった。丹波焼は、瀬戸、常滑、信楽、備前、越前とともに日本六古窯の一つとのことだが、備前や信楽のような残り方はしていない。伝承の難しさを感じた。能楽資料館の能面も興味をひかれたが、能の良さが分かる日が来るだろうか?

















商家群の街並みを楽しんだ後、武家屋敷群を車窓から見て、大正ロマン館に立ち寄る。その後、今日のもう一つの楽しみのイタリアンダイニング茜に向かう。HPでは、ナビが正確に出ないということであったが、さすが最新だけに正確にさしてくれた。公園内にある。茅葺きの家屋を移築したレストランは、評判通り味も良かった。

















近くに「お菓子の里丹波」があったので、家内の要望を聞き、立ち寄る。庭園内の旧・垂水警察署の建物を移築したミオール館(旧・ウィーンの館)は、歴史的価値を有しているらしいが、アンティークカップが数多く展示されているので、次回、喫茶目当てに立ち寄ることにする。

目当ての立杭の里までは、一般道で10qほどある。兵庫県立陶芸美術館の特別展は好みでなかったので、「陶の郷」を先ず、じっくり見学することにする。まず、現代作家55名の最新作を展示している「窯元横丁」を楽しむ。伝統的な丹波焼から現代的な作品まで、様々な焼きものが展示販売されていて窯元ごとの差異が大きく非常に面白かった。ただ、買い意欲をそそられたものはそう多くなく、TVの「大人旅」で紹介されていた窯元を中心に、何点か買った。次に伝習会館 (地域民芸品等保存伝習施設)で、1階『のアートギャラリー丹波』(常設展)、2階の『伝統工芸士作品展』(常設展)・・・伝統工芸士8名による作品展「伝統工芸士作品展示室(2階)」を楽しむ。さすがにいいなぁと思うものが何点かあった。大西誠一氏と市野晃司氏の作品が特に気に入った。そして一番高いところにある伝産会館(丹波立杭焼伝統産業会館)で、映像(約30分)による丹波焼の紹介伝を見た後、鎌倉?江戸時代の「古丹波」の名品の数々を楽しむ。特に、丹波焼の特徴の赤土部釉に興味を持った。

















レストラン「獅子銀」では、手作りのケーキと黒豆コーヒーなどを立杭焼の器で楽しむ。それにしても、向かいの霧雨けぶる立杭の里は実に風情がある。折角なので、共同の登り窯を見て、窯元横丁で買った一つの「丹山窯」を訪ねた。年輩の女性が作業をされていて、家内がマグカップと珈琲碗を買い求めた。登り窯なので、こちらがお願いしたわけでもないのに値引きは難しいと言いながらも、少し値引きしてくれたのは微笑ましかった。作業場内と窓から見える登り窯がしっとりしていて懐かしさを感じた。最後に源右衛門窯に立ち寄ると、今は陶器祭りの後で作品が少ないとの話を聞いた。

それにしても、また、この風情を楽しみに再訪したいものだ。



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