剣岳 2998b |
【データ】
【駐車場】 |
百名山20番目の記念となる山をどこにするかで悩んだ末に、経験者のH氏が行って下さるので剣岳に。H氏は、30数年前に馬場島からと3年前の夏以来らしい。30年前は、ビバークの連続で水不足に苦しみ、なんとボウフラの湧く水まで飲んだという。私たちにとっては、7月の捲土重来である。前週の北岳で痛めた足が不安だが、痛みはなくなったので行くことにした。天気予報は週間ではよかったが、日に日にもう一つに。朝の始発のケーブルの時刻を気にして少し仮眠をしてから出発。 途中、妻が持たしてくれた20世紀梨とゆでタマゴを皆で食べると、M氏は「毎週のように山登りをしている夫に対して、優しすぎる。保険金を確認しなさい」と冗談を言う。今回は順調に立山に着く。立山ICに近づくと剣岳も高速から見える。どうか一日持ちますように。ケーブル・高原バスと始発に乗り、室堂に。曇り空となるが、天狗平からは、剣岳がはっきり見える。夏に全く見えなかった景色にこうだったのかと半ば感心しながら、景色を眺める。 室堂に着き、延命水を汲み、みくりが池に。今回はH氏に写真を学びながらの山行でもある。みくりが池と立山、みくりが池と剣岳等カメラにおさめる。絞り込んでの撮影等教わった。軽食を取った後、雷鳥平に向かう。血の池地獄も草もみじが始まり、りんどうも咲いている。大日方面は、青空が広がりきれいだ。雷鳥平の多数の生徒が登ってくる。先頭は足を痛めているようだ。私も、足に違和感を覚える。雷鳥平から ナナカマドは赤い実をつけているが、葉は緑色だ。空も青空で剣御前からの剣岳の勇姿に期待が膨らむものの、俄に雲が広がる。1時間遅かったかと半ばあきらめムードで剣御前小屋に着くと、幸運なことに剣岳の周りは青空だ。夢中でシャターを切る。そして小屋の左手御前への道から撮り終えると俄にガスがかかり始める。何とついてることか。しかしこの時点で別山に行くことはあきらめる。 剣御前小屋の下には、残雪が残っており、雪の多さを感じる。昼食を取り、剣山荘へ。足が非常に痛む。左が曲げられない。とても明日は無理か。一方、道ばたには、チングルマの種子とミヤマアキノキリンソウが美しい。しかし北岳と違い、寒いからか、他の花は完全に終わっている。それにしても剣山荘までの道が遠く感じる。何でもない道なのに。15時前ようやく山荘に。H氏・M氏に迷惑をかけた。 剣山荘はペンキを塗っており、美しい。部屋は201号室。先客が2人いた。しかし、どうやら一畳ふとん一枚もらえそうだ。ありがたい。そして先客2人のうち一人は剣で百名山を達成とか。67才、4年で達成とはすごい。ウイスキーを飲み、風呂はあきらめていると、16時30分から1時間入浴タイムのアナウンス。M氏はトップバッター。大杉谷といいM氏の風呂はすばやい。私も入浴後アンメルツを塗り足も生き返る。夕食は、ミンチカツと塩鯖が中心。私はみそ汁・ごはんともにおかわりをするが、M氏・H氏ともに食欲がない。H氏は頭痛がするという。一方、友人と剣沢にテント泊のM君も心配だが、片道30分歩いて激励に行く力はない。 夜、朝食の弁当受け取り時、19時前の天気予報は悪く愕然とする。同室の人のいびきもすごかったが、H氏の耳栓が効き、睡眠不足もあり眠れる。翌朝起きると風雨が強そうだ。ガスもあるとH氏が言う。出発時ラッキーなことにガスのみとなる。足が不安だが、行けるところまで行くことに。荷物はカメラも二人に任せ、水と雨具等最小限にする。登りはじめて間もなく一服剣手前で雷鳥を2羽見つける。M氏ははじめてだと喜ぶ。二人は盛んに写真を撮る。近づいても逃げない。そして一服剣で休み、前剣への急登を登ると、尾根からは日本海も見えた。剣沢も一瞬見え隠れする。そして、何とブロッケン現象が表れた。手を動かすとまちがいなく動く。虹の輪は思っていたより小さい。M氏が写真を撮ろうとカメラを出すと消えてしまった。その間、30秒ぐらいか。雷鳥といい、ブロッケンといい、ついている。 しかし、前剣ではガスがかかり、いよいよ核心部というところであるが、条件はよくない。足も少し違和感が出だすが、痛みはないので頂上を目指す。頻繁にアンメルツを塗る。連続する鎖場を越え、いよいよカニの縦バイ。前のご婦人が苦労されている。足が長くないと確かに不利だ。そう苦労せず、越えられ、いよいよ頂上に向かう。調子がよく足が痛む前に到着を目指す。ガスで全く視界が効かず残念だが、まだ雨ではない。大きな岩石帯を越え、人声が。いよいよ頂上だ。8:24あこがれの剣山頂に着く。 社の手前でM氏とH氏の到着を待つ。約10分遅れで到着。社の前と三角点前で写真を撮ってもらううちに、雨が降り出す。下山開始後強くなりレインウエアを着込む。カニの横バイ等待ち受けるのにこれ以上悪くならないでほしいと願い下る。カニの横バイは、一歩目が難しいとガイドブックに書いていたが、その通りM氏も分からない。H氏が先に手本を示してくれ、ようやく渡れた。M氏と二人だったら、どうしていたろう。ジャンケンでもしたか、先達を待ったか?続く長いはしごを下り、ようやく核心部を抜ける。しかし油断は禁物。この先の方が事故が多い。まして足の痛みのある私にとっては。それにしてもM君はどうしたろう。H氏は断念したのでないかと言う。 前剣手前でH氏が雷鳥の声がするという。何と6羽もいるではないか。再びM氏がカメラにおさめる。武蔵のコルからはゴジラの背のような岩陵のはるかに日本海。良い景色だ。一服剣を無事越え、剣山荘に。本当にほっとする。皆で握手。よく足が持ったものだ。娘の作ってくれたお守りに感謝する。剣山荘で朝食のお弁当を昼食として食べる。スープやコーヒー等暖かい物が旨い。さて、まだ先は長い。剣御前小屋を目指す。途中、チングルマに水滴がつききれいだ。剣御前小屋から雷鳥平に風雨が弱まる。 雷鳥平でレインウエアを脱ぎ、温泉の用意をし、地獄谷を経て、目指すはみくりが池温泉。到着すると外来入浴の看板がない。女性のスタッフが責任者に聞いてくれる。OKとの返事。ありがたい。廊下を歩きかけると、後ろからH氏の声でM君がいるとの声。聞くと登らず、温泉に来たという。これからどうするかで友達とけんかしていたという。我々が頂上を踏んだと聞き、ますます不機嫌に。しかし無事でよかった。大好きな白湯にゆっくりつかり、生き返る。足を特にいたわる。室堂で延命水を汲み最終バスに乗る。H氏のおかげで無事剣をやりとげることができた。 |