金曜日の夕刻、東京での出張用件が終わり、天気も良く、宿泊代はかかるが、折角の機会なので、町田のビジネスホテルに泊まり、あこがれの丹沢を目指す。しかし2週続けてで、前夜会った弟夫妻からも笑われたが、尋常ではないと言えばそうかもしれない。上司からも山登りばかりでなくゴルフの練習もしたらとも言われる始末(そういえば来週はつき合いゴルフがあった)。だが、懲りずに続けて、これで百名山も39座目である(意識するのもどうかと思いつつも)。丹沢は関東の人たちに聞く度にいいというので、一度登りたかった山だ。
コースは、理想は大倉から東野に抜ける丹沢縦走であるが、朝一番のバスで行っても、東野から京王橋本までのバスが乗り継ぎで時間がかかるので、最終飛行機に乗り遅れてもと思い、ヤマケイアルペンガイド「丹沢」でも、「代表的縦走コース、 変化に富み、展望のすばらしい丹沢入門の銀座コース、快適度ナンバーワン」とべたほめである「ヤビツ峠から塔ノ岳への表尾根」を歩くことした。しかし、秦野からの朝のバスは8:18が始発で遅い。また、タクシーでは4000円ぐらいかかる。とりあえず、新宿ではなく、少しでも近く、ホテル代も安い町田に泊まる。
切符は、新宿からの丹沢大山フリーパスがバス込みで、途中下車も出来、大変お徳なので(1480円)新宿の小田急とラベルサービスでそれを買求める。セントラルホテル町田は新しく、6500円で助かる。おもしろいのは、レストランはなく、一階に居酒屋つぼ八があることだ。企画は当たったようでよく流行っていた。朝食もそこで食べるととのことだ。前夜のうちに近くの西友で買出しし、近くのコンビ二ampmで朝、おにぎり等があるか確認もしておく。駅前にはチェーン店であろうが、いろいろな食堂があり、助かる。「てんや」の天丼はうまかった。
やはり早く目覚め、予定通り、コンビ二で買出し、駅に向かう。電車の中でも、大倉からか、はたまた鍋割山経由で塔ノ岳か、当初通り表尾根か迷うが、大倉尾根は、バカ尾根とも言われ、おもしろくなさそうだし、鍋割も林道歩きが長いので、表尾根とする。臨時のバスや相乗りタクシーも あるのではと期待する。電車の中は、登山客と学生で座れない。さすが東京である。秦野駅で降り、トイレ後、バス停に向かうと期待に反して1グループしかいない。タクシー乗り場に向かい、並んでいる人に相乗りできるか聞くと、前は団体だが、自分は一人なので有難いとの話。折角のフリーパスは無駄となるが、割り勘で行くこととする。タクシー内で自己紹介となる。
S氏とおっしゃり、向ケ丘遊園にお住まいの私より2歳年上のサラリーマンで名詞をいただく。山登りより歩く方だそうで何と東京から長崎を目指し、今神戸までだそうだ。次は中仙道、奥の細道が目標だそうだ。そんな話をしているうちに、道は曲がり高度を上げ、間もなく雪をかぶった富士山が見え、感激する。ヤビツ峠までは4020円だった。早々に出発。しかし、横を登山客を乗せたタクシーが。しまった。折角タクシーなのだから、この先の富士見山荘まで行けばいいのだ。しかし下りの1.5km。いいウォーミングアップとなろう。
富士見山荘には、自動販売機もあった。準備をしている団体がいた。左折し菩薩峠への林道に入る。2分登ると、右に入る登山口の標識があつた。急登をゆっくり8分で、林道に出る。左に数メートル行くと、右に登る登山道が ある。半そでTシャツ一枚となり、新緑を楽しみつつゆっくり登ると、ガレ場となり、振り返ると大山の秀峰が美しい。いい山である。よく整備されたコースで、所々にベンチがある。予定より早く着いた二ノ塔では、多くの先行者がいた。目指す三ノ塔を写真に撮り、暑いので水分補給し、三ノ塔を目指す。塔ノ岳まで4.5kmの表示だ。ミツバツツジの美しさに感激しながら、ほどなく着いた三ノ塔ではすばらしい富士山を見ることができ満足である。富士山の右手にうっすら雪をかぶつた南アルプスも見える。
