以前の東京出張の際、JRの駅でたまたま見つけた、JR東日本水戸支社の駅からハイキングというパンフレットで、筑波山登山の催しがあることを知り、週末の東京出張の終了が宿泊せざるを得ない時間となるので、参加することとした。ただ、バス代が、つつじケ丘まで直通となる上、通常1250円が500円、帰りは980円が500円となる大きなメリットがある上、定員は300名なので、一杯でだめかなと思い申し込むと受け付けてくれた。番号が40450ということで450人目。増枠してくれたようだ。
しかしながら天気は悪く、前日から雨。当初は丹沢に行こうと思っていたので、かえって危険でない筑波でよかったのかもしれない。ま た、静かでいいかもしれない。ただ、パンフレットには雨天でも決行と書いているものの、天候その他の理由により予告なくコースの変更または中止することがあると書いていたから心配した。当日早朝、事務局に電話してみると、テープアナウンスではあるが、開催されることが分かり、安心する。この辺の運営もきめ細かい。
6:03発の常磐線各駅停車の電車は人は少ない。窓の景色は雨。「関東はさすがにイトーヨーカドーが多いなあ。」、牛久では、「男はつらいよで米倉・大原麗子の夫婦が住んで東京までの通勤が大変というシーンがあったなぁ」とか、ぼーっと考えながら旅情を味わっていた。土浦に着くと、コンコースで係りの人が出迎えてくれ、受付の際、プレゼント(福銭蛙のお守りと携帯ストラップ)やコース案内をいただいた。
駅前にはチャーターのJRバスが並んでいた(参考までにローソンがあり、便利)。リクライニングも十分にきくいいバスだが、天候のせいかわずか4人。係りの方が丁重にわびられ、出発を10分遅らし、次の電車を待ったが、結局7人であった。バスに乗り込まれた筑波市役所の観光課の方の話によると、大変な人気で当初300人の定員が4月中旬には埋まり、200名枠を増員して何と、バスを10台もチャーターされたという。しかし予約金もとられず、キャンセル料もとられないので、キャンセルが多いかもしれない。つくば市、観光協会、JRの共同で開催され、案内の市観光課の職員は丁重で好感の持てる方であった。途中、何故高い方の山が女体山と呼ばれたかの話は参考になった。麓から見ると男体山の方がとがっていて高く見えるかららしい。
土浦駅前は、高層マンションもあり、高架で線路を越え、高速並の高架が続き国道につながっていた。ほどなく、田植えの終わ った田んぼが続く。筑波参道入口という交差点には、国定公園筑波山という大きな看板があった。山はガスで見えない。大きな鳥居の前を過ぎ、つつじケ丘に向かう。道に樹が張り出し、大きなバスは苦労する。バスの中で、昨夜のホテル近くのコンビ二で買った富山の鱒寿司とカロリーメイトを朝ごはんとし、雨具の用意も整える。
着いた つつじケ丘の駐車場は広いが、雨で人影はない。きれいなトイレがあり、使わせてもらう。結構風も強いが、傘、ヤッケ、スパッツだけとする。階段の道を上っていくと、うぐいすが迎えてくれる。つつじは多く、例年なら満開らしいが、今年は早く終わりかけであったが、雨のせいもありみずみずしく、美しく見えた。展望もいいのかあちこちにベンチがある。あずまやでつつじを写真におさめ、登る。
距離と標高を示す標識も頻繁にあり、樹木名も書かれ、勉強になる。ほどなく、奇岩のオンパレードとなり、弁慶七戻り、高天原で夫婦和同を祈り、母の胎内くぐりで、実際くぐり、出船入船・裏面大黒の名には感心する。
樹木名でアオハダ、別名がクマノリと言い、熊が赤い実をとって食べるため登るからというのがおもしろかった。また、ぶなブナも結構大木で新緑が美しかった。森が豊かである。岩の急登を一上りすると、女体山山頂で、イザナミノ命の立派な祠があり、昨年できたばかりの日本百名山筑波山の碑と、一等三角点、展望盤があり、富士山や犬吠埼が見えるとのことだが、今日は真っ白である。埼玉から来られた単独行の人に写真を撮ってもらった後、注意されていたのに滑って転倒する。大事に至らずよかった。
埼玉の人と雑談しながら下っていくとガマ岩があった。本当に蛙に似ている。カタクリの群落もあるようだが、季節は過ぎている。茶店が建ち並ぶ御幸ケ原に係りの人がおり、仲ノ茶屋でホットコーヒーを買って飲む。店には登頂700回の埼玉の人を祝う写真が飾られていた。
男体山を 目指すと、つつじが美しく、滑らないよう、岩の急登を登る。山頂にはイザナギノ命を祀る祠とともに、気象庁筑波通信所の古い建物があった。自然研究路を一周することとする。道はコンクリートで少し興ざめであるが、ロープーウエーやケーブルカーで上ってくる人のことを考えてのことであろう。立見岩は、親鸞上人が餓鬼を助けたという。結構自然は豊かで木の種類も多い。案内板によると植物も昆虫も多いという。植物は「つくば」と名のつくものが10種類もあるという。また、ガマガエルは日本ヒキガエルのことだとも分かった。
展望岩にはベンチが置かれていたが、相変わらず何も見えない。30分ほどで御幸ケ原に戻り、係りの人に聞くと、結局参加したのは80人だという。素人の人にとってはこの雨のキャンセルは仕方のないことか。自然研究路でも出会ったのは巡視の人だけで、私は久しぶりの単独行の静かな山を楽しめ喜んだが。筑波神社に向かって下るとつつじケ丘からの自然林と違い今度はすばらしいすぎの大木である。歴史を感じる山である。深田久弥は歴史でこの山百名山に選んだのもうなづける。途中、男女川(みなのがわ)源流があった。頂上に人工施設も多いが、湧き水でカップも置いていたので飲んでみた。甘く感じた。男女川は、百人一首で「筑波嶺の峰より落つる男女川 恋ぞつもりて淵となりぬる 陽成院」と詠まれた川であると書かれていた。
そ の後ケーブルカーの線路に何回か出会い、1時間ほどで神社に着く。途中、上ってこられる人に10人近くあった。大変立派な神社に感激する。係りの人たちが上がってきて談笑する。関東以外での参加は私だけのようだ。このために来られたのか聞かれるが、さすがにそこまでではない。
観光案内所 でジャムパンと牛乳を昼食とする。観光案内所では、ぐい飲みのプレゼント、ジュースに加え、地酒の試飲があり、浦里酒造店の「霧筑波」、安井酒造店の「住の江」、稲葉酒造場の「男女川」すべてをいただいた。どれもおいしかった。中でも私は「霧筑波」が一番気に入ったが、飛行機に乗る必要があり、これ以上荷物を重くしたくなく、買えなかったのは残念だ。
係りの人は皆本当に感じがよく、よくしてくれた。また、始発を一時間も早く出発させてくれ、助かった。また、観光案内所横には、水道があり、靴を洗うたわしも備え付けられていた。こういう催しで登山するのは初めてだが、本当に至れり尽せりであった。帰りのバスのアンケートでも皆花丸だと言っていた。
帰りのバスからは、ガスがとれた筑波山が見送ってくれた。羽田からの関空行きは遅くまでないので伊丹行きで帰る。
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