いつものメンバーのI夫妻とM氏との海の日に計画していた草津白根と高妻山の計画が梅雨明けせず中止となったことから、しばらくごいっしょできないかと思っていたところ、I氏から焼岳のお誘いがあった。問題は、仮眠場所で、いろいろ探すと、道の駅奥飛騨温泉郷上宝はオートキャンプ場併設でかえってテントを張るのは難しそうだ。ネットで調べると遊湯パーク蒲田の湯が掘削工事で湯がでなくなって休止となっているが、トイレと駐車場が使えるという。温泉が使え るときは「宿泊者が多いが控えるよう」という忠告の情報もあったので、温泉が使えないか ら迷惑にならないだろうと考え、そこを第一候補とする。次の問題は梅雨明け10日と言われるが今年は不順で、天気の悪い日も多い。案の定、予報は雨こそないが、上上宝村の予報は曇りだ。重い一眼レフは置いていくこととする。
出発は、土曜日の14時半。海水浴客等でR26の渋滞も心配されたが、この時間はさほどではなかった。山形のみやげ話をしながら走る。I氏は先日覆面のごやっかいになったので、極めて慎重である(近畿自動車道の三車線でのことだという)。今日のルートは、余り高速代が変わらないので、西名阪でなく、名神ルートだ。夕食はひるがの高原SAか悩んだが、長良川SAとした。正解で、ひるがの高原はPAだった。名物料理も多く、飛騨牛や朴葉焼き、地鶏料理等各々頼む。

それにしても夏休みの土曜日の夕刻でこれでは商売が成り立つのであろうかという人の少なさであった。しかし高山方面に向かう車は少ないものの逆は多かった。美濃以降も2車線化の工事を急いでいた。この東海北陸自動車道はM氏の記憶通り高地を通り、何と最高点は1085mで気温は15度という涼しさであった。清見ICから先も案内標識が豊富で高山市街を通らず、国道41号からつながっていた。
丹生川村役場近くでは夏祭りをしていて露店でにぎわっていた。安房トンネル近くにある平湯キャンプ場は大変な人で子供たちは懐中電灯片手に虫取りのようだ。そういえば、ネットで検索するとこの近辺のキャンプ場はどこも満員であった。目的地の遊湯パーク鎌田の湯は、神坂トンネルを抜けたところの左手にあったが、電灯もなかったので、I夫妻もM氏も一瞬ど うかと思われたようだが、トイレもチェックすると美しい水洗で掃除も行き届いていた。柵が木製で移動できたので寄せて、車をトイレの前に置き、その前の小広くなったところにテントを張った、I夫妻と私がそれぞれのテント、M氏は車中泊となった。よく見ると、隣の駐車場にも数台止まり宿泊しているようだった。軽く宴会をして23時前には眠った。蛍が飛んでいたのと、星空が広がっていたのが印象的であった。唯一の難点はトンネルに近いので、車の音がよく響くことであった。
朝起きると隣の駐車場の車も増え、テントも張っていた。しかし、「ここは宿泊禁止」という標識もあり、申し訳なかったが、本当にありがたかった。朝はインスタントラーメンやら妻が持たしてくれたゆで卵やらで結構食べた。ごみを残さないように注意して、早々に登山口に向かった。
中尾温泉の登山口への道は橋を渡 ると(無料の新穂高の湯のすぐ手前)すぐを山に向かい右折して上る。ペンション等の多い温泉街の中を走る。一箇所分岐で悩んだが、どちらも同じ箇所に合流するようだ。どんどん上がるとやがて車止めがあり、10台は止めれるであろう広場があった。先行車は予想に反して少なく2台。一台は出発済で、もう一台の軽はお父さんと子供さんの2人でテントを片付けていた。
我々も早々に準備し出発する。上り3時間半。下り2時間の表示がある。10分ほど舗装された道を歩くと右手に分け入る登山道となる。入り口はテープだけなので留意する必要がある。ほどなく、沢でそこに焼岳登山口の大きな看板があった。そう急でないブナの多い森林を歩く。峠までは九折の道で標高差ほどはきつくない。よく整備された有り難い道である。他に中の湯から2本、上高地か ら1本あるが、この道の選択は成功であったようだ。
20分ほどで舗装されていない林道の終点と思われるところにでた後、少しで白糸の滝の標識のあるところだ。白糸の滝は残念ながら木がじゃまで、見えるが写真には撮りにくい。Mさんの少し上にも見える箇所があるという情報の下、こめつが、しらびそ等の原生林を進むと、10分ほどで滝がよく見えるところに出た。ここは、滝の見える道が崖となっていて危険なので内側につけかえられていた。