S氏の話によると丹沢には鉄塔等もなく、人工物のない富士山が見えるのがいいという。なるほどその通りだ。これから目指す塔ノ岳の尊仏山荘までの表尾根もよく見える。ここは標高1205mだが、一旦下る。鞍部は1080m弱であった。そこから登り返すと、三角屋根の烏尾山荘だ。ここから行者ケ岳までの道に散りかけのシロヤシオがあった。今年は、愛子様の関係でシロヤシオの咲く山は人気だという。行者ケ岳から塔ノ岳は、2.3kmとの表示だ。ここからは、鎖場でまだつけたばかりという感じたが、助かる。
昭文社の関東からの山歩き百選の塔ノ岳には、「2つの岩場があり、鎖があるが、心配するほどの難所ではない」との表記は的を得ている。その後の崩壊地もきっちり整備されている。それにしても新緑が美しく、ここかしこにミツバツツジが咲き、色沿いを添えている。また、風があり、暑さを感じさせない。申し分のないコース、天気である。書策(かいさく)小屋、新大日茶屋で小休止を取りつつ、真新しい木ノ又小屋を越えると、散歩道のような美しい道が続く。歓声を上げたいほどだ。塔ノ岳への最後の直前の上り手前 の右下には特にたくさんのつつじが咲いていた。
塔ノ岳山頂には、11時過ぎに到着。富士山は既に雲の中だが、丹沢山、蛭ケ岳、桧洞等は霞んでいるがよく見える。タクシーを使った甲斐あって富士山が見えてよかった。山頂は、円形舞台のようにベンチ風に座れ、たくさんの人が憩いでいた。尊仏山荘でビール(500円)を買い、S氏と乾杯。いいお供ができ、楽しく登れたことに感謝する。折角なので鍋割に回るか、丹沢山に向かうか悩むが、ガイドブックには稜線のぶなが美しいとの記述と一等三角点があるということなので、丹沢山に向かうこととする。S氏と記念撮影し別れる。丹沢山への道は期待以上でシロヤシオやミツバツツジがたくさん咲き、美しい道だ。木道で保護されている所もある。小笹が茂りバイケイソウもあちこちにある。特にマムシソウがここかしこに咲いている。しかし、正直言うとビールがきき、少しの上りも苦しい。
丹沢山山頂にも、たくさんの人がいた。一等三角点を確認し、記念撮影だけして早々に戻る。ガスで塔ノ岳も見えない。天気予報があたったとも言えるが、山の天気は変わりやすい。戻った山頂には、楽しみにていた子鹿も二頭いた。トイレは建てたばかりかびっくりするぐらい美しい。どこからか補助がでているのであろう。さすがに鍋割を回って下りる元気はなく、大倉尾根を下る。最初は階段が多い。花立山荘には、氷も400円で売っている。ここからの下りも今年植えたばかりの樹が柵で覆われていた。丹沢は登山者による道近くの崩壊と鹿の食害で、守っていくのが大変のようだ。それを必死で回復しようとしている姿もあちこちで見かけた。
堀山の家では、ビールが50円安くなっている。ここからは、長い緩やかな尾根歩き。笑いかけたひざにはありがたい。赤松の大木が多い。バカ尾根とも呼ばれるらしいが、そんなことはなく、いい登山道だ。もみじなんかの植林をしているのも功を奏しているのだろう。さすが丹沢でこんな時間でもたくさんの人が上がってくるし、ボッカの人にも二人出会った。大倉高原山の家の水は20円の有料。おいしい水であった。展望が開け、日本有数の夜景という看板が遠慮深くておもしろい。歩道に出て町の中にも標識があり、バス停に導かれた。この頃には再び晴れていた。県立公園内にある新しいバス停で、トイレも美しく、筑波同様、靴を洗える水道には、たわしが置かれていた。大きな釣り橋やビジターセンターもある。バスは満員。座れたので助かった。急行に乗り町田で降り、夕食をとり、ホテルに預けていた荷物を受け取る。新宿・品川周りで余裕をもって羽田に着いた。評判通りの山で良い山行になったことを感謝しつつ、帰路につく。
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