養老山はアプローチが大変だ。昨年の愛知万博の際、もくろんでいたが、雨で行けなかった(今回の経験からは、春先の残雪・大雨の中、目指す山ではないことが分かり、結果オーライであった)。近畿百名山も95座までくると後一息でどうしても登頂したいという気持ちが強くなる。しかし車は一人では高くつくし、運転も面倒だと考えていた。ツアーでも仕方ないかと思っていたところ、青春18切符の季節となり、ネットで検索してみると尼崎の寮からでは 、思ったほど時間はかからない。

<蕾膨らむ桜と残雪の養老山系> <満開の梅と残雪の養老山系>
大阪の金券チケット屋をのぞくと、返還制だと、定価(@2300円/枚)に近いが、入手・返還が面倒だと感じていたところ、別の店では1枚残で売っていた。値段は3500円と相当割高だが、それでも尼崎・大垣間は片道2500円強なのでかなりのメリットは残るので手に入れておいた。
しかし、社宅の転居の時期が早まり、どうかと思っていたが、何とか片付き、会社行事で単休の中、わざわざ帰らなくても妻も許してくれるだろうとのことで、前夜の宴会もほどほどにして出かけることにする。


<川は遊歩道となっていた> <養老の滝>
ここ1カ月は雨が多く、降ると風も強いので気になっていたが、ぎりぎりセーフの予報である。5時に目覚めて、いそいそと準備し、コンビニで、おきまりの稲荷寿司を手に入れJR尼崎駅に向かう。一本早い普通で大阪駅に向かうと米原行き快速の入線が早く、助かる。混んではいない。新快速型のいい車両だ。
最近、読んだ「大人の青春18切符 のんびり旅行術」によると、東海道線の新快速は車両・速さ・ダイヤの多さから18切符にとっての大きな武器だそうだ。車中で、のんびり、みすず書房の高桑信一編達人の山旅2「森と水の歩み」を読む。良書で電車山行の特権を味わう。過去の18切符利用の山行は谷川岳・紀南の烏帽子山と思い出が濃い。
駅ごとに人は増え、米原までの人も多いの驚く。名古屋行きの快速も車両が8両あったので、何とか座れる。それにしても米原駅の乗り換えは座席確保のために皆が走るほどだ。
 
<林道終点から左の河原に下る> <小さな沢を渡って登山道へ>
比良の山々は真っ白な上に、HP「鈴鹿の山風」の2000年4月1日の養老山の記録を電車内で読むと積雪がかなりあるようだ。雪対策として軽アイゼンやスパッツを持ってこなかったこと悔やむが、後のまつりである。
それにしても伊吹山の白さはどうだ。まだ完全に冬の装いである。大垣駅で近鉄養老線に乗り換える。近道の乗り換え口は18切符が通れない無人改札だったが、近鉄の人がいたので、強引に突破し、今回限りということで許してもらう。
養老線は、2両編成のワンマン電車だ。のんびり走る。養老駅も古い駅舎で風情がある。ここに、近鉄の「てくてくマップ」があったので、入手するが、滝見物には役立っても養老山登山には役立たない。