注意すれば何ということのない道だが、念のための付け替えであろう。いずれにせよ、よく整備されている。白糸の滝は、普通、滝は水圧で削られ低いところを流れるが、高い所を流れているのがおもしろい。上部に進むにつれ、笠ガ岳が見え出す。ガスがかかったりしているが、最も展望のきくところでは、ときおり頂きを見せてくれる。右手には樹間から槍の穂先も見えた。天気予報ははずれたようで、展望に恵まれそうだ。麦わら帽子に布製の軽登山靴なので、M氏からは山をなめていると叱られたが、少なくとも麦わらは役に立ちそうだ。しかし、秀綱神社までは、陰で風もあり助かった。残雪を抱いた笠ガ岳の展望はすばらしく、一昨年の笠新道の苦しさを思い出す。
建設省の焼岳雨量観測所を過ぎるとすぐに秀綱神社で、高山松倉城主であった秀綱が、秀吉の天下統一のための金森長近の攻めで落城し、信州波国城に身重の奥方と逃げる途中、杣人の手に落ちたのを村人が哀れんでできたものらしい。2つベンチも置かれ、休むにちょうどよい場所だ。ここから峠までは20分ほどで途中に焼岳小屋への分岐があった。峠までは、土が流されたのか石が出た道が続く。しかし振り返ると笠ガ岳がよく見え疲れも感じない。峠からは笠の大展望。焼岳の北峰岩峰が青空に映える。右手には穂高も見える。ただ、花は多くなく、あざみやミヤマアキノキリンソウ、オヤマノリンドウ程 度だ。上高地方面から団体も上がってきて大変なにぎわいだ。
笠の勇姿をカメラにおさめてから、山頂を目指す。草つきを過ぎると、落石注意の標識がある。しかし上るにつれ穂高や槍の大展望に見とれ写真におさめる時間が必然的に長くなる。一眼レフを持ってこなかったのは大失敗である。Mさんは久しぶりのすばらしい被写体に大満足である。それにしてもここまで展望の良い山だとは。穂高も吊尾根が正面に見え形がいい。荒々しい岩肌まで感じられるほどよく見える。槍はこちらからは岩峰程度でかっこよくはないが。新穂高ロープーウェー、焼岳小屋、西穂高山荘、西穂への道、上高地の帝国ホテル、大正池等もはっきり見える。特に西穂高山荘から西穂・奥穂への道は、あこがれの道だけに熱い眼でみてしまう。
山頂への道は、ところどころ水蒸気が吹き上げ、活火山であることが感じられる。前回の噴火のとき命からがら逃げた小屋の管理人の話を思い出し、今の小屋の位置の意味を思う。肩まで上がると、乗鞍や南アルプスも見えた。甲斐駒や北岳だと周りの人は言っているが、なるほどそのよう にも見える。ここで、中の湯からの道が合流する。穂高方面の展望が見えない点、このルートはマイナスだ。大変な人で山頂(北峰)への道は、渋滞だ。山頂脇では一際水蒸気を上げ、硫黄で岩が黄色くなっていた。
Iさんが夫人にカメラを岩にぶつけないように、ぶつけたら「ガメラ」になってしまうというだじゃれを飛ばし、周りの登山者からも笑いをとっていた(^^ゞ。山頂は、三角点は登れない南峰にあるので、簡易な標識だけであった。人気の山で大変な人だ。大展望を見ながら、少し早いが昼食とし、ビールで乾杯。柿の葉寿司や鱒寿司、割子そばで結構満足の昼食となる。昨日でがけに凍らせていた500mlのペットはまだ凍っているので、ビールはよく冷えていた。
それにしてもこの展望は贅沢このうえない。正直これほど展望のいい山だとは思っても見なかった。ただ、何故か笠ガ岳だけはガスが厚くかかっている。この山に登った人はアンラッキーだ。乗鞍もガスがかかってしまった。穂高や槍には全くかからない。おもしろいものである。双六や三俣蓮華と思われる山に加えてもう一つ見えるの で鷲羽まで見えているのか山座同定ができない。とりあえず写真にとっておき後日確認の資料とする。いつまでも滞在していたいが、そうもいかないので重い腰を上げる。ぐるっと山頂を回り、火口湖を確認する。
峠までは慎重に下ると、そこからは道もよく早い。駐車場は10台止まり満車であった。温泉は、荒神の湯を見学した後(200円で22時までとなった分、更衣室や男女別の仕切りがしっかりしていた。宿泊禁止となっていたが、トイレもあり絶好の場所でテントを張る人もいそうであった)、ネットで調べていたひらゆの森に急ぐ。期待通り500円の割には露天風呂も多数で、何より白っぽい硫黄の香りのする湯ノ花も豊富な湯がよかった。
清見ICと高山の間の中部縦貫道の建設が着々と進み、高速道路建設問題はどこの国の話かと思った。帰りは、東海北陸自動車道が事故渋滞で13kmとなり(やはり片側二車線ないとダメだ)、国道に下りたが、これも大渋滞で下りない方が時間・料金ともによかったことや恒例の大津から手前の15km渋滞(8月10日の京滋バイパス全通で解消されるか?)で時間がかかったが、無事帰り着いた。帰りは苦労したが、久しぶりの大展望を満喫し満足した登山となる。
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