Iさんの関西百名山達成も残5座となり、いよいよ秒読みである。今回は、昨年の笠捨山の際、同時に目指すこととしていたが、雨でかなわなかった玉置山と五大尊岳に出かける。玉置山は車を利用してのいんちき登山だが、その分、五大尊岳は苦労しそうだ。昨日、愛犬「いち」を連れて、和歌山城に行った ときは、桜もまだ蕾だったが、ラジオのニュースでは東京はもう見頃だと告げている。
Mさんをピックアップした後、24時間営業のスーパー・オークワ粉河店で好みの寿司等を購入する。待ち合わせの道の駅紀ノ川万葉の里に遅れることをIさんに電話するが、なかなかつながらない。山沿いの広域農道を走っているからかもしれない。何とかつながるが、道の駅にはIさんはいない。しばらくして、行き過ぎて戻っている連絡が入る。今週もハプニングスタートである。時間短縮のため紀ノ川左岸を走ろうとするが、ここでも間違う。何とかペースがでてきて順調に走るが、国道168号では、いたちやたぬきの死骸を見かける。春になって活動が活発になった証か。
南に下るにつれ、桜が開き、休憩した道の駅十津川郷では、見頃に近かった。折立の分岐は迷わないか気になっていたが、大きな玉置山左折の看板があ った。駐車場まで12kmもあるとの表示だ。橋を渡り、道なりに進むと、きじがでてきたり、きつねが横切ったりと本当に動物に出会う日だ。分岐点を左に上るとトイレもある大きな駐車場があった。入り口の大きな鳥居近くに案内図があったので、玉置神社に向かう。表示は15分かかるとあった。右に参道を見送り進むと結局参道と合流し、神社に着いた。途中、枕状溶岩堆積地の案内があり、解説によ ると昔海底火山が爆発し、隆起した後だという。そのため、ぶなは少なく、ミズナラを主体に桧、もみ、つが等の針葉樹が混ざり、やまぐるまやホン石楠花が混ざる植物学上も特異な群落だとあった。溶岩が固まったような巨石が散見される。
神社は、下に本殿があり、上の奥の出雲大社玉置教会の奥から山頂に続いているようだ。小さな鳥居(左上の写真)がいくつかある階段を標高差で100mばかり上る。結構急で、Iさんは、初めは、これでは関西百名山を制覇したことにはならないので、登り返すと言って いたが、十分だとの感想である。山頂には一等三角点と鐘があり(右上の写真)、先行していたIさんが鐘を鳴らす。この山は、別名弁婁嶽、また沖見嶽と呼ばれるようだ。花折峠への道とともに電波塔方面に駐車場の表示がある。蕾のたくさんついた石楠花の中を下ると、右手に電波塔があり、その先はすばらしい自然林が続き、ぶなもあった。小鳥のさえずりが激しい。快適な道に感激しつつ、下ると、わずか7分で着いた。下山口は、駐車場の出入り口から数十メートルのところであった(左上の写真)。標識が壊れかけているが、山頂まで700mとのことだ。神社を回らなければわずか10分足らずであろう。しかし玉置神社は是非とも訪れるべき地である。
駐車場に戻ると、神戸ナンバーの30歳半ばの女性が来たので、Mさんが訪ねると、何と知人の薦めで東京から飛行機で伊丹に来てレンタカーを借りはるばる訪れたという。何かに頼らざるを得ない気持ちがそうさせたのであろうが、そういう雰囲気がこの山と神社にはある。
来た道を分岐まで戻り、奥瀞方面に向かうと、しばらくで本宮辻となった。左手に玉置神社に向かう登山道(右上の写真)と林道、右手奥に大森山に向かう林道がある(左上の写真)。分かりにくさを心配したが、中型バスが泊まり、見過ごすことはなかった。バスは「玉置山宝冠の森 五大尊岳登山」と書かれたツアーである。なにわナンバーなので大阪から来られたと思われる。五大尊岳に向かったと思われたが出会わなかったので、玉置山に向かったようだ 。
準備の途中にかつてないミスを発見。何と私の登山靴がない。私の車に忘れてきたのか。しっかり見たはずだし、Iさんもなったと言うが。初めての経験だが、今日のルートは、スニーカーでも大丈夫であろうと判断する。
林道はゲートの鎖が落ち、まだ行けそうだったが、すぐに崩れテラノの通行は不能であった。15分ほどで登山道となり、v字になっていたのを右に進む。そう急でない道をゆっくり上る。休憩時、高知みやげのぼんたんをIさんよりいただく。グレープフルーツのような味だ。一のぼりで、大平多山の分岐となる。標識には、大平多山15分、篠尾林道15分、大森山30分となっていた。ほどなく、前方に大森山が見えた後(左上の写真)、大きなガレがあり、大規模なコンクリート吹き付け工事の跡があった。眼下に集落も見えたので、Iさんのドコモを借り、妻に靴の確認を するがない。その先では巻き道がガレて通行禁止。直登すると、5分で山頂に着いた(左上の写真)。展望はない。ここは最高点だが、三等三角点は10分ばかり歩いたところにあった。大水の森と書かれた標識等があった(右の写真)。ここからは大きく下る。スニーカーでは危なっかしい箇所もあり、慎重に下る。
下りついたところには、巻き道の標識もあったが、こちらもガレて通行不能である。巻くように進むと、篠尾辻で、すぐ先に真新しい切畑への分岐があった。切畑への道も長い。石楠花等も見られるようになるが、蕾はない。りすが横切る。本当に動物に出会う日だ。間もなくかと思う頃、右手に山頂らしき双こぶが見えた。しかし最後は急登である。上りつくと、お地蔵様が鎮座していたが、数人しかいられな いような狭い山頂だ。少し先に進むと、十津川がよく見えた。
のどが渇いたので待ちきれずにビールを飲むが、帰りも同様に辛いので、ほどほどとする。丸濱のごぼてんが酒の肴においしかった。大森山への上りは精神的に辛かった。林道に近づくと青空に玉置山がそびえていた(右の写真は本宮辻から見た玉置山)。林道に上がるところを注意していないと、標識も玉置山と書いているので、間違うので注意を要する。予想通り行きも帰りも実歩行時間はほぼ2時間10分で同等であった。こんなルートも珍しい。また、誰にも会わ ない静かな山行となった。
温泉は、上湯等の経験はあるが、はじめての十津川温泉の公衆浴場とする(左の写真)。場所をバスターミナルで聞くと、最も近いのは眼前の赤い橋を渡って右手の建物だという。行くと、数台の駐車場と公衆浴場の看板があった。洗い場も2つしかないが、300円はありがたい。下湯から引湯しているらしく、流しっぱなしだ。公衆浴場が地主との折り合いがつかず、取り壊され、老人保健施設を開放したそうだ。
帰りはIさんの運転で快適に走り、紀ノ川左岸を通ると、朝と変わらない時間で帰宅できた。靴は案の定私の車の中に忘れられていた。これで関西百名山は2座プラスされ、79座、近畿百名山は70座となる。
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