<30分登ると道は緩やかに> <三方山山頂>
駅前には、孝子源丞内の銅像と謂れの瓢箪像がある。養老の滝の由縁が書かれている。駅前からまっすぐ山に向かう道が滝に続く。県道を越えると、桜の古木が続く。今まさに咲かんとしている。
左手には岐阜県営のこどもの国がある。山は下の方から真っ白でどのくらい積もっているのか不安になる。右手に白もくれんや紅白の梅が満開である。残雪の養老山系を背景に写真におさめる。
結構な急坂の車道を進むと、右手にはなつかしい感じの養老ランドという遊園地がある。小さい子供が喜ぶ旧来型の施設だ。
来週の花見に備えてか、臨時駐車場の整備をしている。養老の滝から流れ出る川沿いに進むと、これまた時代遅れの旅館や茶店が続く。こころがなごむ風景である。この辺りから数日前の残雪がある。
ここかしこに養老の滝の写真付き看板があり、標高290m、高さ30m、幅4mの説明等がある。たどりつくと、そう大きくはないが、シンプルさが美しい滝であった。しかし、那智と華厳の滝と並んで日本の三大名瀑と言われると首をかしげたくなる。
観光客もちらほら見える。しかし、ここで、登山道はどこかと考えることになる。鈴鹿の山風の記録を見ると、滝上の駐車場を左手に進むとあるので、ともかく上の方だろうとリフト乗り場方に進むと駐車場があった(1000円/台と養老公園の300円に比べて高い)。駐車場入り口で聞くと車道を少し戻り、左手の鎖のかかった道に「登 山口」の大きな標識があった。
<小倉山への道から残雪豊富な霊仙山> <養老山山頂直下から藤原岳方面>
さらに進むと、林道経由のアケビ平の道との分岐がある。笹ヶ原まで、林道経由は三方山経由の倍の距離4kmあるが、どちらも90分との表示だ。多くは三方山経由とのことで、左に進む。ここも林道の修復中だったが、ほどなく、終点となり、登山道は堰堤前の沢に下りるように示す大きな表示があった。
水量の多い沢を石伝いに渡ると、ここにも「登山口」の大きな標識がある。九十九折の登山道は雪で滑りやすく、注意を要し時間がかかる。特にアイゼンを持たない者には、下りまでに溶けることを願うばかりだ。
特に曲がり角は要注意である。ただ、雑木林は美しい。HPでは15分ほどだという標高500m付近の休憩ベンチまでは、倍かかった。早くも夫婦が下山してきた。こちらは、積雪にももの筋肉もへたり、ゆっくりペースである。
ようやく三方山と笹原峠の分岐に着く。三方山は左手1分とのことだ。山頂は濃尾平野が一望だ。意外に遠方は見えないが、岐阜の人が金華山等教えてくださる。

<山頂の一等三角点> <小倉山から霊仙山>
揖斐・木曽・長良川が流れている。それにしても広大な平野だ。これで、恵那や御岳が見えたら最高だが。
笹原峠までは平坦な最高の道である。峠にはベンチもあったので、稲荷寿司で腹ごしらえする。予定よりずいぶん遅れたが、急ぐ山行ではない。旧牧場アケビ平からの道には踏み跡がほとんどなかった。
ここから小倉山までの道は、HPでほめていたように、すばらしい笹原の道だが笹原は雪の中だ。それにしても雪原の向こうに横たわる真っ白な霊仙山の姿は堂々たるものだ。名山の趣、大である。
急登を一のぼりで、小倉山の山頂だ。平坦で少し先に大展望のあずまやがあるが、後ほどにして養老山の山頂に向かう。踏み跡はそう多くなく、小倉山で引き返す人の多いことが分かる。
少し下りゆやかに上ると何と林道に出る。積雪に車の跡があり、興ざめだ。登山道は左に下るが、左手の林道を来る女性がいたので、きくとこちらの方が歩きやすいという。登山道は雪が深そうなので林道を進む。
 
<小倉山から養老山最高点方面> <小倉山から笙ケ岳を望む>
しばらく進むと先行者が道がないというので、その手前の左手の切り開きにピンクのテープがあり、雪に踏み跡があるので、よしのぼり、雑木林を踏み跡たよりにかいわけるように進むと、山頂で、展望はないが、一等三角点と山頂標識があり、先行者も二人いた。
長居したい場所ではないので、林道まで戻り、前方に広がる御池から藤原岳の雄姿を楽しむ。積雪の鈴鹿はすばらしい。写真におさめ、小倉山に戻り、東屋で霊仙山の雄姿を肴にビール(実は第三のビール)で乾杯。カップヌードルを作っている間に、2組の登山者が来る。一組はアケビ平からで、積雪と踏み跡のないのに苦労し、一組の夫婦は川原越で来られたそうだ。
下山は、心配の九十九折も予想通り溶けていて、数箇所注意を要しただけで、苦労せず登山口に着いた。滝から公園にかけては、桜には早いがたくさんの観光客でにぎわっていた。桜も、朝より開いた数が増えたようだ。いい山旅となった上、大垣・米原間もぎりぎり座れ、夢の中となる。
残る近畿百名山は4座だ。
HOMEへ
|