樽前山登山口から後方羊蹄山ふもとのまつかり温泉を目指す。道路は信号もなく快適だが、工事が多く片側車線規制の箇所も多かった。途中1億円のトイレなる道の駅フォレスト275で休憩し、夕食の足しにジャンボコロッケと北海道限定のサッポロクラッシックの500mlを購入する。1億円のトイレは自動演奏ピアノ が高いだけで、さほどではなかった。

<真狩町から> <左奥はニセコアンヌプリ>
留寿都リゾートで右折し、まつかり温泉までの道からは、後方羊蹄山の雄姿がすばらしく何回か車を止め、写真に収める。少し残雪があるのがアクセントになっている。まつかり温泉は、露天風呂からの後方羊蹄山の眺めに陶酔気分となるが、温泉代のおつりを取り忘れたのが玉に傷であった。原因はおいしそうなトマトが冷やされて売っていなかったことを悔やんでいたからであろうか(^^ゞ
コンビニとAcoopで飲み物等買い足し、比羅夫登山口に向かう。目指す半月湖野営場も国道5号線に半月湖と羊蹄山登山口を示す大きな看板があり分かりやすかった。まつかり温泉から20kmであった。
 
<まつかり温泉から> <まつかり温泉>
野営場に人が少ないと困るなぁと心配したが、着いた頃には5台の車とテントも4つ張って各々食事をしていた。3つの蛇口のある炊事場とトイレと小さなテント場の奥に雨よけのスペースがあるだけで、駐車場は20台強だが、登山口としては、こじんまりして使い勝手がよく上出来だ。しかも無料だ。森林の奥には羊蹄山の山頂部が見えた。
私の夕食は、まずはサッポロクラッシックとジャンボコロッケとコンビニで買ったキャベツの浅漬けで一杯。ぐびぐびぐび。実にビールが美味い。やはり発泡酒や第三のビールよりはるかに美味い。仕上げはカレーライスだ。でも隣の香川のワゴン車の焼き物の臭いがたまらない。そうこうするうちに、車は10台になった。

<半月湖野営場>
夕暮れとなり、テントは翌日片付けが面倒なので車で寝ることにする。虫除けに窓をしめていたので最初は暑かったが、すぐに寒くなってシュラフをかぶった。羊蹄山山頂にかかる雲が赤く染まり美しいナァと思っているうちに満点の星空となった。そう言えば昼間ラジオで星空観察日よりだと言っていた。平均して1時間ごとに起きたが、合計では、結構眠っている。首枕を持ってきているだけ、ましだったかもしれない。白んでくると隣でラジオの音が。札幌ナンバーの車で登山準備をしながら聞いているようだが、「皆寝ているよ」と注意を受けていた。さもありなんである。
 
<登山道からニセコアンヌプリ>
<ダケカンバの林の道>
私はゼリー等の簡単な朝食を済ませ、4時33分に出発する。登山口には大きなルートと合目・標高を示す看板や登山届け箱があり、記入する。ここからは、見事な森林帯の幅広の道を進む。
熊が出る山域でないことが救いだ。今日はゆっくりペースで行こうと心がける。途中、記録用のペンを忘れたことに気づき、デジカメ写真のデータを時間記録とすることを思いつく。そのため、合目・合目で
 
<ニセコアンヌプリが下になり小さく見える> <チシマフウロが咲き乱れていた>
写真を撮る。これがいい呼吸合わせとなる。2合目を過ぎると上りが始まり、雲海に浮かぶニセコアンヌプリが見え出す。羊蹄山に比べるとずいぶん小さく見えるが、ここから見るとなかなか貫禄がある。
ここのコースの合目表示は、がいいかげんというHPがあった真狩コースとは異なり、羊蹄山登山マラソンがあるからか、8合目と9合目間を除き、同程度の所要時間がかかるように感じた。2合目と4合目には樹株の椅子もある。
 
<九合目を過ぎ小屋跡分岐から火口壁への道> <周回路>
また、この比羅夫コースは、植物の垂直分布がよく分かると解説するガイドブックが多いが、実感できた。カラマツやトドマツの針葉樹の林が続き、五合目手前には片方近年涸れた夫婦杉がその代表、六合目と七合目の間のたこ足状のダケカンバの大木に代表されるダケカンバの林、ハイマツ帯、そして、9合目からは、チシマフウロが咲き乱れ、クルマユリ、外輪山近くからは、コケモモやイワギキョウが目立った。
七合目からの掘割も意外と風もあり、苦痛には感じなかった。うぐいすもここかしこで鳴き、応援されているようだ。何よりある程度の傾斜におさまる程度のきつさなのとゆっくり上ったからか苦痛さはなかった。

<山頂近くに咲くイワギキョウ>
八合目からは、がれていて補助ロープもあるが、さほどのことはない。逆に一気に展望が開け、開放感に溢れる。途中見えた倶知安の街も小さく感じ、大自然の大きさと人の営みのせつなさ・けなげさを感じるのも北海道ならではか。途中、新小屋分岐に続き、旧小屋跡への道等を分け、なだらかにお花畑を横手に外輪山に向かう。
外輪山手前で、途中追い抜かれた編み笠の方と親しくなる。前橋出身のIさんという。何と2年間限定で奥様と大雪山の麓の東川町に住んでいるという。住民票を移すと町の補助があり、10畳と6畳の新築アパートが4万円で借りれること、やはり四季を通して住むと心に残るものの深さが違うこと、その実現のための奥さんの説得方法まで、本当にあきなかった。こういう出会いは単独行ならではである。大展望とイワギキョウの群落、さらにシマリスの出迎えまであり、大満足で最高点に向かう。
最高点には、別のコースからの登頂者も含め、10人近くとなった。私は景色や花を撮りゆっくり上って休憩時間込みで4時間30分だったが、早い方は3時間40分ぐらいである。写真を撮り、早い冷やし中華の昼食をとった後、折角なのでIさんと周回して、下山することとする。30分ほどは岩場が続き、慎重に進む。ペンキ印を丁寧に拾う必要がある道だ。
 
<山頂側から避難小屋方向> <小屋方向から山頂方向>
岩場を過ぎたピークからは洞爺湖が霞んで見えることをIさんが教えてくださる。左下には小屋も見える。ここまで花々も多かった。旧小屋跡でまたシマリスに会い、Iさんとも別れて、下山にかかる。行きの合流点に着くと、羊蹄山登山マラソンの練習者が続々と上がってくる。何と1時間20分で外輪山近くまで来ている。自衛隊の先鋭は山頂まで1時間10分とのことだ。
 
<NHKの日本百名山でも紹介されたたこ足のダケカンバの木>
続々と上がってくる登山者に比べ、下山者は楽なものである。樽前山で出会った登山者は退屈だといっていたが、その覚悟があったからか、楽に下山できるコースだと思う。夫婦杉やダケカンバの林等を愛でつつ、下る。何回も飛び交うヘリコプターが気になるが大事ではなさそうだ。ただ、2合目を越え木に頭をぶつけ、足元がすべる石で、思い切り膝をぶつけ、ころげ落ちそうになる。油断大敵 である。
その後は、美しい森の余韻に浸りつつぽくぽく歩く。平坦になってからの道は思ったより長く30分かかった。
登山者届に下山時刻を記し、雨竜町までの遠距離ドライブに備え、冷たい水で汗を拭く。半月湖を一目見てからと立ち寄ったが、樹林に囲まれ、周回路のはるか下にしか見えなかったのでそそくさと戻る。
余市への道すがら、念願のゆでとうきびを食べ、余市近くのセルフスタンドで126円の給油で喜んだのも束の間、国道337号線沿いの宇佐美石油が120円だったのには驚いた。
<半月湖野営場横の登山口>
温泉は月形温泉 露天風呂もあった。隣の和風レストランで夕食にそば付の天丼を食べる。なかなかいい味で、自炊より日帰り温泉とレストランでの食事が一番コストパフォーマンスが高いと感じる。
その後、農協で買出しをし、雨竜町に向かうが、日没近くになったので、道の駅田園の里うりゅうでの泊まりとする。ここのトイレはウオッシュレツトなのに驚く。
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